イップスの厄介な性格
突然ですが、現在イップスの動画指導をさせて頂いている高校野球の選手から質問がありました。
「僕、もうイップス治ったでしょうか?」
非常に頻繁にお受けする質問です。
相談の数と、同じ数だけあると言っても過言ではないくらい頻繁です。
しかし実は、この質問に答えられる人は世界中に誰一人いません。
そう私が考える理由はいくつかありますが、その一つは、
イップスの「課題特異的」という特徴によります。
わかりやすく申し上げますと、イップスの場合、
「特定の何かをするときのみに、イップス症状が出ちゃう」
というような意味で考えていただけたら良いかと思います。
逆にいうと「いつもいつもイップス症状が出てしまうわけではない」ということでもあります。
つまり、イップスは「治療だ、改善だ」と頑張っていても、施設内やリラックスできる自分の部屋で改善した(できなかったことができた)としても、イップスの症状が出てしまう環境(例えば緊迫した場面など)で改善するとは限らないということです。
昨日は選手本人にそのような質問をされましたが、頻繁に指導者の方にもこれまで同じ質問をされ、その度に私は
「わかりません。できることをことをやってきて、できないことができるようにもなりましたが、それが試合でもできるかどうかは、本人が動作を行うときにどんな認知をするかによります。心苦しいですが、一度ギャンブルが必要になると思いいます。」
という答えに留めざるを得ません。
イップスが治ったか、治ってないかの判断は、非常に難しいものです。
中日ドラゴンズの福谷選手は自らイップスに悩んでいることを告白していますが、一時期に比べ、症状は改善し、2021年には開幕投手も務められましたが、ご本人はブログの中で「イップスは治らないもの、付き合っていくようなもの」という内容の文章も書かれています。
↓(※参考:イップスラボジャパンと福谷選手のYahooコラボ記事)
そこが炎症や損傷とは明確に性格の異なるイップスの難しいところです。
100年謎のままのイップス、ダテじゃない。
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