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呑みながら和歌について管をまくオタク。

呑むために書くのか、書くために飲むのか。

こんばんは、吞み書きです。
呑み書き、それは飲みながら書くこと、書きながら飲むこと。
サイコーにご機嫌な音楽を聴きながら、近頃の事を、ぼそぼそと愚痴っぽくひとりごとっぽく書こうと思います。誤字脱字を残すのが飲み書き、とはいえ、手癖で消しちゃうこともあるから、その辺は許してね。

  〇

何について書こうかした。かしら。
今、発表準備をしている。和歌について、考えている。
和歌は面白い、どうじに、わからん。和歌だけに。わからん。なんつて。

和歌について書こうかと思ったけど、ややこしすぎるし、だれも面白くないかもしれないと思うと書けないな。

うーん、でも書いちゃお。呑み書きだしね。

例えばこんな歌がある。

  ひさしうまゐりたまはざりければ
ぬきをあらみ間遠なれどもあま衣いくそたびかはそでのぬれけん
  御返し女御
藻塩やくけぶりになびくあま衣うきめをつつむ袖にやあるらむ

『斎宮女御集』所収。あ、検索しても出てこんよ、マイナーやかあらな。そうなんです、わたし、くそほどマイナーな和歌集を専攻しています。先行研究なさすぎて、しかも源氏以前だから用例もなさすぎる。なぜこんな家集を研究しているのか、それは好きだから。はい。

んで、個の歌。訳すなら、こんな感じ。

  ずいぶんと参内せずにいると、帝から
横糸の荒い海人の衣のように、ずいぶんと間を空いていますが、あなたのことを思って何度もそでを濡らしているのですよ。
  返し
藻塩を焼く煙によってなよなよとよれてしまった海人の衣のように、あなたの浮気な心に慣れている私の心は、「うきめ」を包むその海人の衣のように濡れていることです。

うーん、なるほど。
ちなみにこの歌を解釈するときに、こんな歌たちを参照したりする。

須磨の海人の塩焼き衣をさをあらみ間遠にあれや君がきまさぬ
(須磨の海人が塩焼く衣が目が粗く糸同士が遠いように、私とあなたの間も遠く隔たって、あなたは来ないのです/古今)
須磨の海人の塩焼く煙風をいたみ思はぬ方にたなびきにけり
(須磨の海人が塩を焼くその煙は風がひどく吹くので思わぬほうにたなびいてしまった。その煙のようにあなたの心も思わぬ人へとたなびいてしまった/古今)

つまり、「藻塩焼く煙になびく」というのは「浮気で違う人のところへといってしまうあなたの心」ということになるのである。ここまで、注釈書に書いてあること。私はこの贈答歌、「ぬき」に注目してみたいと思う。

「ぬき」とは布の横糸のこと。この「ぬき」を使った有名な歌がある。

春のきる霞の衣ぬきをうすみ山風にこそ乱るべらなれ
(春の女神の着る霞の衣は横糸が薄いのか、山風に吹かれて薄く透けているものよ/古今)

一首、霞を山にかかる衣ととらえて、それが乱れるさまを衣が乱れるさまに例える。

帝からの歌の「ぬきをあらみ」から、返歌をする際に、個の歌が連想されたのではないだろうか。つまり「藻塩やくけぶりになびくあま衣」とは、「浮気な貴方の心に思い乱れる衣」であると同時に、この「煙」自体が衣を指す役割も果たしているのではないだろうか。

ちなみに、煙を霧や霞に例える歌にこんなものがある。

  寛平御時きさいの宮の歌合に よみ人しらず
浦ちかくたつ秋ぎりはもしほやく煙とのみぞ見えわたりける
(浦にたつ秋霧は海人が塩を焼くその煙のようにみえるものです/後撰)
すま
藻塩焼く煙になれしすまのあまは秋たつ霧もわかずやありけむ
(藻塩を焼く煙になれた須磨の海人は秋に立つ霧と煙を区別することもできません/中務集)
  つくしの道に、つねしといふ所にあまのいへよりけぶりのたちしかば
秋は霧春は霞にたちまじり塩焼く煙つねしとぞ思ふ
(秋は霧に、春は霞にまじってのぼり立つあの塩を焼く煙が、いつもあるつねしであることよ/伊勢大輔集)

こんな感じで、「藻塩やくけぶりになびくあま衣」の表現は「ぬきをあらみ」から「春のきる霞の衣ぬきをうすみ」を連想し、煙を衣に比している連想が背景にあるのではないかと考えられる。どうだろう、どう思う?

ちなみに、「うきめ」は「憂き目」であり「浮海布(うきめ/海藻のこと)」でもある。こんな歌がある。

我を君なにはの浦にありしかばうきめをみつのあまとなりにき
(私をあなたが恨んだ(浦)ので、難波の海人の浮海布をみるように、憂き目をみて尼に私はなりました/古今)

うーん、なるほど。

ところで、これ面白い?わたしはおもしろいですけど。ついてきてる?あ、誰も読んでない?そっか。

書いてるうちに酔いがさめてしまった。
和歌、おもしろいよ。ややこしいけど。

私はいつもこんなことを考えてます、tっていうのの、一個の紹介になるといいかもね。

おーわり!


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