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インプットとアウトプットの間

こんにちは。お久しぶりです。進路部の山上です。
2023年度初めてのエントリは、6/28(水)に開いた総合型選抜学習会のディスカッションについてです。
今年も引き続き「生徒・学生・教員で作る学びの場」として、総合型選抜に向けた学習会を開いています。

伝えたい自分の考えを育てる

第4回目となる今回は、小論文やプレゼンテーションなどのアウトプットと、テーマ学習などのインプットの間をつなぐ思考の段取りをディスカッションを通して練習しました。
これまでに高校生の書く・話すことの指導をしてきて、アウトプットの練習としてどれだけ「型」を教えたところで、生徒自身の中に「人に伝えたいとっておきのアイデア」がないと、書く・話す力はなかなか身につかないと僕は考えています。
中には、それっぽい一般論を自分の意見と呼ぶことに迷いを感じて、ブレーキをかけてしまう生徒もいます。これってとても誠実だと思う。
こういう書き手として真摯でありたい気持ちを我々がごまかすと、生徒は途端に書く意味を失ってしまいます。評価されさえすればいいんだなと賢い生徒は簡単に見抜いて冷めていく。
逆に言えば、これまでに関わってきた多くの高校生は「伝えたい思い」を持ちさえすれば、様々な「型」を自ら調べて、試行錯誤の中ですぐに身につけることができました。
学校図書館に行けば、論文やプレゼンの型を解説した書籍はたくさんありますし、ましてやそういった点でインターネットを使わない手は無いはずです。
「生徒・学生・教員で作る学びの場」で我々が作りたいものは、あくまでも「世の中のことをそれぞれの視点から共に考え学びあう場」です。
それが結果的に、生徒がインプットとアウトプットの間を繋ぐ思考の段取りを身につけ、様々な小論文やプレゼンテーションなどの課題と対面した時に、「人に伝えたい自分の考え」を構築する強さになっていくと考えています。

ディスカッションのしかけ

さて、このディスカッションでは解決策の提案に至るまでに「問いを創る人」「問いに答える人」「答えをいじる人」と呼ばれる3つの役割を設定しています。
今回は心理的なハードルの高い「答えをいじる人」も安心してできるように、あらかじめ担当するロールを緩く決めた上で、話し合いをスタートしました。心理的安全な場づくりも大切にしていることの一つです。
また、今回は学生のアイデアで議論の段階を可視化するホワイトボードを作成しました。ホワイトボードにあらかじめ議論の段階を書いておき、コマを進めたり戻したりしながら、「今何について話し合うか?」ということを参加者全員で了解するというものです。
これってメタ的な視点にとても繋がる仕掛けだと思います。学生のアイデアほんとすごい。

議論の段階を確認するホワイトボードとコマ

今回のディスカッションのテーマは「生成AIが急速に普及しつつある社会において、表現や創作にはどのような影響があるか?また生じる課題について各主体はどのような取り組みができるか?」でした。
テキスト生成AIだけでなく、画像生成AIの実物を触ってみたり、音源生成AIで作成された楽曲を聴いてみたりして、インスピレーションを誘ってから議論を開始しました。

ディスカッション全体のふりかえり

▼学生メンターさやのふりかえり

よかったところ◉
・答えをいじる人が多かった
・発言の意図を聞いていた
・生成AIについてグループごとの定義が定まっていた
・ホワイトボードのコマを進めたり戻したりして何について議論しているか確認できていた
(ホワイトボード有りがやりやすかったか聞きたかったのに忘れてました、、後悔)
・問いの解釈が的確にできていた 特に問いの影響を出すときに課題の言葉にに引っ張られずに+−両方出ていたのがよかった
・前回より深い議論ができた
・ぽいものではなく具体的な提案ができた
・途中で班員間で認識の相違に気がついた
・論点のずれに気がついた

改善点◆
・各主体を絞り切ってから議論を進める→提案が見えやすくなる
・疑問が出たらその場で共有する
・言葉の意味が混ざらないようにする 感情的ー倫理的
・そもそも、作った問いに切り込む(議論が進んでから戻るのは勇気がいる)
・まとめを簡潔に伝える
・情報量が足りなかったと聞いたのでニュースを見るなど事前知識をつける


今回は2回目でスムーズに議論が進んだからこそ、議論の内容が濃く具体的な提案に持って行けたと思いました。
生成AIに関して興味津々で調べていたこと、小説、音楽の著作権問題、心理的な問題などグループごとに関心の分野が違って議論の内容が違ったのが印象的でした。面白かった!

4回の学習会を終えて、7月からはいよいよ個別面談が始まっていきます。
今年はどんな思いを持った生徒が現れるのか、楽しみです。

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