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徒然日記2021.3.06

今日、仕事をして帰ってきて、ある本の一つの章を読んだら、今後の生き方が変わるくらい痺れた。素晴らしい、素晴らしすぎる。その本は、『井筒俊彦英文著作翻訳コレクション 東洋哲学の構造 エラノス会議講演集』(慶應義塾大学出版会)から、第11章「存在論的な事象の連鎖 仏教の存在観」である。私が分かろうとして分かってない部分の多々ある仏教の「空」という教え、そして私が以前出会った仏教のことば「四法界」から、「理事無礙法界」と「事事無礙法界」を見事なまでに、鮮やかに解説いただいて身震いがした。魅力的は華厳の教え「因陀羅網」についてもわかりやすく解説いただいている。

南方熊楠が粘菌の中に仏性を見たように、世界は一つものから生起しているという真実にとても惹かれている。錬金術では、四元素から世界は成り立っているという考えがあるけれど、一つのもの、生命体の根源から全ては生起していて、それぞれが相互にさまたげることなく影響しあっているという真理は心を動かされる。粘菌はさまざまな形態になるという、植物のようにニョキっとキノコみたいに生えてくることもあれば、アメーバ状の状態の時もある。混沌とした粘質の状態から何かが生起してくるところに、多の一、一の多を見たに違いない。

何もないところから、何かが発生してくる。一つのところから、多くのものが発生している。多くのものは、一つのところから発生している。

花を見るときに、普通ならその見ている花しか見ていない。しかし、その裏側の存在の根源の部分も明るみに出すように見ていくと、花を見ている自分と、花との間につながりを感じることになるかもしれない。

目に見えないつながりを感じることによって、私がとか、あなたがとか、存在を分けることによってある悩み、妬み、嫉み、憎悪、怒り、欲望などは消えていく。もはや、あなたとかわたしとか分けていることが意味のないことと感じる。私もあなたも同じところから起こっている存在なのだ。分けていた、あなたと私の境界線は、なくなり融和していく。

生命の受精卵、胚が「一つ」のものから、多くの細胞となり、一つの生命体となるように、一つのものから多くのものが起こっている。分けて考えることによってある悩みを、仏の心を知ることによって、クリアーにすることができる。

何回も何回も読みたい井筒俊彦先生のわかりやすい「空」の教え。私は、色即是空、空即是色とか言うけれど、なにもわかっていなかった。もっともっと知りたい。生きていることに関わってくる、とても重要な部分なので、色々な人の本に仏性を探している。ライプニッツ、ベルクソン、ブルトン、ヴァレリー、南方熊楠、河合隼雄、澁澤龍彦、中沢新一。もっともっと知りたい。旅はつづく。

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