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怯まないごとく

第1話 クラリス

「クラリス。お前こっちに来てくれないか?」とラフェルがクラリスに声を掛けた。
クラリスは「はーい」と返事をして一階の座敷に腰を下ろした。
ラフェルが「これ、母さんの形見なんだが着てみないか?」と母のサーラの洋服を出して来た。
クラリスは「え?お母さんの形見って綺麗なのかな?」と少し疑問に思っていた。
ライアンが「おーい、お前学校遅れるぞ」と外から大きな声が聞こえた。
クラリスが「はーい、分かった」とライアンに大きな声で返事を返した。
ライアンは金髪で地毛とは思えない程に、キラキラと輝いていた。
ラフェルが「クラリス。家に帰ったら、早速母さんの洋服を着ような」と話し掛けた。
クラリスが「はいはい、分かりましたよ」とラフェルの話を聞き流した。
クラリスが「行こう。ライアン。学校遅れちゃう」とライアンの腕を引っ張って行った。
ライアンが「おい、引っ張るなよ」とクラリスに注意をした。
クラリスが「あ、何か来た」と物影に隠れて音のする方に顔を向けた。
ライアンも「何だよ。お前。急に隠れるなよ」とクラリスに返事を返すと、クラリスが「シッ、静かにして。この音は、人を食べる怪物のスケルよ。気をつけないと目をつけられて食べられちゃうわよ」と注意をしたにも関わらず、ライアンは「うわー、やべぇ」とスケルの目の前でしがみついていた。
スケルが「何だ。お前は。離れろ」と鋭い目付きで爪を立てて追い払おうとしていた。
ライアンが下に落ちるところを見てクラリスがライアンをキャッチしてその場を逃げて行った。
スケルが「待てー」と大きな声でクラリス達を追って走って行った。
ライアンが「イテテ。これ、何だよ。どうして俺がこんな目に遭わなければいけないんだよー」と片目をつぶり痛そうにしていた。
クラリスがまた物陰に隠れた時に、「だって、あんたが出ていくからでしょう?魔物にまんまと見つかったら自殺行為よ。危なっかしい」と腰に手を当てた。
ライアンが「もうちょっと女何だから男に対しての扱いを優しくしろよな?」と睨みながら怒り狂っていた。
クラリスが「もう、そんな事を言っている暇は無いのよ?」と外に指を差した。
ロイスが「あ、ライアンじゃん?此処で何をしているんだ」と頭を掻いてのんきにこちらに向かって来た。
クラリスが「誰よ?この人」とロイスに対して不機嫌な顔をして指を差した。
ライアンが「こいつは俺の知り合いで、折角だからこいつも学校に連れていこうと思ってな」とクラリスに話をした。
クラリスが「ちっ、また面倒臭いのが増えたよ。しょうがないわね?」と心の中で愚痴をこぼしていた。
ロイスが「悪いな?俺も一緒に仲間に入れて貰えて嬉しいよ」とライアンの返事に笑顔で答えた。
クラリスが「ふぅー。やっと学校に着いたよ」とため息を漏らした。
ロイスが「そんなに学校へ行くだけなのに疲れるのかよ?」とクラリスに返事をした。
ライアンが「なぁ?学校に行くのが楽しいのは俺達ぐらいだぜ?」とロイスに笑顔で話し掛けた。
クラリスが「はぁー。一体誰のせいでこんなに疲れていると思うのよ」とロイス達を睨んだ。
ライアンは「はいはい。また魔物や怪物のスケルが追っかけてくると言いたいんだろう?もう、その話は耳にタコが出来るほど聞いたよ」と嫌な顔をした。
クラリスが「はい。分かったわよ。もう何があっても助けてやらないんだからね」と口酸っぱく話をした。
その時にドスンドスンと音を立てて、クラリス達の方へと走って来たので、クラリスは学校の方へと入って行った。
ライアンが「やべぇ。もう、クラリスの奴学校へ入って行ったよ」とどうしたらいいか分からず困って居た。
ライアンが「あ、これなら」とロイスに話し掛けて、ロイスが「良い考えだ」と納得したところで校庭の周りを2人は走り始めた。
2人が懸命に走って行く後ろでスケルは「うわぁ。なんか目が回るよ」と怪物のスケルが汗を掻きながらクタクタになって倒れた。
ライアンが「今だ。急いで学校へ入ろう」とロイスと一緒に学校へ入って行った。
スケルが気がつくと「あれ?アイツらは何処へ行ったんだ?」と辺りを見回しても誰も居なかった。
ライアンとロイスは教室にたどり着くと、「はぁ。助かった」と大汗を掻きながらため息を吐いた。
クラリスが「よく頑張ったわね?でも、これからはスケルに見つからないように気を付けないと駄目よ」と注意をした。

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