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独自研究

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私のオリジナル研究です。論文に近いスタイルで書いてあります。
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2023年8月の記事一覧

鷲羽池-双六火山灰は、5センチの泥炭を挟んでアカホヤ火山灰の上にある。

2年前の9月に花見平の東端でみつけた露頭は、良好な状態でそのまま残っていた。2年前はここぞと思った2層準から試料採取したが、アカホヤ火山灰を確認するには至らなかった。今回再挑戦だ。 30万年前の火砕流堆積物の上に黒い泥炭層がある。氷期のあいだここは植生を欠く裸地で浸食の場だった。気候が暖かくなったおよそ1万年前から植生が着いて泥炭が堆積し始めた。泥炭の上にある褐色層は鷲羽池の噴火で降り積もった双六火山灰だ。上方に徐々に暗色化している。植生が戻っていまと同じような草原が成立し

宝永山は従来説通り10万年前にできた古い山体

宝永山が1707年噴火でできたとする説が最近唱えられている。テレビで放送されたり、科学雑誌の表紙で謳われたりもしている。しかし、この新説ははなはだ疑わしい。地質学の基本を無視した暴論だと片付けてよい。宝永山は従来説通り10万年ほど前にできた古い山体である。 宝永山をつくる地層は西に30度傾斜している。そして東側が大きく削られて断面を露出している。この浸食がいつどんな理由でどうやって生じたかを新説は説明しない。富士山の側火山で断面がこれほど広く深く露出するのは、山頂火口と17