２０２３年６月の選歌
つづれ折の道を比叡へ登りおれば光る湖面の遠ざかりいく
筒井みさ子
カネオヘの海を見下ろす庭先のベンチに君の姿はもう無き
岡まなみ
夫逝きて気の抜けた日に友からのピーチゼリーのするりとやさし
岡まなみ
孫去りて静かな時を持て余し孫の絵本をパラパラ開く
伊藤美枝子
花曇の空を映せる淡海の海（おうみのうみ）に小舟は白き筋を残せり
筒井みさ子
桜並木
ベルリンの壁跡きえてさくら咲く平和ねがいし人ら往き交う
原 葉 （注：３０年程前に日本が贈ったソメイヨシノは４キロつづく。）
境内を福男目指し駆け抜ける西宮神社は我が街にあり
伊藤美枝子
iPadのアプリかかげて星空に見つけ出したる大熊小熊
楽満眞美
雨の降る奈良の町より届きたる動画に身を寄せしゃがむ鹿たち
鵜川登旨
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