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『「夢を持った特別な人」でいられたんだ』(7日間ブックカバーチャレンジ 4日目)

『重版出来!』 第4巻 松田奈緒子

2014年、僕は33歳で、京都に住んでいた。
うだつの上がらない演劇人の典型で、やる芝居も企画も赤字が続いた。
アルバイトは、朝5時からパン屋でサンドイッチを作っていた。けどそれもやめてしまった。
けれど、芝居作りを辞めたりしたら、その後どう生きていいのか僕は何も知らなかった。(今も知らないし、考えたくない)

この本に出てくる、漫画家のアシスタントをしている沼さんは、実家の酒屋を継いでくれと親に言われる。
「こんなに頑張っても芽が出ないんだったら才能が無いってことなんじゃないか」とまで言われる。
けれど、漫画家をやっていると友人に言えば、「いいな、夢をちゃんと叶えてるじゃん」的なことを言われる。それで満足しているところもある。
アシスタントでもマンガ作りをしていれば、いつまでも「夢を持った特別な人」でいられた。

この第4巻は1~3巻に出てきた登場人物のクライマックスがてんこ盛りです。
沼さんのエピソードの他にも、アマチュアからプロになる厳しさを突き付けられて疲弊していく東江さんと、その担当編集者の安井さんの関係。
その仕事の内容をわかってくれない(ように見える)彼氏の「そんなしんどいならやめなよ」的な発言があったりと、
プロフェッショナルって何だろう?と考えさせられる大事な一冊です。

ドラマ化された時にはムロツヨシさんが演じていて、その演技に注目がいった回でもありました。

今でも時々読み返しては、自分を奮い立たせています。

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