見出し画像

琥珀集15.

強烈な炎暑の中
廃屋の畑に遺棄された
野菜や野草を見ていた
そのうちのキク科のニガヨモギは
緑色の雪の結晶のようで
私の心臓、血液に溶け入り
漣をおこした
大西洋の深淵からの深緑色の波が
体内を駆け巡り
永遠の夏が一瞬私に接続され
魔術的精髄に遭遇した私に
全く未知の上界への小道が開かれた
それは人生最高のタイミングで飲む極上の珈琲か
緑の魔境からの呪術師の祝福のようだった
夏の廃墟は遥かなアトランティスに繋がっていた
酷熱を超えて霊的真理の力が
私を世界に駆動する
霧かき分けてUボートが現れ
ナチス精鋭の真正面で
私は渋柿色の軍服に身をつつみ
軍刀と拳銃と知略を振るわねばならない
新たなる歴史の形態を
霊的世界に湧出させるために
再び幼子の精霊の声に突き動かされ
この世ならぬ異界で戦う


■画像はヤフー、琥珀画像より。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?