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2022年9月の歌  「声」



まだ青き柿の木陰で草むしりミンミン蝉の鳴き声しきり
夏の宵ほたる呼ぶ声ひそやかに月見草咲く土手の小道に
関本なつ

ささやくの  声が聞こえるこころのね 愛していると心の声が
しあわせはいつも木漏れ日休んでる 最高気分感謝の嵐
田中えり

聞き慣れぬ声に呼ばれて振り向けば声変わりした隣の息子
歌姫の声は高みへ伸びゆきて『オールウェイズ・ラブユー』祈りにも似る
筒井みさ子

船旅を愛する友との再会に語りつくせばともに旅する   
一束の白霞草水吸えば人もかくあれみづみづとして   
原 葉

ひとさじの茶葉開きゆき芳香の満ちて味わういっぷくの幸
一輪のアサガオひらけば新しき朝の光のこぼれ落ちたり
藤代敏江

コロナ禍に籠りしエネジー発散に勇んで始めるローンボーリング    
ハワイ晴れ気分転換のニューゲーム芝生の上をボール転がす      
三浦アンナ

ひんやりと素足に床の冷たさよ ようやく猛暑もひと息つきぬ      
澄んだ声で秋を知らせるコオロギが食料となる時が来るとは       森田郁代

年毎に四季のめりはり薄らぎて時候の挨拶悩みて決まらず
グラスにはルビー色した紫蘇ジュース香る宝石一気に飲み干す
山下ふみ子

カラオケに三人(みたり)の輩の声響く『あなた』を愛でし友の命日に 
魂を連れ来るというハグロトンボ母の新盆に姉妹は見つと     
  注:ハグロトンボは別名神様トンボ
楽満眞美

『リトルリーグ世界大会でのホノルル・チームの優勝を祝して』 
隣人の明るく弾む声を聞き少年野球(リトルリーグ)の優勝を知る 
「あと一球、締まって行こう!」と声を張り白い歯キラリハワイの球児 
六甲もこ

猛犬のごとくに吠える姫ちゃんは片手でひょいの二キロ足らずや 
宮詣りに眠りし孫は突然の太鼓の音に手足躍らせぬ 
伊藤美枝子

名月が趣きそえる能舞台シテの面をさやかに照らす     
隣国の歴史の縁たどりなむ史記・三国志の世はおもしろき   
今森貞夫

声高に話す人から離れんとエレベーターの隅に俯く       
マスク取れば予想と違う顔ありて再び交わす「初めまして」と  
鵜川登旨

ディマシュ君の「行かないで〜」の歌声に「行かないよ〜」と答える私             注:ディマシュ君は6オクターブの音域を持つイケメン歌手
三日しか生きられなかったピーちゃんは虹の向こうできっと飛べるね 
大室やよい

ウクライナが反撃に出たとのニュースありされど燃えない国際社会
行く夏に追われるように旅に出た素敵な山河やコロラドの月
大森久光

三年ぶりにコーラスの会再開しためらいながら声出してみる     
夜明け前窓辺で雲の墨絵眺めいる猫はワビサビのわかる顔して    
岡まなみ

キンーンキン「人がいるぞ」と鹿が鳴く富士の林に緊張はしる
目薬に軟膏軟膏飲み薬三回四回一日(ひとひ)が暮れる
小野貴子

ネットにて送られて来し讃美歌の声の優しさ独り聴く夜
校門に近づき行けば街路樹のポインシアーナ赫あかと咲く
近藤秀子

留守電の我が声聞けば亡き母が甦り来てしばし聞き入る   
母さんにそっくりだねと言われてた我が声を聞く留守番電話に   
小島夢子

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