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観光地で知り合った「良い人」がマルチ勧誘だった件

はじめに


ちょうどこの一件があった頃、毎週楽しみにしていたドラマがあった。田園を舞台にしたミステリー、『ハヤブサ消防団』。ハヤブサ地区で起こる連続放火事件からどんどん話が展開していく。

ネタバレにはなるけれど、放火事件のバックには実は宗教団体が絡んでいて、地区の人々の中にも実は…みたいな人が出てくる。信仰している=悪なのか、ドラマの中でも重要なポイントになっていた。


これはそんなドラマも終盤に入った頃、体験した話である。


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観光地にて


日本人の留学生友達で上海の有名&定番観光地に行った時に、
一休みしたくて中国茶屋さんにふらっと入った。

中国茶といえば試飲とか言って飲まされて後から高額請求されるみたいな詐欺はよくある話で、ガイドブックなんかにも載ってる。
でも入ったところ雰囲気がよくて、値段設定も良心的。普通のお茶屋さんといった感じで怪しいところはなかった。

お茶の説明をしてくれたり、お湯を足してくれたりと
親切で優しげな店員さん(1人で切り盛りしてた)と軽く会話になる。

留学したてだったのもあり、優しく話してくれる彼女にすっかり気を許す。(これは別に悪いことではなかったと思う)
内容としては留学来てみてどう?とか日本ではどこに住んでたの?みたいな軽い感じで、中国語上手だけどどこで習ったの?みたいな話もした。

ちょっと喋ったら彼女は仕事に戻る、お湯を足しに来てくれた時にまた話す、という感じでだんだんと会話の内容が深掘りされていき、私たちの警戒心も消えていった。

ちょっと話してるうちに 知り合いが東京に長く住んでて、ビジネスで成功してるから今度紹介してあげるよ~という話になる。その時社名をいってたかもしれないけど、中国語が完璧という訳でもないために聞き取れなくてスルーしてしまった。

急に見せてくれた動画には、かなり大きな会場(ホテルの大宴会場的な)で知り合いとおぼしき人が表彰されていて、マッサージとかのお店を展開してると言っていた(あと何かも言ってたけど忘れた)。
何の表彰なんだろ…とは思ったけど,この時紹介された訳じゃなかったから特にそんな人が知り合いなのね、くらいで話が終わった。

あと日本の本読んでるって見せてくれたのが「稲盛和夫」のビジネス系の本で、中国では有名なんだよって事だった。てっきり小説とかなのかなと思ったらビジネス寄りのものを読んでて意外だった。

中国の生活の中で困ったことがあったらなんでも言ってね、こうして仲良くなれたのも縁だから微信交換してもいい?と言われ微信を交換する。
(中国では割と気軽に微信交換しよって言う人が多かったから、普通に交換しちゃった)
"姐姐って呼んでいいよ!"と言われ、本当に親切だったのとお店のサービスにも満足してた&他のお店でも店員さんと仲良くなったことがあったからすっかり気を許して姐姐呼びしてた。
お姉さんは「缘分」「家人」という単語をよく使っていた。

で、ずっと留学生だけでいるから交友関係が広がらないねって悩んでたんだけど、"良かったら今度上海の友達も紹介するね"という日本人ならその気がなくても言う言葉を言われ、是非!みたいな感じになる。
機会があったら一緒にご飯食べようね!みたいな。
(この時点では正直本当に行っても良いとは思ってた)


お店で一緒に写真を撮り、じゃあまた〜って別れる。
すぐに微信で連絡をくれて、写真送ってくれたり気をつけて帰ってねってめっちゃ優しくしてくれる。


出会って二日目


その日はそのまま帰ったものの、次の日の朝方お姉さんからメッセージがある。

「素食の良いお店があるし、
 紹介したい人もいるからもし時間あれば今日ご飯どう?」


まさかの次の日に今日行こう!のノリは結構きついし、学校の勉強をやってのんびりデーにする予定だったからあまり乗り気にならず。
でもまあ誘われてるし、友人たちとも相談して5時くらいなら行けます!と返事をする。

お姉さんはそのお店の住所と私たちの最寄りからの行き方まで送ってくれる。

優しい、めっちゃ優しい。

ただ準備してる頃に待ち合わせ場所が変更される。
お姉さんはお昼すぎから読書会?みたいなオンラインの用事があるらしく、それの都合でなのかなという感じだった。

変更先は『安利上海体验馆』という場所。
なんか博物館の類なのかなと思いネットで検索してみたものの、なんか生活に関わる展示があるっぽい、ぐらいの情報しか得られず。ふーん。

しかもお姉さん、この時間に駅出てからその場所までどう行くかを再度文章で説明してくれる。やはり親切すぎる。


待ち合わせ場所に到着すると、新しくて綺麗な感じの建物だった。
中に入ってみるとなんというか小規模な展示があって、小学生の時に行く色んな体験も出来るような学習施設を思い出した。

生活を良くしよう的な文章とか、こんな社会活動の成果があります、みたいな写真が飾られていて、カフェスペースも入口近くにあった。
結構人は沢山いて、同世代っぽい女の子もカフェスペースで働いていた。カフェは賑わってて席がないくらいで、待合室的なところで休んでる人も多数いた。

なんか地元の体験施設かな、くらいに捉えてたけど、到着した時に私は
"ここ何の施設なんだろ。ネットで調べてもよく分からなかったんだよね"
というナイスすぎる伏線をはる。このあと見事に回収します。


しばらくしてお姉さんが上の階から降りてくる。
カフェでコーヒーを買ってくれるらしい。なんかカフェでは素食を売りにしてて、オーツミルクを売りにしてるっぽい。
注文して商品が来るまでお姉さんが施設をざっと説明してくれた。

ここのカフェは貧しい子供に寄付をしてくれるカフェで、自分が健康にいい飲み物を買うだけでそういう活動も出来るの、

と言って上の垂れ幕を指さす。


Children Foundationと書かれた幕に子供の写真が載っている。ああここはそういう感じの施設だったのか………ってあれれれれれれ!!!?Amway???安利ってもしかしてそれ…??????あわわあわわわわわ

( ;゚³゚);゚³゚);゚³゚)

終わった……

全然知らずに丸腰で本拠地的なところに来てしまった。
ここでようやくこれまでの違和感が全て繋がっていく。今日紹介したい人たちってそういうこと????!これ囲い込まれたら帰れないんじゃ…💦💦💦

私が心拍数爆上がりしてる頃、友人たちはお姉さんの話に楽しそうに相槌を打っていて、これは全然気付いてないか知らないやつだ…となる。

今どうするべきか考えながら、でもぎこちなさを隠さなければと平然を装いながらお姉さんの話を聞く。

一方でお姉さんは多分安利を隠すつもりはなく、
例の日本の知り合いもマッサージ店とか色々開いて成功してるんだ〜とか.
”なんかを私たちにしてあげるとなんかになって収入になるみたいな話”
(もうここら辺ビンゴじゃん…って内心焦りすぎて内容入ってこなかったけどうっすらねずみ講じゃね?って話だった)をする。
ちなみにこの施設では色々勉強が出来て、借りるのもお金かからないと言っていた。あせあせ💦

コーヒーを受け取った後は、カフェの席が埋まってたから上の階に移動することになる。なんか二人のおじさんの写真を指差してこれ知ってる?って説明してくれたが、多分創設者なんだと思う。

ここで友人たちに伝えることも考えたけど、変にぎこちなくなるのも怖かったからあえて伝えず、万が一出られないことがあったら助けてもらえるように、スマホで上海住みの日本人の方、救世主にとりあえず連絡をする。(その節はありがとうございました。実はこんな状況でした。滝汗)

上の階は会議室的な部屋が沢山あって、オフィスっぽい雰囲気。ロビーにフリーで座れる机と椅子があって、待ち合わせしてるお姉さん方以外にも主婦層みたいな人達が何組か座ってお話をしていた。

とりあえずお姉さんの他に3人、30代、40代、60代くらいの方がいた。お姉さんはその人たちと一緒だったようだ。軽く挨拶をして隣の机に座ってお話する。

お姉さんの話題はあんまり覚えてないけど学校のこととかだった気がする。買ってもらったコーヒー(コーヒーにオーツミルクが入ってるもの)を飲みながら話した。

お姉さんの連れでいた3人のうち1人の方が帰ることになり、みんなでとりあえず写真を撮ることになる。私はあんまり記録に残りたくなかったけど断る雰囲気ではなく写真にうつる。
まだあって10分足らずで、たいして話してもないのに写真撮影ってどういうこと~!?

その後40代の方もこっちに加わる。
もう1人の知り合いらしき方は果物差し入れてくれてどこかへ行った。

40代の方が作った素食クッキーを頂きながら引き続き会話が進む。
大学生活の話題が多かったから、どこの大学でどこに住んでるのかがバレバレだった。”寮にキッチンあるならそこで作り方教えてあげることもできるね”って言われ、”友人が学生じゃなくても校内入れなくはない”って答えた時はさすがにどうしようかと思った。いい感じのフォローを入れたかったけど、あまりの動揺と話の流れ的に無理だった。

で国慶節の予定は?って聞かれて月餅の作り方を教えるから、友達(さっきまでいた方)の家で作ろうよという流れになる。
いや、さすがに家に行くのはまずいぞ😵

素食の好きな友達もいたし、是非!となる。しかも暫定の日にちも決まっちゃう(こういうグイグイ感がちょっと怖い) 
やばい、やばいぞ…💦

日本人なら社交辞令だけどこの人たちは本気なんだろうなと思った。

最近はオンラインでも読書会をやってて、色々な場所にいても参加出来るんだよ。という話題になり、使ってるアプリとか見せてくれる。他の友人はこのアプリ使ったことあるからインストールしてあるよ!って答えてて肝が冷える。そ、そんなアプリ知りません!泣

あと土日とか授業無いのはいつ?と結構細かく聞かれて、スケジュール感把握される。時間があるならまた待ち合わせてご飯食べたり、ここ来て交流したりしよう!と言われる。

あまりのプレッシャーと不安に耐え兼ねてトイレ行きたいって申し出たところ、お姉さんが案内してくれることになった。別の階にしかなくてエレベーターで移動する。密室に2人。しかもトイレまで一緒について来てくれて、お姉さんもトイレを利用し一緒に戻った。ひとりで行かせたら逃走するとおもったんかな。


この時残された何も知らない友人達は40代の方からずっと缘分缘分って言われていたらしい。


戻ってから少し話した頃に、私たちまた読書会があるから今日はここら辺で、とお姉さんから提案がある。

私たちは奢ってくれるだろうけど一応コーヒーのお代について聞く。
お姉さんは今回は最初だから奢るから、次回からは割り勘にしてくれればいいよとの事。
いやいや、次回って。

まあでも良かった。帰れる。しかもなにも買わされていない。生きてる。



1階まで降りた後ここでも写真を撮ることになり(怖)、入口付近で写真を撮る。

そのままじゃあ気をつけて帰ってねと言われながら解散。

帰り道友人たちにどう伝えようかと、ものすごいストレスを感じながらおすすめされていた素食のお店で夜ご飯食べることにする。
話があるんだけど、と切り出したところやはり友人たちは知らなかったらしく、かなりのショックを受ける。





声かけて優しくしてくれたのは勧誘が目的だったのか。
どこまでが本当だったのか…。
これほぼハヤブサ消防団の倫也やないかい。

ハマっているドラマの展開的にも、自分が言った「ここ何の施設なのか分からない」発言も、しっかり伏線回収してしまった。


ここでもまだお姉さんからの優しいメッセージが届く。そしてオンライン勉強会のお知らせも。…。


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結局


結局その後もお誘いや気遣いの連絡が来たけど、いい感じにフェードアウトしつつ、ブロックして縁を切ることに成功した。

ここまでざっと書いてみたら気づけるようなサインは沢山あったのかもしれないと思う。

お話してる時にこれは「都是缘分」って繰り返してたし、「我们是家人」だとも言っていた。まだ出会って2日目の人にこうして言うだろうか。


私は平然を装っていたものの、時になんだか試すような鋭い目付き
(というか目が笑っていない)でこちらをみる瞬間があった。
こちらが疑心暗鬼だったからそう感じただけかもしれないけれど、
警戒心を感じ取られた気はした。

読んでる日本のおすすめの本がビジネス関連だったり、日本でビジネス成功している知り合いが謎の表彰をされていたり。これがもし日本で日本語だったら絶対に連絡先交換していなかったよね~泣

あとはハヤブサや実在した宗教団体でもそうだったけど、共通するところはみんなやけに親切なこと。そう、親切すぎる
お姉さんも初対面である私たちに暮らしの事を教えてくれ、帰り道や待ち合わせ場所までの道中まで心配してくれる。時間までにたどり着けれただけで本当にすごい!と褒めてくれる。日本人だけでいる私たちのために知り合いまで紹介し、会えるように手配してくれる。


お姉さんは本当に悪意なく、素食は健康的だし募金のような社会活動にも貢献できる、みたいな純粋な気持ちで活動しているかもしれない。こうした気持ちを批判することは出来ない。

でも中国に来たばかりで程よく中国語を理解出来る、でも完璧には分かっていないであろう女子大生に声をかけ、勧誘することは簡単なんじゃないか。しかも始まりは観光地ど真ん中の何の変哲もないお店。カモを探すには最適すぎた。


どこから計画だったのかは分からないけれど、お姉さんが会社の名前を隠していなかったところを見ると、本来の目的である社会貢献と健康的な生活への思いは本物だったのではと推測する。

それでも私たちが何も知らずに参加することは違うし、先に周知をして参加する意思があるのかどうか、意義や活動を十分理解して賛同しているのか、そうした部分をおざなりにして騙し討ちのように勧誘した事はいけないと思う。


昨日今日でご飯のお誘いが来たけれど、今となっては逆に本拠地に呼ばれててセーフだったなとも思う。素食レストランでご飯を食べていたら何も気付かずに家とか遊びに行っちゃったかもしれない。もっと深入りしていたかもしれない。

韓国での宗教勧誘については知識を得るようにしていたし、日本でもかなり敏感に気をつけている方だっただけに、今回のことは自分でもかなりショックだった。

ほんとうに普通の観光地のにある、普通のお店から全てが始まったから、留学生も旅行客も頭の片隅にこういう可能性も留めておいてほしい。
(特にちょっと中国語ができちゃう人!会話ができなければこんなに発展しようがないし…。)

一応日本大使館にまでいって相談したけど、鼻で笑われて軽くあしらわれたのでここで注意喚起しときます……

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我的気をつけポイント


留学期間を通して、たくさん良い人、生涯友達でいてほしいなっていう中国人の友達と出会った。みんな普通の人っていうか、日本での周囲の人と何ら変わりがなくて、なんなら中国人の距離感って結構好きだな~と思うくらい。

たまに日本人女子への物珍しさか、さまざまなコンテンツによって植え付けられた日本人女子への固定概念からか、距離感バグの熱烈怖アプローチを受けることはあったけど、悪い人ではなさそうだった( ^_^;)

一方で謎の引きを発揮し、数人こうした注意喚起が必要な人に出会ってしまった経験を生かしまして、私的怪しい人(in china)の共通点紹介したいとおもいます。
要チェック𖤐ミ



注意レベル⭐
・相手からぐいぐい来る。連絡先を聞いてくる。特に共通の知り合いがいない場合は注意が必要だが、絶対ダメって程じゃない。

注意レベル⭐⭐⭐
・微信の朋友圈がとにかく紅い。めっちゃ紅いし、そういう看板やマークの前であえて写真を撮ってる🇨🇳
・稲盛和夫の本を読んでると言ってくる。
(意外とこれは大きなサインかも!!)
・おじいさんが病気になって急遽元が必要です、とカタコトの日本語で微信送ってくる。笑 これは普通にダメ笑
・身内に軍人や党の人間がいるとしきりに自慢してくる。
・「缘分」「家人」というワードをよく使う。

注意レベル⭐⭐⭐⭐⭐
・やけに知り合いと合わせようとしてくる。しかも知り合って間もないうちから。
・ビジネスの話を自慢してくる。日本でも一緒だけど、起業して成功したとかなんの会社経営してるとか説明しだされたら、距離取り始めた方がいい。


全部実在。笑
これ一個でダメ!っていうものもあるし、重なってきたらおや…?って警戒してほしいのもある。あとは街でこじんまりとした本屋にはいったら、やたらスピリチュアル関連の本ばかりで、奥に祈祷室があったみたいなパターンも経験済み。

✨都合が悪くなったら、急に中国語が分からなくなって、日本語しか話せない人になりきって逃げましょう✨


さいごに


急にこの ”今となってはオモロエピソード” 思い出しちゃったから、勢いで記事にしちゃいました。

ただこんな経験はかなりのイレギュラーなので、留学中とか留学予定の人はビビりすぎずにいろんな人と関わってみてほしいなと。

そしてこの注意レベルを頭のどこかに置いておいてもらえたら!


どうぞ皆さま素敵な中国ライフをお過ごしください。


2024.6.1

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