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感情のドローイング

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感情を詰め込んだ魔法瓶。いつか自分の武器を持つために。
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2020年12月の記事一覧

その一言が、私たちから奪っていくものについて。

「あんたんとこは、大変やね」
叔母がつぶやいたその一言に、曖昧に笑って、「まあ」と相槌を打った。
お茶の誘いを受けたことを心底後悔しながら、胸の内で暴れる自分を慰める。

彼女は知らないのだ。悪意のない可哀そうが、私たちから何を奪うのかなんて。

  ○

「数学の先生が言ってましたよ、病気で大変なのにテストで90点以上取るなんて、素晴らしいって」
中学一年生の個人面談、担任がそう誇らしげに母に話

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