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地方ではディレクター層が足りてない?密かに急増しているニーズと対策法を解説!

こんばんは、デイトラのマーケティング責任者の初芝賢(@hatushiba_ken)です。

このnoteでは、デイトラのマーケティング責任者・初芝が、Twitterでは言えないようなディープな話をしていきます。

今日のテーマは「web系のディレクター層は、実はぜんぜん足りていないよ」です。

これね、Twitter界隈だと、みんなもう「IT人材が飽和している」とか、「いまから参画してもムダだ」とか「プレーヤーが多すぎる」とか言っているんです。
けど、これは僕の見ている現状とはぜんぜん乖離していて、現場はそんなことになっていないんじゃないかなっていうところがありますね。
現場というか、少なくともweb系のディレクター層に対する企業さんのニーズは、非常に強いところがあるなあと思っていて。

そこで今回は、
IT業界の現状はどうなのか
なぜweb系のディレクター層が不足しているのか
このチャンスをプレーヤーとしてどう生かしていくか

を話していこうと思います。

これを読めばなぜ「安い仕事しか見つけられない」という人と、「仕事の相談が来すぎてリソースが足りない」という人に分かれるかがわかるようになります。

※このnoteはながれのほとりさん(@nagare0712)に初芝ラジオを文章化してもらったものになります。ラジオは無料で聴けますので、音源が聴きたいという人はそちらをどうぞ。



1.地方企業がITで困っていることとは?

1.1 高まるIT人材へのニーズ
まず現状についてですが、僕も以前から頻繁に感じていて、最近とくに印象的だったことを一つお話しします。
僕が良くして頂いている政治家の政策秘書の方から相談されたお話です。
その方は結構地方に行かれることが多くて、地方の企業さんなどからよく相談も受ける人です。

その人が最近
「地方ではDX人材が非常に不足している」
と、よく言っているんですよ。

いま「DX」って聞くと、バズワードになっているじゃないですか。国が「DX化しなくちゃいけない」と言っていて、それに関する予算なども設けられたりして。

だから企業も「DXをやらなくちゃいけない」となるんだけど、実際は「じゃあ、何やるの」といったときに、DXに関する高い解像度を持っている企業さんはほとんどないんですね。
DXブームの当初に叫ばれていたシステムによる効率化するとか、そんな高度なことは簡単にに実施できないし、イメージすらつかないんですよ。

それで企業さんとしては、「DX化とか流行ってるし、なんか社内のIT活用っていうのを進めなくちゃいけないな」という問題意識があり、そしてシンプルに「もともとうちにはIT人材がいないなぁ」という焦燥感もかなり強まっていて。

さらにそこに、コロナの影響によって、web集客の重要性が非常に高まってきている。
その結果、社内にIT人材が欲しいというニーズが非常に強まっているんですよね。

1.2 企業は自社の問題点が分かっていない

それでここは大事になってくるんですけど、多くの企業さんであるあるなのが、
「IT化しなくちゃいけない」とか、「web集客を強めなくちゃいけない」といった問題意識はある。
けれども、実際に何をやればいいのかが分からない。つまり、自社がかかえる問題点を発見できていないんですよね。
まず何をすべきなのかという選択肢が見えていない。
そのうえで、企業として投資するとなれば、投資対効果の高いところを選んでいかなくちゃいけない。
けれどもそもそも、選択肢に何があるか分からないうえに、その選択肢の中でどれが優先順位が高いかが分かっていない。こういう企業さんが多いんです。

なので、問題意識はあるけど、一歩目が踏み出せない。

1.3 仕事をつくりだせる人間がいない

こんな企業が必要としているIT人材こそ、ディレクターです。(マネージャーという言い方の方が近いかもしれませんが)
自社のIT化の課題解決に向けて、やるべき企画は何で、どこにリソースを割いていくのか、またそこのロードマップをどうしていくのか。そこを 取りしきれる人間がいない。
つまり、仕事をつくるところからやれる人がいないんです。
問題を発見して仕事をつくる。これがいま、企業さんがかかえる課題で非常に多いもの、僕がよく相談を受けるもので多いものになっています。

1.4 外注先とのズルズル関係
この問題がどこでとくに多く起きているか。やっぱり大企業よりは中小企業なんですよね。
大企業だと、ある程度、自社内にIT部署があったりとか、すでに長いつきあいのある外注先、パートナー先が数社あったりするんです。
けれど、問題なのは、自社にそういった部門を持ってなくて外注している、かつ、外注先の働きがこれで正しいのか分からない企業です。さらにそうした企業には、「外注先にぼったくられているんじゃないか」という意識が結構あるんですね。

特にweb系の集客は、なかなかうまくいっていない企業さんが多いから、
「高いカネ払って、なんとなく言われるまま広告費とか払っているけど、これ、結構ぼったくられているんじゃないの?」
「かといって、いきなり広告投資止めるのもコワいしなあ」
と、外注先との関係がズルズル続いてしまっている。
実はこれ、中小企業さんでよくいわれている現象です。

2 なぜweb系のディレクター層が不足しているのか

2.1.1 理由①マネージャー層の採用が難航
そうなるとどうなるか。そもそも企業が自社の問題定義ができていない。何をすべきか分かっていない。
だから、そこの人材採用が進められないんです。
何をやらなくちゃいけなくて、そのためにはだれを雇えばいいかが分からない。
なので、企業はそういうのをまるっと考えてくれるマネージャー層に求人を出すんですけど、マネージャー層は非常に給料が高い。
しかも、そういう層はキャリア志向も非常に強いから、なかなか採用が進まない。
こんな感じで、企業でのマネージャー層の不足は、結構根深い問題になっていて。

2.1.2 理由②企業とプレーヤーとのミスマッチ
そしてこのマネージャー層の人材がいないことにより、何が起きているか。
言ってしまえば、企業とプレーヤーとの間に分断が起きてしまっているんです。 ここ、今日の話のキモです。この分断こそが「安い仕事しか見つけられない」という人と、「仕事の相談が来すぎてリソースが足りない」という人に二分される原因になっています。
企業さんは、たとえばweb集客が進まないといった、自社のITに関する何かしらの問題をかかえている。しかし、そうした課題感はあるけれども、自社がかかえる課題の切り分けができていない。だから必要な人材の採用もできない。

一方で、たしかにプレーヤーの数はふえているんですね。
クラウドソーシングを見ていれば分かるように、どんどんプレーヤーはふえている。でも、プレーヤーとマネージャー層との間の人材が本当にいないんですよ。

特にクラウドソーシングを例に出すと分かりやすいんですけど、あそこで募集されているのは、もうタスクに分解されている仕事なんですよね。言ってしまえば、発注者がリテラシーがある状態で。
いまクラウドソーシングは、本当に外注先を安く使いたい業者のためのツールになっていて、リテラシーの低いエンドクライアントはあんまり使わないんです。
まあ、あるにはあるけど、たとえばそういうのは、リテラシーが低いがゆえに「ホームページ作成3万円」とかで発注しちゃったりして。それを受注側もよくわからずに受注してしまい、両者事故になるなんてことはありますけど。
基本的にその問題の切り分けができている、リテラシーのある発注者が使うツールが、クラウドソーシングなんですよ。
ところが、さっきも話したような、そもそもの課題感だけ持っていて、タスクへの切り分けができていない企業さんはたくさんいる。
でもそうした企業さんは、実は、クラウドソーシングでの発注すらできていない状態なんですよね。

2.2 直接提案で作業ニーズを生み出す
プレーヤーと企業さん。ここのマッチングができていないので、いま、プレーヤーが直接エンドクライアント先に提案するのが結構主流になってきています。
直接提案をすると、どうして仕事が決まりやすいか。
それは、プレーヤーが企業さんと直接話をして、
「御社だったら課題はこうですね」
と言いやすいからなんです。
そこでやっと企業さん側にも、課題化と、課題解決のためにやらなくちゃいけない作業が認識されてくる。だから、そこから作業者のニーズも生まれてくるんです。
直接提案をすると作業者のニーズを喚起できるから、エンドクライアントへも強い影響力が持てる。今後もこの傾向は加速していくと思います。

つまり、「タスクが切られた状態のクラウドソーシングという場所だけで仕事を探す人」と、「自分からクライアントの課題を定義しに行ける人」。
ここで大きく明暗が分かれていくかなと思います。

後者の自分でクライアントの課題を定義しにいける人については、今後もどんどん提案していくべきです。一度いい仕事をすれば、ほかの会社さんの紹介も受けられる。そのようにして、自分のつきあいのあるお客さんをどんどん広げていける。これはまちがいないと思います。


2.3 広がるwebの集客マーケット 
今回のweb集客はすべてのビジネスの課題です。だから、web系ディレクターの人材不足は、実はフリーランスのプレーヤーが多少増えたぐらいじゃぜんぜん埋まらないんですよね。
ただ、web集客についての潜在的なニーズが顕在化していない、そしてクラウドソーシングでしか顕在化しているのが見えてこないから、すごい過当競争に見えるだけなんです。
実際はweb集客に対して、見えていない、潜在化している課題を持っているお客様はたくさんいる。そういう意味では見込み顧客はどんどん増えている、マーケットが大きくなっているのが現状だと言えます。
なので、企業さんがかかえる潜在的な課題を定義できるように、ワンランク上層の話ができるようになっておくといいと思います。

3 このチャンスをプレーヤーとしてどう生かしていくか


ここからは、プレーヤーとしての立場から具体的にどうすればいいかの話をしていきます。
一言で言うなら、web集客の全体像を把握したうえで、自分の手札を増やしていく。
これが非常に大事だと思っています。

3.1 自分の技術ではなくソリューションを提案
Webサイトの制作や広告の運用、SEOメディアの作成などもうなんでもいいんですけど、あそこらへんって全部施策ベースなんですよね。やることベースの話。
そこで「自分はこれをやれます」と施策ベースだけの話をしていると、結局さっきのクラウドソーシングでいうところのタスク化されているものにしかアプローチできないんですよね。
つまり、自分を「web集客のための施策の一部分を実行するもの」と定義してしまうと、アプローチできるのは、その施策の実行をしようとしている一段階上のディレクター層からの発注になってしまうんですね。
まあ、はじめはそれでいいと思うんです。最初は絶対実績を積まなくちゃいけないから。
自分の上層のディレクターやマネジメント層の人たちとなかよくして、仕事をもらう。そして誠実に仕事をしていって、業界の知見や自分の技術を高めていく。
それはそれでいいと思うんですけど、そのうちに、いまの自分の技術だけをだけ極めるんじゃなくて、もっと上流の仕事をやりたいと思う人が出てくるかなと思います。
そうなったときには、「自分はwebサイトを作れるよ」ではダメなんです。

お客さんに対して、「じゃあ、web集客しましょう」というとき。
「web集客ってこういうパターンがありますよ」
「お客さんの業種の場合はこういうやり方が効果的だから、そこを攻めていきましょう」
「だからこのサイトを作ってみましょう」
このように、web集客のソリューションを提案できるようになれば、仕事の幅が非常に広がっていくんです。

3.2 個人戦ではなくチーム戦で
ここで「そうは言っても、自分はサイト制作しかできない」とか、「デザインしかできないから、ほかのソリューションなんて提案できないよ」って思うかもしれませんね。
実は、そういうときこそ、チームが大事です。

デイトラのマーケティングコースでも説明しているんですけど、web集客は、全体の流れ、動線設計が大事になってきます。
たとえばある美容院だったら、LPを作って、広告を回して、その先で直接問い合わせをねらうのもいいし、LINE公式アカウントに人を集める手段もある。
メディアを作ってそこからリストを集めて、リストからお客さんにメルマガを送るとか、LINEで送るとか、あるいはインスタで集客するとか、あらゆる手段があるんですけど。
結局は、最終的にコンバ―ジョンにつなげるっていう、お客さんになってもらえ動線を設計するのがweb集客の施策になってくるんですね。

つまり、ここのweb集客の全体戦略の設計ができるなら、個別の作業については、全部自分ができる必要はないわけです
そこで、「自分のところにはLINE公式アカウントの、いわゆるLステップの構築に強い人間がいますよ」とか、あるいは「インスタグラムの運用代行ができる人がいますよ」など、そういった横のつながりがあれば、その場で一緒に提案できるわけです。

なので、提案時に
「なんでweb集客が必要なんですか」
「では、どういうことができますか」
「こういうパターンはこういうweb集客が重要ですよ」
こんな資料を作っておいて、
「じゃあ、お客さんの場合だったらこういう問題があるので、ここに注力していくのがコスパがいいですよ」
このように、経営的な視点からの投資対効果の話を提案できるようにしておく。
そしてその提案資料の中に、
「自分のチームではこういう人材がいますよ」
と言って、プロフィールやポートフォリオを見せてあげられるようにする。
すると、自分自身がインスタやLINEの領域、広告などをやっていなくても、味方の、チームメンバーの実績をどんどん使えるようになるから、提案力が上がっていくんですね。

総括します。
いま、プレーヤーをしていて、これより上流のほうに行きたいと考えている人は何をすべきか。
それは、web集客全体の流れを知ったうえで、自分に欠けているものを補える人をそれぞれパートナーとして探し出し、アライアンスを結んでいく。
僕は、これが非常に有効な方法だなあと思っています。

3.3.1 要注意なケース①チームに同質な人ばかりを集める
逆にツイッターを見ていて「これはうまくいかないだろうなあ」と思うケースは、チームを組むときに、自分と同質な人ばっかり集めてしまうこと。
それって結局、グー・チョキ・パーのカードがあったときに、グーのカードばっかり集めているじゃん、みたいな話になってしまう。これだとお客さんへの提案の幅が広がらないんですよね。
そうじゃなくって、自分に欠けた能力を持っている人を集めると、バリューが発揮しやすいよというのがあります。


3.3.2 要注意なケース②顧客に専門性のみをアピール

あとは、Twitterだと「これができます」と専門性を強くアピールするやり方。
それ自体は非常にわかりやすいと思うんですよね。
ある特殊な専門性を持っていて、そこの分野で突き抜けたら、作業者としてSNSで依頼されることが増える。だから、専門性アピール自体はぜんぜんアリだと思います。
ただお客さんに、とくにリテラシーがあまり高くないお客さんに提案するときは、
「自分はHPを作れる人ですよ」
という見せ方よりも、
「HPをつくることによって問題解決ができますよ」
という見せ方にシフトをしたほうがいいと思います。

3.3.3 要注意なケース③顧客に「1つだけ」でアピール
あと、コンサルティング業界で「ハンマーを持つと、全部クギに見える」という言葉があるんですね。
これは、ある1つのフレームワークを覚えると、そればかりでものごとを見たくなってしまう、先入観みたいなことを言うんです。
武器が1つしかないと、もう1つの武器だけで全部解決しようとしたり、その提案だけしようとしちゃうことがよくあるんですね。
最近だとLステップが流行っているから、Lステップマーケターがやたらと増えている。けれども、Lステップがすべての商材に対してうまくいくかというと、そうじゃない。
そもそもLステップっていうのは、どこかの動線の過程に組み込んではじめて効果を発揮するもの。だから、そもそも集客ができないと意味がないんです。
そこが分かっていないまま、単に「Lステップの作業者です」と言っても、相手にひびかないんですよね。
逆にLステップを使って営業をし、仕事を取れている人は、Lステップを用いて相手のニーズにひびくような提案ができている人。
たとえば集客のところから提案できるとか、集客媒体自体はすでに持っていて、その先の集客したお客さんの教育、ナーチャリングに課題を抱えている人や企業に対して、うまくアプローチができている。
こういう人は、非常にうまくいっている事実があるんです。

なので、1つの手段、1つの専門性といったものをTwitterでアピールする分にはいいけど、お客さんにアピールするときには、ちょっと見せ方変えたほうがいいよっていう話です。

おわりに

今回は「ディレクター層は不足しているよ。問題を定義して、その問題をまるっと解決してくれるような人材、さらにそれをチームとしてやりとげてくれる層は不足しているよ」というお話をしました。

余談になりますが、フリーランス集団のストック・サン(Stock-Sun株式会社)ってあるじゃないですか、株本祐己さんの。株本さんは、まさにこのニーズを突いている企業さんだなあと思っています。

自社内にIT部門を持てない、あるいは既存のIT業者はあるけれど、そこが思うように成果を出せていない。
ストック・サンでは、そういう会社に「うちにしませんか」と、乗換え、いわゆるリプレイスの提案を結構されていると昔YouTubeで見た記憶があります。
実際にストック・サンの先行事例を見ても、ここは非常にニーズがある領域だなあと思っています。

なので、自社内にIT部門がない、あるいは既存のIT業者が成果を出せていないような会社を攻める考えを持っておくと、今後のキャリアの幅が広がるかなと思います。

今日のラジオはこんなところにしておきます。
ありがとうございました!

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