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売ればいいってもんじゃない?「10倍売るマーケティング」的ノウハウは危険という話

こんにちは。デイトラマーケティング責任者の初芝賢@hatushiba_kenです。

このnoteでは、デイトラのマーケティング責任者・初芝が、Twitterでは言いづらいちょっとディープな話をしていきます。

今回のテーマは、
「マーケティングはただ売ればいいというわけじゃない。むしろ売り過ぎるほうがリスクがあるよ」
です。ぜひ最後まで読んで下さいね。

※このnoteはながれのほとりさん(@nagare0712)に初芝ラジオを文章化してもらったものになります。音源も聴きたいという人はこちらも併せてどうぞ。

実は危険な「売るための〇〇」コピー


皆さんは、こういうコピーを見たことがありますか?
・〇億円売ったコピーライティング
・売上を倍にするLPの型
・絶対に購入したくなる洗脳術コピーライティング

最近、これ系のコピーが本当に多いですよね。情報商材や一般書籍でもそういったタイトルが結構あります。

そしてこれらはTwitter界隈でも流行っており、
・売るためのノウハウ
・売れるライティング
・売れる型

といったものが一つのブームになりつつあるのかなと思うんです。

こうした「売るための〇〇」的なコピーがブームになりつつある背景には、以下のような流れがある気がします。

Web制作やWeb系の商材作りが流行る

一方で、作るだけではなく売ることにコミットしなくてはならないという問題意識が広がってくる

結果として「売るためのノウハウ」がみんなの次の注目点になる

だからこういう商材が増えたり、売るためのコピーやそれを作るための心理学を知っておくことが大事なんだという言説が増えているのかなと思います。

しかし、僕はこれは扱いを間違えるとかなり危険だと感じているんです。どうしてかといえば、ものを売り過ぎると本来売るべきではない相手に届いてしまうからです。つまり、ものはただ売ればよいというわけではという話ですね。今のようなSNS全盛の時代においては、ただ売るだけではなく、売った後お客さんがその商品に対していかに価値を感じてくれたこそかが非常に重要になります。

では、もしも商品を本来買うべきではない人(≒不必要な人)に届けてしまうと、どんなことが起こるでしょうか。当然その商品は、そのお客さんにとっての価値を提供できない可能性が高いです。それは購入した本人にとって不幸なことです。

さらにそれだけに留まらず、クレームにつながります。こうしたクレーム、つまり商品に対する悪評がSNSに上げられると、どんどんそれが広がっていき、やがては売上全体が下がってしまうことになります。買った人にも売った人にも良い結果を残さないのです。

つまり、「ただ売ればいい」という過激なコピーライティングは、一過性の売上を刈り取るには有効ですが、長期的にビジネスをやっていきたい人にとってはあまり向いていないんです。

さらっと言いましたが、実はここが今回の重要なポイントになります。

短期的な爆発的利益を生むやり方はみなさんご存知と思います。事前にお客さんのリストを集めておき、教育をして、発売日当日に商材をバーンと販売してそのまま売り切る。
そしてまた次の商材を売ったり、あるいは前回の「これだけ売れましたよ」という実績を基に「3日で〇億円売ったノウハウを皆さんに共有します!」といって別の商材に転換していく。昔からある伝統的な手法ですね。

僕は今この場でこうした手法の是非については問いません。今回の論点はそこではないからです。
しかし、そうした短期的な売上に特化した手法が皆さんにとって本当に必要なのかと問われると、僕はかなり疑問を抱きます

なぜなら今、この文章を読んでくれている人は僕のフォロワーさんがメインだと思うからです。皆さんはどちらかというと、「情報商材屋として生きていく」というよりは、「クライアントワークの中でプロフェッショナルとしての技術を磨いていきたい」という人が多いと思うんですよね。

そういう人の使命は、お客さんの売上アップにちゃんとコミットすること。しかもお客さんのブランドイメージを毀損してはいけないという制約がかかってくるわけです。ですから、プロダクトローンチ屋さんみたいに、売るための派手な煽り文句さえ使っていればいいというわけではないんですよね。

だから皆さんが彼らのノウハウを全て真に受けて売ってしまうと、かえってリスクを招くでしょう。それはお客さんに対してもですし、自分が長期的にサービスを提供しようとしている商品がある場合も同様です。
売り出すために過激な売り文句を謳うような、期待値を上げ過ぎる売り方をしてしまうと、後から却って自分が苦しむことになってしまう。ですから、ここはかなり注意が必要だと思うんですね。

「届けるべき人」に価値を伝えるセールスライティング

先ほど僕は、こうしたセールスライティングや売る方法といったものを「マーケティング」という言葉で説明しました。しかし、厳密に言えば「セールスライティング=マーケティング」ではなくて、あくまでもセールスライティングはマーケティングの中の一部の領域を指しています。

僕はよく「マーケティングの中には、プロダクトとプロモーションの部分があるよ」と言っていますが、このプロモーション、つまり製品開発とは別の、既に存在している製品を相手に届けるための手法の一つが「セールスライティング」なんですね。

このセールスライティングで大事なのは、ただ売ることではなくて、届けるべき人にちゃんと届けること。つまり、自分の商品が本当に適しているお客さんはどういう人かを考え抜き、その人たちにきちんと届くように媒体を選定したり、訴求できるようにきっちりと価値を伝えたりしていく。そういうことが必要になってくるわけです。

なので、ここで重要なのは絶対的な売上を伸ばせばいいというものではない。むしろたとえ売上を狭めてでもいいから、本当に届けたい人にきっちりと価値を提供していくことなんですよ。長い目で見ればそれがよい口コミを生み、よい循環で回っていけるようになるからです。

逆に、その商品・サービスに適していないお客さんを集めてしまうと、本当に地獄になります。SNS等で悪い噂をたてられたり、変な問い合わせやクレームが非常に増えたりするんですよね。そして、そのようなクレーム処理のための内部対応が非常に増え、これに時間を割かれてしまう。結果的にこれが、他の全体のサービス受益者にとってのデメリットになってしまうわけです。

つまり、たった1つのクレームに対応するために、商品・サービスに満足してくれている10人くらいの人達へのサービス提供の質を下げてしまう。こういう問題があるということです。なので僕は、本当に商材はやたらめったら売るものではないと思っているんです。

さらに突っ込んで言うのなら、いわゆる「セールスライティング」や「人を操る文章術」といったものは、割と判断力を欠如させたり、精神的に不安定になっている人につけ込むようなやり方をしています。その方が心の動きがコントロールし易いからです。でも、結果的にクレームに結びつき易い傾向があるため、それもなおさら大きなリスクになってくるわけです。

デイトラの「理念」を体現するコピー

僕はデイトラというオンラインスクールを運営していますが、実はその紹介コピーはかなり地味です。それは実際にこちらのデイトラのLPを見てもらうとよく分かると思います。

「誰でも簡単に稼げる感」を出さず、「しっかり学べる環境がある」ということを伝えるLPにしています
たしかに、デイトラの出身者に稼げている人が多いのは事実ですですからその実績は「受講生の声」にて、ちゃんと見せるようにはしています。しかし、強烈なコピーによって誘導したり、期待値を上げ過ぎたりするようなことはやらないようにしているんです。

それによって、ある意味では一時的な売上を下げてしまっているかもしれません。「誰でも簡単に稼げます」の方が人の心を動かすので。しかし、長期的に見ると、期待値を上げ過ぎず誠実に伝える方がサービスと相性の良いお客さんを集めることにつながっていきます
デイトラの理念に共感した、
「しっかり地に足をつけて勉強をしたい」
「大変でもいいからちゃんとした一人前のスキルを身につけたい」
「自分の力で頑張っていきたい」

といったマインドの人が集まることになるからです。

こうなると本当によい循環になっていきます。
受講生さんの成果も出やすいし、「デイトラはそういうマインドの人に合ってるんだな」というポジショニングになっていくし、デイトラとしても理念をブレさせる必要がないからです。

理念に則り、受講生さんに価値提供していけばいい。とてもシンプルな運営方針になります。

「ただ売ればいい」に潜むリスク

つまり、誰でもいいからとやたらめったら売りつけるなど「売る」ことだけに注力し過ぎると、コンテンツ作りやサービスの提供価値のブレにつながってしまうということです。

もし、売上を出すことだけにこだわるのならば、あえて初心者で何も知らず、簡単にお金を稼げると思っている人たちの層を狙って、そういう人向けのコンテンツや訴求を増やしていくという施策も考えられます。

しかし、もしも僕達がそういう施策をやってしまうのならば、デイトラが持つ本来のプロダクトの価値、つまり、
・ちゃんとしたコンテンツを提供していく
・自分の力でやり抜こうとする気持ちがある人には、きっちり結果を出してもらえるようなサポートの場を提供する

このようなうちのコアバリューが崩れてしまうわけです。

そういう意味でも、顧客のターゲティングや自分の持っているプロダクトのコアバリューを明確にしないで、「ただ売ればいい」というやり方をするのは非常にリスクが高いんですね。

終わりに

ということで、ここまでをまとめると
「最近は"売る手法"が注目されている。売上にコミットすることはたしかに大事。しかし、ただ売ればいいという方針は長期的に購入者・販売者を不幸にする(特にサービス業)。売上至上主義に陥ることなく、ちゃんと本来届けるべき層に価値を提供していくことこそが大事だし、それにコミットできる方がクライアントワーカーとしての長生きにもつながっていくよ」
というお話でした。

今回はここまでです。

もし、感想などがありましたらぜひTwitterでシェアして下さい!
僕のツイッター(@hatushiba_ken)へのリプをつけてくれたら見落としがないので非常に嬉しいです。

また、stand.fmの初芝ラジオではいつもこんな感じの話をしています。
「こういう話をして欲しい!」というご要望がありましたら、ぜひリクエストをお待ちしています!(^^)

今回もお読みいただき、ありがとうございました!


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