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創作

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詩とか、小説とか。ノンフィクション、フィクションごちゃまぜ。
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2019年4月の記事一覧

薄明

わたしがほしいのは 真昼の強い太陽ではなく 影を覆い隠す薄明の光 全てが輝いて見える黄昏時 翳りなどない美しい世界 しかし黄昏は誰そ彼 闇の住人が紛れ込む 友の顔が曖昧に見える 昼と夜が繰り返されるように 季節が巡るように 永久に続く薄明は幻想でしかない それを忘れたとき きっと悪魔に拐かされる

虚ろな底

人のぬくもり 変化する楽しみ 自分との違い 知れば知るほど楽しくて わからないことだらけで 未知に満ちていて 知れば知るほど浮き彫りになる 癒せない孤独 空虚な胸の裡 寂しさとは何なのだろう 何を与えればこの花は咲き 何を与えればこの実は成るのか どれだけ水を与えても 根腐れを起こすばかりだ

死ぬように、眠る

眠ることとは死ぬことと似ている。 眠りにつく時、意識を無防備に手放す時、毎夜毎夜人は死んでいる。 夢の世界に行くという事は、身体を置き去りにして意識だけを浮かせるという事だ。 結局、わたしは死ぬことが怖いから、眠れないのだ。 なにひとつ、怖いことなどない。 死ぬように、眠ればいい。 どうせ、次に目覚められるかどうかなんて、 本当に目覚めるまでわからないのだから。 だからどうぞ、心ゆくまでおやすみなさい。 もしかしたら、次に目覚めたときにはきっと、新しい自分に生まれ