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誰もお前の好みなんか聞いてねえよ


【今年のベスト本2023】
 今年読んだのは『傲慢と善良』『希望の糸』『まいまいつぶろ』『阿茶』『身代わり忠臣蔵』『カインは言わなかった』『ロウアンドロウ』『花酔い』『書楼弔堂』『百器徒然袋雨』『ちいかわ心理テスト』くらいかなあ(うろ覚え)
 他、映画化をきっかけに読み返した『少女は卒業しない』や『正欲』含め、今年は長々感想文したものが多く、それだけ豊作でした。そんな中で、烏滸がましくもマイベスト本を選出。


✨『阿茶』✨


「すでに死した夫家康のために自ら汚れ役を買い、後世通じて役に立とうとする様」「恵まれたよき友に礼を尽くす様」に心打たれたのと、
 今年初めてこの作家さんの本を手に取ったのだけれど、同じ物事に相対したときの捉え方、その感性が、思わず本を抱きしめたくなる程にやさしかった。以後新刊が出たら購入したいと思ったため、文句なしのベスト。



【今年のベスト映画2023】
今年観たのは『slam dunk』『レジェンド&バタフライ』『母性』『少女は卒業しない』『アナログ』『正欲』『キリエのうた』かなあ(やっぱりうろ覚え)
 そんな中で、烏滸がましくもマイベスト映画を選出。


✨『キリエのうた』✨

映画→小説は初


 もう一回行こうか本気で悩んだからね。すごかった。波田目さんの豹変と地震の描写がリアルすぎてトラウマレベルだったから行かなかったけど、本当にすごかった。
 ちょっと話ズレるけど、こないだ美術館行ったのね。本来美術って「その人にはこう見える」って感性を楽しむものだと思うんだけど、「あるもの」を絵に収めるって行為自体、実はものすごく傲慢で罪深いことなんじゃないかって唐突に思った。唐突に。感覚としてはゲシュタルト崩壊に近い。
 もちろん手段は絵に限らず、こうして白黒の記号に収めることも、音に収めることも、そもそも己が手段で切り取ること自体、「あるもの」に対する冒涜であるような気がして。だってどう考えたって収めようがない。その行為は「自然と共存」と、自然と人間が対等である前提で話し始める様に似ていて、ヒュっと胸が苦しくなるのを感じた。

 岩井俊二監督は、そんな「あるもの」を映画にした。広大な雪景色。凄まじい自然災害。どうしようもないことを主人公のうたに託した。本物は知らない。けれど本物の大きさを、奥行きを、十二分に想像させるような、キリエのうたは本当に当たりだった。地上波、楽しみにしてます。






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