見出し画像

実務編:不動産データベース、レインズとMLS

日本でもハワイでも不動産の登録ができ、過去の売買事例も確認することのできる、不動産データベースが存在します。不動産データベースは不動産業界には欠かせないインフラ(機構)となっていますが、日本とハワイではこの立ち位置や扱い方に違いがあります。

日本では、国土交通大臣から指定を受けた、不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムが存在し、「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」の頭文字をとってレインズ(REINS)と名付けられています。

少し勉強してみると、不動産流通機構は公益社団法人で、不動産業者等により構成され、不動産取引の適正化と円滑化を目的としているとあります。契約形態により、レインズに登録されていない不動産物件もあります。レインズに登録されているのは、「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」(登録義務あり)と、一部の「一般媒介契約」(登録は任意)となります。

ハワイの不動産データベースシステムに慣れている私としては、データベースに載っていないものも結構あるというのを聞き、違和感を覚えてしまいます。

ハワイの不動産物件を載せているデータベースはMLS (Multiple Listing System)と呼ばれ、ホノルル不動産協会 (HBR-Honolulu Board of Realtors) のデータベースには、オアフ島、マウイ島(モロカイ島とラナイ島含む)、ハワイ島、カウアイ島の不動産情報が検索できます。

エージェントだけでなく、一般の方々が検索・閲覧ができるページ(英語)もあります。ただし、一般用のサイトでは、エージェント用のテクニカルな情報(例えば希望価格をいつ、いくらからいくらに下げた、とか)は見れないようになっています。

売主がなんらかの事情で「MLSには載せないように」という指示を不動産業者に出し、所定のMLS不掲載承認証明書をホノルル不動産協会に提出することで、故意にMLSに載せない物件もあります(有名人の物件など)が、基本的には全ての売り物件の登録が義務付けられています。

データベースに載らない物件が結構あるレインズと、基本的に物件全てを掲載しなければならないMLS。掲載に関する義務も違いますが、規模も歴史も違うのです。

レインズとは違い、MLSは全米をカバーする、不動産の広告およびマーケティングのサービスを提供する民間企業が運営するデータベースです。

このMLSは、不動産情報を管理できるシステム自体を提供し、各地域の不動産協会がこのサービスを利用して、その地域のデータベースを入力し利用しています。

日本のレインズは日本全国の地域ごとに分けられており、東日本レインズ、中部レインズ、近畿レインズ、西日本レインズの4つが存在していますが、MLSは全米になんと580以上の地域に分かれています。

アメリカのMLSシステムを利用する業者及びライセンス保持者は、所属する地域の不動産協会が定める厳しい規則に則って利用しなければなりません。

MLSの元々の母体は、アメリカ本土で1907年に発生しています。かなり長い歴史がありますね。

こう言ったデータベースの性質の違いがあるため、日本では不動産業者によって案内してくれる物件が違います。

ですが、ハワイではみんなが全ての物件情報が入っているデータベースを見ているため、どのエージェントに依頼しても、希望条件に見合う物件として提案してくれる物件は基本的に同じなのです。

日本のやり方しか知らない人は、ハワイで不動産を探すときにいきなり多数のエージェントに別々に物件案内を依頼することがあります。

そこで、2番目からのエージェントに、「あ、それ昨日見せてもらいました。なので違うの見せてください。」などと言ってしまうケースがよくあります。

これをやってしまうと、ハワイのエージェントに嫌われてしまいますので、注意しましょう。

まずは、物件案内の依頼をする前にいろいろなエージェントに連絡して、インタビューしてみて、ご自分に合いそうなエージェントを探しましょう。

この人にお願いしたい、と思うエージェントに出会ったら、そこからは浮気をせず、そのエージェントと2人3脚で物件探しや購入手続きなどを進めていきましょう。

実際にあった出来事の紹介を通じて、できるだけ役に立てていただける情報を載せています。サポートいただければうれしいです!