見出し画像

陸上自衛隊の特殊部隊・特殊作戦群(Special Operation Group)

当初、Wikipediaにて、記事を作成していたのですが、丹念に荒らされて内容の大部分を削除されてしまったため、こちらに移植することとしました。現行のWikipediaよりも大幅に内容が充実しております。

特殊作戦群(とくしゅさくせんぐん、英語:Special Operation Group)とは、陸上自衛隊の特殊部隊(Special Forces)である。部隊編成単位は群。基本的に訓練内容などの詳細な内容は安全保障上の観点から、日本国政府からは正式には公表されない。

特殊作戦群の部隊章(Insignia)

部隊創設:2004年(平成16年)3月29日

所属政体:日本国政府

所属組織:陸上自衛隊(人員補充担任)

編成単位:群(Command)

兵科  :諸職種混成、特殊作戦部隊、対テロ、対ゲリラコマンド、エアボーン(空挺)、ヘリボーン、海挺

人員  :約300名(新編当初)

所在地 :千葉県 船橋市

編成地 :習志野(陸上自衛隊習志野駐屯地)

略称号 :Sまたは特戦群(SOG)

標語  :Those who have a will follow me
     意思ある者は我に続け

上級組織:防衛大臣直轄
     2004年(平成16年)3月29日
     中央即応集団
     2007年(平成19年)3月28日
     陸上総隊
     2018年(平成30年)3月27日

主な戦歴:
 ○ イラク戦争における治安維持活動
 ○ 南スーダン平和維持活動
 ○ 2021年アフガニスタンにおける邦人救出


オーストラリア陸軍特殊作戦コマンドと合同訓練を行う特殊作戦群
(Exercise Dusk Samurai 2022)
オーストラリア陸軍特殊作戦コマンドと合同訓練を行う特殊作戦群2
(Exercise Dusk Samurai 2022)

略称の「特戦群」や、隠語としてSpecialのイニシャルから「S」と呼ばれることもある。
陸上総隊のコマンド部隊である。

概要

2004年(平成16年)3月29日にアメリカ陸軍のグリーンベレー(アメリカ陸軍特殊部隊群)やデルタフォース、イギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)、ドイツ陸軍のKSK(特殊戦団)、オーストラリア軍特殊部隊等、各国の特殊部隊を参考にして設立され、第1空挺団の拠点である習志野駐屯地に群本部を置く。初代群長は直接部隊創設に携わった荒谷卓が就任した。

発足当時の陸上幕僚長、先崎一陸将は記者団に対し会見で「(隊員には)ハードな知識やスキル、メンタルな部分が要求されるので(特殊作戦群の実戦化には)10〜15年はかかると思う」と述べており(2023年時点で創設から19年)、初代群長の荒谷卓は、訓練や練度は部外者が知り得ない防衛秘密であり、守秘義務に抵触するとして、詳細な言及は避けている。
(しかし、入隊志願者に要求水準のアセスメントを課題するためなどの理由から、たびたび、部隊運用に支障のない範囲で、タブロイド系のネットニュース等で情報開示が行われることがある。)

特殊作戦群は、アメリカ軍の一般歩兵部隊の上級再精鋭の対テロ等特殊部隊の位置付けとして創設されたデルタフォースや、デルタの範となったイギリス陸軍SAS(特殊空挺部隊)よりも、少人数チーム内に工兵や通信や武器や医療などあらゆるプロフェッショナルを集結させたような、グリーンベレー寄りの諸職種混成の特殊部隊であるとされており、普通科のみならず、情報科、施設科、通信科、武器科、化学科 、衛生科 など、あらゆる職種から志願者、プロフェッショナルを募っており、全国の部隊から職種に関わらず選抜が行われているとされる。様々な職種のプロフェッショナルに、空挺資格と特殊作戦訓練を施した諸職種混成の特殊部隊が特殊作戦群であると考えられる。

自衛隊版のデルタフォースに相当するダイレクトアクション(DA、直接行動)や対テロ作戦等専門の特殊部隊は、陸上総隊直轄の中央即応連隊や、同じく、普通科の中の最精鋭である第1空挺団、一般普通科連隊のレンジャー小隊やレンジャー班、海上自衛隊の特別警備隊等がより相当するといえる。

しかし特殊作戦群内にも、主として普通科出身者やレンジャー資格者だけで編成されたDA・対テロ・人質救出等専門の小隊や中隊が編成されている可能性がある。特殊作戦群創設時に、主たる範とされた米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)にも、CRF(危機対応部隊)と呼ばれる、デルタフォース相当の高度な直接戦闘力を持つDA等専従の戦闘中隊が存在する。

また、 デルタフォースも特殊作戦群創設時に範とされたとされるのが通説であり、日本国のTier1に相当する特殊任務部隊(Special Mission Unit, SMU)も兼務しているものと考えられる。

一般的な特殊部隊の性質上、数名から数十名程度の小部隊によって、小規模部隊の強みを活かした特殊作戦を行うことに特化した部隊であり、一般普通科連隊のように、施設科部隊等による陣地構築と防御戦闘などを行う能力は持たないと推測される。しかし、通常戦(大規模有事)においては、奇襲戦闘力(とりわけ近接戦闘力)の高さによる相対戦闘力は常に同規模の一般部隊を凌駕し、不正規戦闘および機略戦や、同盟外国軍や陸・海・空自衛隊の爆撃等の敵目標への誘導により、一般主力部隊を補充・補助し、また、司令部直轄のコマンド部隊として、司令部の目となり手足となる性格の部隊である。

また、大規模な有事未然の特殊状況下で、国内においては対テロ・ゲリラコマンド作戦やグレーゾーン事態、国外においては国際平和協力活動等や在外邦人等にかかる任務を行う際、一般部隊と並んで、専ら主力として活動するのも特殊部隊であると考えられる。一般部隊に対して小規模部隊戦術等を指導することもあると考えられる。

選抜

創設時当初は、特殊作戦群の発足母体が第1空挺団であったため、第一空挺団内から優秀な隊員を選抜にかけていたが、以後は全国の隊員から職種・性別に関係なく選抜されている。

選抜資格

選抜試験の受験資格は一般には公表されていないが、SNS上にリークされた特殊作戦群の入隊志願者募集(選考検査受験案内)の部内広告(ポスター)によれば、受検資格(1)共通 - 3曹以上(職種・性別不問)」、(2)作戦を直接実行する隊員 - 課程教育入隊時において36歳未満の者」「レンジャー素養試験に合格できる体力等を有する者」、(3)作戦を支援する隊員 - 「年齢制限なし。職種に応じた特技を有する者」と記載されている。

公表されている防衛省訓令では、特殊作戦隊員の要件として、空挺基本降下課程、もしくは空挺基本降下課程と特殊作戦課程両方の履修が必須とされている。
レンジャー資格については特に書かれていないが、レンジャー相当の心技体はもちろん、一流の様々なスキル・経験などが求められるのは当然である(※戦闘中隊配属を希望する場合は、レンジャー資格が必須ともいわれている)。

セレクション

セレクションに参加する前に、各方面隊で行われる一次審査と陸上総隊で行われる二次審査に合格する必要がある。両方の審査に合格して初めてセレクションを受けることができる。それぞれの審査は、自衛隊内で行われている一般的な体力検定、レンジャーの素養試験に類似しているとされている。セレクションは約2週間ほどかけて行われ、セレクションから特殊作戦課程を経て特殊作戦群の隊員になれるのは、訓練参加者全体の1割から3割程度といわれている。

セレクションの詳細な内容は非公開であるが、部隊の創設者がジョン・F・ケネディ特殊戦センター・アンド・スクールのアメリカ陸軍特殊部隊(グリーンベレー)養成課程(通称:Qコース)を突破しており、その内容に準じていると考えられる。実際の話においては、すでに肉体的に優れた者が集まるため、主に精神的ストレスをかけ、その耐久力を観察するという方法が取られているという。

創設時のセレクションにおいては、米英特殊部隊相当の基準により選抜を行ったところ、各部隊(師団・旅団)が自信を持って送り出した優秀な人材を次々と脱落させたため、抗議が殺到したものの、初代群長の荒谷卓は一切取り合わなかった。

セレクション後の課程

セレクションを突破した隊員のみ、さらに1年間選考をかねた特殊作戦課程が行われる。セレクションを突破した隊員の中で空挺徽章を持っていない隊員は、第1空挺団の基本降下課程へ入校し卒業後、特殊作戦課程へ入校する。

セレクション後の訓練環境

特殊作戦群の訓練環境は、群本部は習志野駐屯地に所在するものの、部隊の性質上、全国展開してあらゆる訓練環境で訓練を行っていると考えられる。

特殊作戦群は、全自衛隊が持つあらゆる訓練に供することができる資産・環境(演習場等)が優先的に使用可能であり、日本アルプスなどの山岳地帯、湖沼、河川、富士山麓の林野などの国有地や都道府県・市町村の土地、公共施設等を用いることも、土地・施設管理者との交渉によって可能であると考えられる。だが、民間人や他部隊の目に触れないようにする機密保持の実施が大きな支障となる。

また、比較的機密保持が容易な、沖縄県等に所在する在日米軍の訓練環境を年中日常的に用いて訓練を行なっているといわれている。

さらに、完全な機密保持が実施できる、ベーシックトレーニング用の訓練施設群(内閣総理大臣等による部隊査閲にも適する)として、いわゆる、キル・ハウス(恐怖の館)と呼ばれる近距離・屋内戦闘訓練施設棟、および市街地戦闘訓練を行える模造の小市街、各種モックアップが配置でき、「戦況現示(爆発や銃撃等の想定)」を演出することもできる模擬戦闘訓練施設棟、戦闘射撃(タクティカルトレーニング)に対応した専用射撃場、通常の射撃場、波浪などを再現できるプールや大深度プール、自由降下(FF)訓練施設棟、武道館、体育館、フィットネスジム、武装障害走コース、パルクール訓練施設、ハイジャック対策訓練教材の実機旅客機、シージャック対策およびVBSS(船舶臨検)訓練教材の商船模造物、バスジャック対策訓練教材の大型バス、ドライビングテクニックや車両戦術を教習・訓練するための車両教習・訓練場、長距離狙撃訓練施設、レンジャー訓練塔、ファストロープ訓練塔などの訓練施設群コンプレックスを保有しているか、目標を定めて整備を進めていると考えられる。こういった施設群は、諸外国の特殊部隊の公開情報からある程度推測できる。

隊員

中央即応集団編成完結行事に参列した
特殊作戦群隊員
中央即応集団編成完結行事に参列した
特殊作戦群隊員(2)


特殊作戦群の隊員には、高度な語学能力が要求される。具体的には、アメリカ軍、イギリス軍、オーストラリア国防軍等の諸外国軍の特殊部隊との合同訓練や共同作戦、そして外国での活動のために、必修の英語はできて当たり前が最低ラインとされており、さらに加えて、第二外国語の習得を各隊員が選任され、朝鮮語、中国語、ロシア語、アラビア語等を習得するので、隊員の語学能力水準は非常に高い。

また、外国語の習得は、かかる言語の話者の背景的民情・地域・諸文化等の学習と一義であり、例えば、アラビア語を習得する隊員は、イスラム教の根本教典であるコーラン(聖典)についても学ぶ。外国語等の習得は、主として隊員個々人の自助努力に委ねられているが、陸上自衛隊情報学校等からも支援を受けるるほか、東京外語大学等の国立大学等から極秘裏に教官が招聘され、高度な講義や、教材やカリキュラムの開発を行ない、語学能力等の開発を支援しているともいわれている。

また、NBC兵器や爆発物等(CBRNE)の知識についても、消防の特別高度救助隊等を上回るほどの水準が要求されるといわれている。

テロ対策や敵国領内での破壊・後方撹乱活動(挺身行動)のためには、第一種電気工事士相当の電気工事をはじめ、各種基盤インフラ、原子力発電所、ネットワーク等、武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律で定められた指定公共機関にかかる機械的構造等の知識も要求される。この際、部外から、国立大学等の教官が極秘裏に招聘され、講義を受講することもあるといわれている。

法規についても、自衛隊法のみならず、対テロ・ゲリラコマンド作戦やグレーゾーン事態も担うとされているほか、海外での活動も行うため、当然、擬律判断(武器使用)のために、刑法、刑事訴訟法、警察官職務執行法、国際法などの教養が必須であるし、なおかつ諸外国の地理や日々変化する政情・軍情・民情についても常に勉強しなければならないものと考えられる。この際、警察大学校や国立大学等から教官が極秘裏に招聘されることもあるといわれている。

アメリカ陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の編制を模倣して編成された部隊であるため、全隊員が副特技を持ち、2つ以上の職種に精通することも求められると考えられるし、軍用無線機等、複雑で高度な各種機材の取り扱いに習熟することも求められるのは当然である。

また、諸外国の特殊部隊と同様に、全隊員がハイレベルな第一線救護技術を習得しており、負傷者の後方搬送と外科手術が難しい地域で活動することが想定されるために、高度な外科医療技術を持つ医官、あるいは医官に準ずる外科救護技術を持つ衛生科隊員も在籍していると、当然推察される。

戦闘訓練については、イラク派遣前に一般普通科部隊と合流して訓練した際に生身の隊員を的の両わきに立たせて10メートル以上離れた場所を移動しながら拳銃の弾を的に命中させるなど、諸外国の特殊部隊と同様に一般部隊ではありえない訓練を行っている。特殊作戦群の約300名が1年間に射撃訓練で消費する実弾の数は、陸上自衛隊の1個師団と同等と報じられた。

特に、小部隊の強みを活かして特殊作戦を遂行する特殊部隊であることの性質上、近接戦闘術(CQB)の練度は、全自衛隊中最高峰である。また、レンジャー訓練課程の各種想定訓練の上級版に相当する特殊作戦の演習、および人質救出、戦闘捜索救難(CSAR)、VBSS(船舶臨検)、水泳・戦闘潜水・海挺潜入、空挺降下、ヘリボーン、ヘリキャスティング、山岳地帯での長距離行軍やトレイルランニング、武装障害走、特殊格闘、戦闘射撃(タクティカルトレーニング)等の訓練を、年中通して、日夜や天候を問わず、絶え間なく行なっているといわれている。

特殊作戦群の徒手格闘(自衛隊格闘術)は、「特殊格闘」と呼称される。特殊格闘の訓練では、民間から、メディア等に露出せず表に出ない、超一流の本物の武術家(俗に言う達人)が密かに招聘され、深い交流があると噂されている。世界的に見ても豊富な伝統武術・武道の伝承・実践国であり、かつて武芸の探究・習得・実践奨励を第一義に行う社会統治階級の武士が存在していた日本国の特殊部隊としての性格上、また、近接戦闘(CQB)での実用性からも、特殊格闘は、伝統的武士道精神を模範とした精神規範と共に、欧米の特殊部隊と比較すると、比較的、訓練比重が置かれて重視されていると考えられる。

初代特殊作戦群群長として、古今東西で、特殊部隊において重要視される、士気の充足と規律・精神規範の構築・錬成実務に携わった荒谷卓は、のちに明治神宮の武道館の館長に就任するなど、日本の伝統的武芸と武士道を深く探究した。荒谷は、日本古来の軍学書である闘戦経などを研究し、日本独自の武人の価値観の復興と精神規範の確立を目指し、日本国の伝統文化や神話的伝承等と、欧米型特殊作戦部隊の外来価値観の融合により、日本在来の独自性と強みを含んだ精鋭部隊を錬成することを目指した。また、退官後も部隊発足時のパイオニアとして、これらの更なる充実と普及・発展のために、隊史の著述活動などのメディア露出による民事活動を続けた。

しかし、このことが、多様な現代日本人の価値観からは、一部からはエキセントリックに感じられる場合もあり、このことにより、荒谷が陸上自衛隊を退官後も、精神的カリスマ性により、部隊に暗に思想的影響力を行使しており、あるいは部隊を私兵化して、民主主義を逸脱した直接・間接的な政治への介入(いわゆるクーデター)を企図している可能性があるなどという誤推と懸念による批判を主に外部から生じる事態となり、また、予備自衛官らを対象にした荒谷の課外補修訓練支援活動が、神経質な批判者からは「私的戦闘訓練」と誤解されたことなどから、退官後もパイオニアとして特殊作戦群の民事活動(部隊史の著述や報道のアジェンダコントロール等)の重要な役割を担っていた荒谷は、不名誉を着せられ、釈明を行うこととなり、活動と役割を萎縮することとなった。

特殊作戦群の隊員の意欲は高く、使いやすい装具や被服を自費で購入したり、休暇に自費で海外のボランティアや民間軍事会社(PMC)での研修を行う者も多く存在するとされる。そのほか、国際機関にスタッフとして出向するなど、海外で様々な任務にも就いているという。初代群長の荒谷卓も2、3日の休暇であっても訓練の制約の多い日本を離れて海外でトレーニングをしており、最初の1年でほぼ全財産の300万円以上を投じた。

極めてレベルの高い、文武両道の訓練を行なっているため、おおむね、日本国の大卒者の大半よりも勉強する部隊であり、「息をするように勉強と訓練(鍛錬)ができる鉄人でなければ入隊できない部隊」ともいわれる。入隊選抜に際して、志願者の学歴は原則不問であり、特段の専門的かつ高度な学歴・資格等、あるいは基礎学力等を担保する学歴を除いて、大学卒業等の学歴も評価の対象とはならないといわれており、「隊員個々人の規律、知力、気力、体力、集中力、行動力、実行力、継続力などの根性の素養は、難関大学合格者並みか、それ以上(あるいは、少なくとも陸曹であっても幹部自衛官の一般的水準を上回る)」などと、陸上自衛隊部内外では評されている。

このような、高度な文武両道の能力が求められると同時に、常に奇襲性が要求される特殊部隊の性質上、思考やマインドの硬直化を嫌い、規則や常識にとらわれず、発想の転換や、柔軟で創造的なマインドが要求され、「イマジネーションを豊かにする」オリエンテーション・プログラムも実施されているとされる。具体的には、初代群長の荒谷卓がタブロイド誌の取材に語ったところによれば、隊員に「ミッション:インポッシブル」のワンシーンを見せ、「君がトム・クルーズなら(この状況下で)どうするか?」と問いかけ、隊員個々人にユニークな解答案を委ね、けっして正答案があるものではない、といった課題が課せられるという。

同様に、映画を教材として使用するオリエンテーションは北朝鮮の諜報機関の工作員養成課程でも行われているという、元工作員の安明進(アン・ミョンジン)による証言がある。そちらでは、旧帝国陸軍中野学校の映画が使用されるという。(北朝鮮拉致工作員 2000年3月 徳間書店〈徳間文庫〉ISBN4-19-891285-8)

特殊作戦群が発足した当初は、同じ習志野駐屯地に同居する第1空挺団との任務等の競合から、空挺団から裏切り者扱いされたり、専用施設群を横奪され、隊員と家族が居住する専用隊舎にすら困窮し、手当などでも冷遇を受けたものの、文句を言う隊員は誰もいなかったという。

公の場(日本国内)に姿を見せたのは、上級単位である中央即応集団(~2018年)及び陸上総隊(2018年~)における式典のみで、その際も目出し帽(バラグラバ)で顔を覆った一部の隊員と群長のみが出席するなど、徹底した機密保持がなされている。

旧制服を着用した特殊作戦群の旗手
(中央即応集団時代の式典)
新制服を着用した特殊作戦群の旗手
(2018年以降、陸上総隊の式典)

しかし2022年9月22日、国防省オーストラリア国防省から、10月6日には陸上自衛隊公式SNS上で特殊作戦群の訓練画像が初めて公開された

編成及び他組織との連携

特殊作戦群

  • 特殊作戦群本部(第1部・人事と総務、第2部・情報、第3部・計画、第4部・補給)

  • 本部管理中隊

  • 第1中隊

  • 第2中隊

  • 第3中隊

  • 教育隊

からなるとされている。発足当時の人員は約300名で、そのうち戦闘中隊が約200名とされていたが、現在の規模は不明である。

群長は1等陸佐、副群長は2等陸佐、中隊長に相当する3等陸佐が3名以上いるとされている。陸曹以上の隊員のみで構成され、陸士は所属していないとされている。

特殊部隊の性質上、建制の部隊編制は、例えるならば、赤野菜、黄野菜、緑野菜、紫野菜のようなものであり、実際は常に、タスクフォース(任務部隊編成...ミニサラダ状態)で活動しており、任務に応じて数名規模から数十名規模まで任務部隊が編成され、常時フレキシブルに不規則的な再編成が行われていると考えられるので、建制の部隊編制表の意味は極めて薄い。

複数の狙撃班が編成されていると考えられる。警備犬も所属している可能性が高い。また、グリーンベレーのCRF(危機対応部隊)やデルタフォースに類似した、主として普通科出身者で編成された対テロ・ゲリコマ、DA(直接行動)、人質救出等を専門とした緊急時初動即応部隊の小隊あるいは中隊が少なくとも1隊は存在し、24時間365日体制で出動待機しているか、数隊の同様の小隊あるいは中隊がローテーションで持ち回りで待機していると考えられる。

群本部を、陸上総隊司令部(日米共同部)が入居する、キャンプ座間・座間駐屯地に移駐するべきという提言がOBから出されて報道されたことがあるが、第99代日本国首相の菅義偉(当時)が部隊査閲を行った際にも習志野駐屯地にて部隊査閲が行われており、部隊を支援する空挺後方支援隊も習志野駐屯地に所在しており、2023年現在も群本部は習志野駐屯地に所在していると考えられる。

自衛隊情報部との連携・一元的運用構想

かねてより、OBなどから陸上幕僚監部、指揮通信システム・情報部(G2) 情報1班特別勤務班、通称:別班(Defence Intelligence Team:DIT)などと一義的に一体運用するべきであるという意見があるが、2023年現在でのパートナーシップや達成状況は不明である。

同じ陸上総隊直轄コマンド部隊の中央情報隊(現地情報隊)とは、既に緊密にあるいは一元的に運用されている可能性が高い。

なお、情報特務員の養成は、陸幕のG2の別班(DIT)勤務員も、陸上総隊の部隊員も、陸上自衛隊情報学校で養成されるとされている。情報学校は特殊作戦群の語学(外国語)能力の開発支援も行っているといわれている。

(陸上幕僚監部直属の別班を除いた)情報部隊から報告を受けて情報を吸い上げるのは、防衛省情報本部(DIH)である。警察庁や協力体制のある外国軍の情報部からも情報がもたらされることがあるとされている。

特殊作戦群の防諜・保安

特殊作戦群は、たびたび、内閣総理大臣等により部隊査閲を受けているが、部隊査閲が行われたことは内閣官房長官会見などで報道記者団に対して明かされるものの、その内容と詳細(儀礼的な部隊観閲ではなく部隊の能力にかかる訓練の査閲であるとされる)については、「部隊の性質上」公表は差し控えられている。このことから、特殊作戦群の日本国政府内での位置付け(部隊の重要性の序列の高さ)と機密性の高さが窺える。

特殊作戦群の隊員は、幹部自衛官や、イージス護衛艦のCIC(戦闘指揮所)勤務員相当のセキュリティ・クリアランスが求められると推察される。特殊作戦群に対する諜報活動へのカウンターインテリジェンス(防諜)や特殊作戦群隊員および志願者(候補生)の身体・身辺調査は、3幕(陸・海・空)自衛官混成で、防諜(自衛隊に対する諜報活動の取り締まりや、自衛隊員の身体・身辺調査)を担う常設統合部隊である、自衛隊情報保全隊が主として担うものと考えられる。陸上幕僚監部指揮システム運用・情報部(G2)の、自衛官や防衛産業関係者への「適格性確認」を行う情報保全部署である、運用支援・情報部情報課の「情報保全室」 も隊員・志願者(候補生)および関係者等の身体・身辺調査を行っているものと考えられる。また、隊員個々人も、防諜や機密保持に関する講習等を陸上自衛隊情報学校等で受講している可能性がある。

さらに、警視庁公安部も独自にバックアップ的にアプローチしている可能性があり、隊員や関係者が事件・事案・事故等に巻き込まれた際に初動し、一般刑事事件なのか、公安(所掌の)事件なのかを見極めたり、あるいは隊員・志願者(候補生)の身体・身辺調査にもアプローチしている可能性もある。一例として、2013年5月に防衛省統合幕僚監部特殊作戦室長の黒沢晃一等陸佐(当時)が、東京都千代田区麹町の国道20号でオートバイにはねられて死亡した際には、テロや外国政府および軍の工作活動の疑いから、警視庁公安部がオートバイ運転手の周囲を徹底的に調べ上げる事態にまでなった。

その他部隊等との連携

  • 陸上自衛隊補給統制本部 - 特殊作戦群(装備開発実験隊に相当)と一元的にPDCAサイクルにより特殊作戦の戦術および装備品を開発していると考えられる。

  • 空挺後方支援隊 - 第1空挺団だけでなく、特殊作戦群の後方支援業務も担当している。

  • 第1空挺団 - 同じ習志野駐屯地に所在し、特殊作戦群の創設当初の母体ともなった。特殊作戦群創設前は、陸上自衛隊唯一の空挺部隊であった。特殊作戦群の志願者(候補生)または隊員は、陸上自衛隊空挺教育隊に入校し、空挺基本降下課程、自由降下課程を修了する。

  • 冬季戦技教育隊(CWCT)- 平時は北部方面隊所属の雪中戦専門の教育隊であるが、有事の際には再編成され、特殊部隊となる。特殊作戦群との関係が深いとされる。特殊作戦群とは異なり、陸上総隊ではなく北部方面隊に隷属する。特殊作戦群の隊員の一部も、冬季遊撃レンジャー課程を履修するとされている。

  • 中央即応連隊(CRR)- ゼロレンジコンバット(格闘術)の履修など、一部、共通のカリキュラムがある。同じく、陸上総隊直轄のコマンド部隊である。2021(令和3)年8月23日の在アフガニスタン・イスラム共和国邦人等の輸送任務では、主力部隊となった。陸上自衛隊の海外派遣任務では、先遣隊あるいは主力部隊として活動する部隊であり、隊員は志願者のみで構成されており、一般普通科連隊とは性質を異にする。ただし、空挺資格者等のみで編成された部隊ではなく、陸士も配属されており、特殊部隊には位置付けられていない。

  • 中央特殊武器防護隊(CNBC)- 陸上総隊直轄の化学科部隊。同じ陸上総隊の直轄コマンド部隊として、一体運用されている可能性が高い。

  • 対特殊武器衛生隊(NBCCMed)- 陸上総隊直轄の衛生科部隊。同じ陸上総隊の直轄コマンド部隊として、一体運用されている可能性が高い。

  • アメリカ陸軍第1特殊部隊グループ、第1大隊(390名)- トリイステーション駐留。

  • アメリカ空軍特殊作戦コマンド、第353特殊作戦航空団、第21特殊作戦中隊・ 第753特殊作戦航空機整備中隊 - 横田基地駐留。CV-22オスプレイを運用する。「キーンソード演習」を共同で実施している。

教育・訓練・能力開発支援

  • 一般部隊 - SERE(生存、回避、抵抗、脱走)訓練等、特殊状況下を想定した訓練実施には、必要に応じて一般部隊からも人員が送られて訓練支援にあたっていると考えられる。

自衛隊の各種学校の教官は研究員も兼務しているといわれる。

  • 海上自衛隊第1術科学校 - 教育第3部に、スクーバ課程が設置されている。また、特別警備の術科並びに教育技術及び陸上警備に関する教育訓練も担当している。

  • 陸上自衛隊富士学校

  • 陸上自衛隊施設学校

  • 陸上自衛隊通信学校

  • 陸上自衛隊武器学校

  • 陸上自衛隊需品学校

  • 陸上自衛隊衛生学校

  • 陸上自衛隊化学学校

  • 防衛医科大学校、防衛医科大学校病院

  • 自衛隊中央病院、その他地区自衛隊病院

  • 防衛研究所

部外の機関

  • 警察大学校

  • 消防大学校

  • 海上保安大学校

  • 国立大学や国立研究開発法人等の教官(研究員)、研究室

作戦展開・航空支援

主として第1ヘリコプター団隷下の航空科部隊が特殊作戦群の作戦を支援する。

  • 第102飛行隊 - 特殊作戦群の作戦展開を支援する直援飛行隊である。ミニガン(M134)、M3重機関銃等による空中からの火力支援も提供する。

  • 輸送航空隊 - MV22オスプレイが、将来的に、特殊作戦群の作戦展開を支援する可能性があるといわれている。

海・空自衛隊や米軍からも支援を受ける。ただし、相互運用性の実現のためには、平素からの部隊運用実験と錬成が必要不可欠である。

  • 在日米軍の各種特殊作戦用航空機

  • 海上自衛隊の艦艇や航空機

  • 航空自衛隊C-1、C-2、C-130等の輸送機

社会悪物品の水際取り締まり支援

諸外国では、軍の特殊部隊は、法執行機関による社会悪物品(覚醒剤・あへん・麻薬等の違法薬物等、ならびに銃砲類等)の水際取り締まり任務を補充・補助していることがある。現在までのところ、特殊作戦群が、違法薬物等の国際的密輸入の水際取り締まりにかかる作戦に参加したり、活動を支援したという情報はない。

また、日本国の現在の治安情勢においては、国内外の反社会的組織・集団が重武装化・反政府集団化し、日本国政府との間で内戦的状態に陥っている地域や情勢などはなく、反社会的組織・集団は一般刑事事件の枠組み内で警察力によって十分対処されており、警察力によって十分対処できない反政府武装集団等も存在せず、第一義的な取り締まり機関(海上保安庁、都道府県警察、財務省税関、厚労省麻薬取締部等)および日本国政府・国家公安委員会から、特殊作戦群による直接の支援が望まれる可能性は低い。

また、かかる部隊出動の根拠となる必要な法令も、必要性がないため、日本国の法典には法整備されていない。またそもそも、諸外国においても、国軍部隊の直接的治安出動は、民心の不安をあおり、また、近隣諸国からも、統治能力の不十分な政情不安定な内戦的状態の国家と見做され、近隣外国軍等の介入・進駐等を招くおそれがあるため、最後の切り札もしくは一時的な措置であり、原則、敬遠されている。

沿革

○ 元々、第1空挺団内には、当時仮想敵国であったソビエト連邦軍が北海道に南下侵攻してきた際に、当時、ソ連最強と謳われ西側諸国を震え上げさせていたスペツナズ(ソ連軍特殊部隊)に対象的に同種部隊で対抗、またはスペツナズが起こすであろう後方撹乱やゲリラ戦への対処のために、小規模なゲリラ・コマンド作戦の研究班が存在したと言われている。またこの研究班では1970年に発生したよど号ハイジャック事件を教訓に、対テロに関する研究も行われていたとされている。

○ 1998年(平成10年)頃:第1空挺団内に編成準備室と特殊作戦研究部隊(G、Sの2つの対抗部隊。Gが米陸軍デルタフォース及びグリーンベレーを模範、Sが英陸軍SASを模範とする実験部隊であり、最終的にGが妥当とされたといわれている)が極秘裏に設置される。

○ 2000年(平成12年):関連施設等の要望。

○ 2001年(平成13年):予算要求開始。留学要員の帰国、それに合わせて施設の確保とプレ準備隊(群本部基幹要員と訓練支援小隊)編成を完結。

○ 2002年(平成14年)夏から翌年春頃:1次から3次までの準備隊の編成完結。それと平行して、要員選抜基準、訓練要領および基準の設定。群本部要員と中隊要員の2系統で隊員の募集・選抜開始(前者はレンジャー未修了者の志願可)。

○ 2003年(平成15年)12月:極少数の準備隊員が第1次イラク復興業務支援隊としてイラク入り(後に特殊作戦群に引き継がれる)。

特殊作戦群

○ 2004年(平成16年)3月29日:防衛庁長官直轄部隊(当時)として習志野駐屯地で編成完結。同年以降、イラク派遣された陸上自衛隊の部隊の安全確保のために特戦群のチームが現地に派遣され、主に要人警護や部隊警備を行った。

○ 2006年(平成18年)5月:第10次イラク復興支援群に含まれる事が防衛庁(当時)より発表される。

○ 2007年(平成19年)3月28日:防衛大臣直轄から中央即応集団隷下に編成替え。

○ 2008年(平成20年)

 1月17日から2月2日まで特戦群隊員20名が沖縄キャンプハンセンの市街地戦闘施設でグリーンベレーと実戦訓練研修を行ったと沖縄の現地マスコミが報道。

 3月26日:特戦群の英記名がSpecial Operations Group:SOGからSpecial Forces Group:SFGpに変更される。

○ 2014年(平成26年)1月7日:ジョン・F・ケネディ特殊戦センター・アンド・スクール及びフォートブラッグ基地が毎年発行している公認刊行物「Special Warfare(特殊戦)」の2014年1〜3月版の14ページに、グリーンベレー第1特殊部隊グループと特戦群が通常毎年秋にワシントン州のルイスマコード統合基地(Joint Base Lewis–McChord:JBLM)
にて二国間演習「Silent Eagle」を習慣的に実施していると紹介される。

○ 2015年(平成27年)8月12日:米軍ヘリに搭乗していた隊員2人が墜落事故に巻き込まれる。1人は骨折の疑い、1人は軽い怪我。

○ 2016年(平成28年)

 3月16日:自衛隊南スーダン派遣において、特殊作戦群も派遣されていた事が衆院外務委員会での質問により明らかとなった。

 5月26日 - 27日:第42回先進国首脳会議(伊勢志摩サミット)において、特殊急襲部隊(SAT)や銃器対策部隊等の警察力でも対応困難な重武装のテロリスト集団に対応するために、会場近くの駐屯地に対戦車ヘリやNBC兵器に対応する中央特殊武器防護隊と共に待機。洋上の護衛艦には海上自衛隊特別警備隊も待機。

○ 2017年(平成29年)10月1日:ジョン・F・ケネディ特殊戦センター・アンド・スクール及びフォートブラッグ基地が毎年発行している公認刊行物「Special Warfare(特殊戦)」の2017年10〜12月版の83ページに、沖縄に駐留するグリーンベレー第1特殊部隊グループ第1大隊と特戦群の緊密な関係や歴史等の解説の他、習志野や沖縄における合同交換訓練(Joint Combined Exchange Training:JCET)にて旧USPACOM(アメリカ太平洋軍/現USINDOPACOM(アメリカインド太平洋軍)隷下のグリーンベレーCRF(危機対応部隊)と特戦群が直接行動(DA)、人質救出、都市移動及び回転翼機や車両プラットフォームでの機動性等、様々な任務の訓練を実施したと紹介される。

○ 2018年(平成30年)

 1月18日:習志野演習場にて安倍晋三内閣総理大臣(当時)とオーストラリアのマルコム・ターンブル首相らの視察を受ける。現職首相による視察及び外国首脳に対する公開はこれが初めて。

 3月27日:中央即応集団廃止に伴い陸上総隊隷下に隷属替え。

 11月27日:習志野演習場にてヨルダン国王アブドゥッラー2世および安倍晋三内閣総理大臣らの視察を受ける。

ここから先は

13,246字 / 17画像

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?