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「マーケの人手不足」に隠れた本当の課題とは?課題把握と解決アプローチ〜メディア・コンフィデンスInterview

マーケティング現場での人手不足


Q:企業のマーケティング現場での「人手不足の現状と解決のヒント」についてお伺いしていきます。まず、マーケティング現場での人手不足について、どのような状況が見られるでしょうか?

早野:はい、近年ではどの企業にもWebサイト担当者、SNS担当者などを設置して、ウェブサイトでの情報発信やリード獲得をおこなえるような体制ができてきました。

ただ、直接数字をつくれる部署ではないため、専門の人員を何名も配置する余裕はありません。いったん1名、2名程度を配置します。

ところが、ジャンルとしての進歩がめざましいぶん、担当者のスキルや経験が追いつかないという問題があります。

仕事としてはそれほど大変でなくても、何か作業をするたびに調べたり、外注先を探したりします。すると、経営層が思っているよりも時間がかかってしまう、ということがおきます。来週の会議の資料を作るだけで精一杯です。

その結果、労働時間が長時間化します。

また一つ一つが初心者レベルで実施されてしまううえに、学ぶ機会も得られないため、成果もでません。

成果がでないと担当者本人も「このままでいいのだろうか」という不安感や焦燥感にかられてしまい、悪循環となってしまいます。
最悪の場合、担当者が辞めてしまう。一人しかいない場合はそれですべての施策が終了となります。

まとめると「もともと少ない人数なのに仕事の領域が多く、直接の数値成果が出しにくいため成長が感じられない。しかし、一人でもやめるとダメージが大きい」。これが企業マーケティング現場での人手不足の実情ではないでしょうか。

単に人を増やすだけでは解決しない?

経営判断からは逃れられない

Q:そうした人手不足の状況を改善するために、どのようなアプローチが考えられると思いますか?

早野:上記の課題は「経営層が思っているよりも専門性が高く、個別の成果が出にくい」ことに起因するのではないでしょうか。「担当者1人ではまわっていないから人を増やそう」と考えがちですが、じつは元の見方が間違っているため、単に人を増やすだけでは解決しません。

そのため、真っ先に経営層の”マーケティング観”から改善するのが有効だと考えています。

  • いま、ウェブやマーケティングというものはどうなっているのか。

  • どの施策が必要なのか。

  • そもそも成果とは何なのか。

  • 成果を出すためにどんな工程があるのか

  • それぞれにどんな専門性をもつ担当者を配置すればいいのか。

  • それは正社員であるべきなのか、契約社員やフリーランスでもよいのか。

  • 何が達成できたら継続できるのか。

この思考順序から逃げるべきではありません。

なお、この思考順をたどっていくと、実は隠れた課題というのが見つかってきます。のちほど、「人が足りない!の裏に隠れている主な課題」について詳しくお話ししたいと思います。

外注したら解決する?

Q:人手が足りないのなら外注するのはどうでしょうか?

早野:経営層からしてみれば「良い外注先を見つけたらスムーズにまわりそうだ」と考えてしまいますよね。確かに、十数年前ならSEO業者や広告運用代行の業者を見つけてくればそれなりに成果を出してくれました。

しかし、いま必要なアプローチはそうではありません。

外注しても結局、一番必要なところは経営層が自ら意思決定しなければいけません。
成果の定義、担当者配置の正解、また、全体でいくらの予算をかければよいのか、意思決定はどんな基準でおこなえばよいのか、これらは従来の外注会社では教えてくれません。

外注してうまく回っていると思ったら「これどうしますか?」「これ予算オーバーしてもいいですか?」「御社担当者の確認まだですか?」など、結局、自社に人がいないとまわらない状況にもなります。

結局、経営側の判断からは逃れられないのです。

「人手不足」に隠れた本当の課題を知る

人員配置の考え方を取り入れる

Q:「人が足りない」の裏にある現場課題について詳しくお聞かせいただけますか?

早野:はい、先ほど話した経営層の思考順をたどっていくと、実は隠れた課題というのが見つかってきます。今回は「人が足りない!の裏に隠れている主な課題」についてお話ししたいと思います。

一つ目が「人員配置」という考え方の不足です。現代のデジタルマーケティングではかなり、行程の分担という意識が強くあります。

経営層のマーケティング認識が古く、やるべきことがわかっていないために適切な人員配置ができていません。ここでは単に人数がいればよいわけではなく、全体の行程のなかで自分がどこを担当しているかを把握することが必須です。
「ウェブに詳しそうな若い社員を、数人なんとなく配属させている」フラットな組織では、うまくいきません。

これは現代型組織の知識を得ること、専門家とディスカッションすることで解決できます。

ただし、人員配置がわかったからといって、既存社員の異動だけで実践できるかというと怪しいです。制作費を調達したり、経験者を雇うなどの追加の投資が必要になってきます。

ここで経営層としては、ヒト・モノ・カネの意思決定が必要になります。今までのやり方をやめるのは勇気がいることかもしれません。10年付き合いのあった外注会社と決別することもあるでしょう。

マーケティング活動を進めるにあたり、このヒト・モノ・カネの意思決定からは逃れられませんから、痛みを伴いますね。

無駄な仕事を切り分ける

ー経営層のマーケティング認識の更新が重要であるということ、理解しました。次に、他の現場課題についてもお聞かせいただけますか?

早野:無駄な仕事が多すぎる、ということにも注意してほしいです。
デジタルマーケティングの領域において直接的に「成果」を出す部分はいくつかしかありません。見込み顧客の連絡先を獲得したり、アポや商談を確約することが本来「成果」と言える部分ですが、そのために無数の準備が必要になります。

ここで起こるのが「間接的な作業の多さ」ですね。どうしても間接的な作業が多くなり、忙しいといつしか目的を見失います。手段と目的が逆転するということですね。

典型的なのがアクセス解析です。
GA4などのアナリティクスを用いてレポーティングをおこなうためには、Webサイトへの正確なタグ設置やイベント計測などが必要なのですが、なかなか骨の折れる作業です。

本来は「成果につながりやすい行動を強化する」ためにレポーティングをおこなうべきなのですが、レポーティングが目的になってしまい、会議で発表するための細かい資料を作成するために週の半分を費やしている・・・ということが起こります。

人員の多いBtoCの大企業なら必要かもしれませんが、少人数でマーケティングをおこなうBtoBの現場では減らすべき作業です。「そんなに時間をかけて正確にやったところで、成果を得るための行動は変わるのか?」というツッコミが必要ですね。

僕はよく筋トレで例えていますが、高級体重計にずっと乗って細かい数値を測っているだけの状態です。体重計に乗っていないで早く筋トレいけよ、ということですね。

課題としては「間接的な作業であることに気づかず、時間を浪費している」ということになります。これはなかなか、自分たちでは気づきにくいので、外部の視点で発見しなければいけません。

ー目的を達成するために必要な作業とそのための間接的な作業がしばしば混同されるというのは、興味深いご指摘です。

部署連携ができる人を配置する

ー次の現場課題についてもお聞かせいただけますか?

早野:3つ目が部署連携の課題です。具体的にはマーケティング部の施策実行者と、セールス部の営業担当者の連携がとれていないという課題ですね。

典型的な例が「成約した顧客がどの流入経路から来たか」がわかっていない、というケースです。今回のインタビューのテーマである「人が足りない」という観点からいうと「部署間を繋げる人がいない」ということになります。

SEO対策をして、自然検索から流入したリードが、数ヶ月の検討期間を経て商談に至り、契約した。セミナー運営をして、たまたま参加してくれた人が内容に触れるうちに理解度を深め、社内で提案してくれて商談に至り、契約した。こうした流れがわかっていれば、マーケティング部とセールス部がどこを協力すればいいかが見えてきます。

ただ実際には、施策をやる人は施策をやるだけで精一杯で、成果まで追えていない。セールス側は目の前の商談を決めることで必死なので、CRM上で流入経路まで追っていない、というミスマッチが起こります。
理想的なマーケ→営業の流れを理解したうえで、最終的な成果につながるリード獲得は何がベストかを整理し、今後の施策を強化していく人が必要です。

ー部署連携の課題について、具体的な事例や問題点をご説明いただき、ありがとうございます。

「人手不足」に隠れた課題の解決アプローチ

ーこのような課題に対処するために、御社の具体的な改善策や取り組みについて教えてください。

早野:はい、ここまで「マーケティング現場の人の課題」と、その裏に隠れているいくつかの現場課題について話してきました。

私たち(株)メディア・コンフィデンスは、こうした課題に対して、ベストなアプローチで解決に取り組んでいます。ここからは当社がどういう解決アプローチをしているかについて紹介しますね。

まず、経営層に対して、現在のマーケティング観を修正すべく、支援の初月では現状分析と調査、経営層へのヒアリングを徹底しています。

多くの経営層が、旧いやり方とつきあいのなかで、担当者の課題もわからないまま放置していますから、そこに切り込んでいますね。

コンフォートゾーンから離れなければいけないので痛みをともないますが、必要な痛みです。

ヒアリングを進めていくと「どんなマーケティング活動が有効か」「必要な行動量」がみえてきますから、そこに対して「必要な人員配置」が導かれます。ディレクターを増やそうとか、編集もライターもできる人を定額で動かそう、などですね。
ここまでは通常のコンサルティングといえます。

ここから、当社が提携しているフリーランスマッチング会社とも連携をとり、スタッフィングをおこないます。社員採用よりも高速で失敗が少ないため、有効です。フリーランス中心に業務委託で採用しながら、3ヶ月ほどやっていくと次が見えてきます。

「人の課題」と思っていたものが実は違う課題だったということがわかってきたら、経営層とともに正しい観点から施策、コンテンツ、アクセスの評価をおこない、良い状態をキープしていきます。

予算はかかりますが、予算をかけてでも理想の状態を実現しておくことが、結果的に企業にとってプラスになります。良い状態ができたら支援完了です。

このように、当社は人材会社とも制作会社とも異なる「ハンズオン型実行支援」をおこなっていますが、変化が激しく、細かい専門性が要求され、無駄な作業が発生しやすいデジタルマーケティングのジャンルでは、当社のアプローチが最も有効だと考えています。

通常のコンサルだけでなく、フリーランスマッチング会社との連携を通じてのスタッフィングで人材を柔軟に確保するという点が興味深いです。ハンズオン型の実行支援アプローチ、素晴らしいですね。

早野:ありがとうございます。このアプローチが、ますます成果を上げられるよう、今後も進めていきます。


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