アロハ通信#15 「ホヌの話」
海亀のことをハワイ語でホヌといいます。最近は観光客が増え海が汚れてきたせいか、ホヌに会える回数が少なくなりましたが、コロナ禍の時は海が綺麗だったので、泳いでいるとよくホヌに会いました。ハワイではホヌが幸運を運んでくれるという言い伝えがありますが、私もホヌに会ってよく励まされたり慰められたりしました。
友からの連絡が絶えて沖を泳いでいたら、ホヌの甲羅がぷかぷか浮いて私を待っていました。そおっと近づくとホヌはブクっと顔を出し、濡れたきれいな横目で私を見ました。そしてゆっくり泳ぎ始めたので少しの間ホヌと並んで泳ぎました。大きなホヌは私のトトロのようでした。しばらくしてホヌは海に潜って行きましたが、ホヌと一緒に泳げてとても嬉しくなりました。「悲しむ者は幸いです。その人は慰められるからです。」と聖書にあるように、神様が寂しかった私にホヌを送ってくださったのだと思いました。私達がホヌに会って幸せな気持ちになるのは、その濡れた優しい目と、人を恐れず攻撃もしない穏やかな気質のせいかも知れません。
そんなホヌは無事であれば七、八十年生きますが、海にはサメという敵もいます。サーファーがパドリング(沖に出るためにサーフボードに腹ばいになり両手で水をかく)をしていたら、ホヌと間違えられてサメに襲われたという話しがあります。また人の捨てたビニール袋を食べてしまったり、捨てられた漁具がホヌの体に絡まって上手く泳げなくなってしまう事もあります。ハワイの海がいつまでもこの温和なホヌ達の住めるきれいな海であってほしいと思います。
大室やよい
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?