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勘違いから生まれた伝説の植物バロメッツとは?🌈

ヨーロッパ人の勘違いから生まれた伝説の植物『バロメッツ』。

正式名称は、プランタ・タルタリカ・バロメッツ。

・引っ張っても曲がるだけで折れない
・柔軟な茎を持っている
・実の見た目はヒョウタンに似ている

その最大の特徴は、羊の入った実がなること。


バロメッツはかつて、中国やモンゴルをはじめ、ヨーロッパ各地の荒野に生息すると言われていた伝説の植物です。

当時の人々は、バロメッツから採れる繊維が、羊毛(ウール)だと勘違いしていました。

実際に採れていたのは木綿で、木綿を知らなかった当時のヨーロッパ人が、「綿の採れる木」を「ウールを産む木」と解釈し、この植物の伝説が生まれたと言われています。


バロメッツに関する記述は、様々な著書に記載されています。

14世紀のフランチェスコ会修道士オデリコの著書『東方紀行』や、15世紀のフランス人学者ヴァンサン・ド・ボーヴェの著書『自然の鏡』、17世紀のイギリス人医師トマス・ブラウンの著作『伝染性謬見』など、

これらの著書には、

「かつてヨーロッパでは、『スキタイの仔羊』という名前で呼ばれていた」「仔羊を結実する植物とされていた」

と書かれており、その見た目は、

「植物と仔羊が茎でつながっている」

となっていたり、

「メロンのような果実が生り、それが割れて中から出てくる」

とされていたり、

書き方はまちまち。

他にも、

「周囲の草木を食べて育ち、それらを食べ尽くすと飢えて死ぬ」
「狼が好んで食す」
「切り折ると血のような樹液を出す」
「食べると蟹に似た味がする」

このように、著者の想像がどんどん膨らんでいる様子でした。


近代作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスの著書『幻獣辞典』では、

「バロメッツは、動物と植物のキマイラだったのではないか?」

と推測されています。

神話や民間伝承には、「一般的な生物が巨大化したもの」や「複数の生物が融合したもの」など、いわゆる『怪物』が多く登場します。

スフィンクス・グリフォン・ペガサスなど、美しい姿をしているものも多い怪物ですが、現在は、このような異なる由来の細胞を2種類以上あわせ持つ動物を『キメラ動物』と呼んでいます。

『キメラ』という言葉は、『キマイラ』にちなんでつけられたもの。

キマイラとは、ギリシャ神話に登場する、三つの要素(獅子・山羊・蛇)を盛り込んだ合成獣のこと。

このキマイラが、バロメッツなのではないかと考察されていたんです。


ウールを産む木という逸話と神話が混ざり合った結果、羊と植物を合成した幻想的な生き物として伝説化した植物『バロメッツ』。

バロメッツは現在も、国内外問わず、ぬいぐるみやゲームなどで多く取り上げられています。

気になる方は、ぜひ探してみてください😊

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