やがてダイソンのような風が来る
廃屋を囲む木々が
風の中で会話している
もうこの家には誰ももどらない
限界集落の盆地を囲むセージグリーンの山々が雲まといつつ詠唱している
もうこの地から人間は去りもどらない
人々は影のようなものとなり
そこここに幻を見る
産まざるもの生まれざるものとなる
雨が落ち始めた
やがてダイソンのような風が来る
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