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読書記録

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定年退職後、自分の時間を取ることができるようになりました。 今まで読みたいと思っていた小説を中心に、読書感想文を書きたいと思います。
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2024年1月の記事一覧

稲垣栄洋「面白すぎて時間を忘れる雑草のふしぎ」を読んで

 この本は、購読している新聞の文芸欄で、サイエンスライターの方がお勧めされたものでした。  一読して、私が印象に残ったことを以下にまとめました。 雑草とは  雑草は、人間が管理している土地に生えている草で、人に邪魔扱いされがちです。 昭和天皇が、雑草という花はなく植物にはみな名前がある、と言われたことは、有名な話です。  雑草という言葉を広辞苑で引くと、自然に生えてるいろいろな草とあります。たくさんの種類があり、さまざまな生き方をしている。 雑草とは、環境

平野啓一郎「マチネの終わりに」を読んで

 平野啓一郎の小説を読むのは初めでした。また、恋愛小説を読むのは久しぶりでした。先程読み終わったところです。  還暦を過ぎて、このような恋愛小説と出会うと、自分自身の体験と重ね合わせながら読んでしまいます。  断片的な記述になりますが、今思うことを書きます。 始めに  主人公は、クラシックギタリストの男性と、国際ジャーナリストの女性。 時代背景が、サブプライローンに始まる金融危機、イラク戦争、東北大震災、音楽業界の不況。私が会社員時代の日本の30年間に及ぶ低迷の時代と重な