見出し画像

地図のない道

第4話  過去を振り返ると

母の愛絵が言って居た「ね?弥生。幸せは、いつも、あなたの心が決めるって相田みつをさんの詩があるでしょう?」と弥生に話を始めた。
弥生が「うん。それが?」と愛絵に返事を返した。
愛絵が「うふふ、お母さん。幸せって人の心が決めるんじゃ無くて、私達の心の中にあるんじゃないかな?」と弥生に優しく問いかけた。

弥生が「うん、そうだね。でも、お母さんは今幸せなの?」と小さな弥生は、愛絵を見て居た。

愛絵が「そうね?きっともう少し大きくなったら分かるかもしれないわ。今、幸せよ」と弥生達に話し掛けた。

弥生が「私もお母さんと居れて幸せだよ」と落ち着いてきょとんとした顔を向けた。

愛絵が「今、お腹を蹴ったわ。もう少ししたら、お母さん今度男の子が産まれるの」と楽しそうにして居た。

弥生が「じゃ、私の弟かな?」と愛絵に楽しそうに話をして居た。

愛絵が「そうかも知れないわね?もう少ししたら、私も元気で皆の事を見守っていけるかな?」と楽しそうにして居た挙句、弟の翔大が産まれてから愛絵の容体が悪くなって行った。

弥生は、ギリギリで自分のやりたい事、好きな事を我慢して、赤ちゃんの頃から翔大の事をお世話して来た。

弥生が「じゃ、私、これから学校に行くからね?戸締りしっかりして来てね」と翔大に鍵を渡した。

翔大が「おぉ、分かった。じゃ、行ってらっしゃい」と弥生に手を振って見送った。

ある時、ふと枕元に「翔大、元気にしてる?お母さん早くに亡くなってから翔大がちゃんと大きくなって育って居るか心配して居たの」と優しく懐かしい愛絵の声が聞こえて来たのだ。

翔大は「うん、元気にしているよ。母さんは天国で皆と仲良くしているのか?」と優しく気にかけて居た。

愛絵は「そうね。あれから翔大も大きくなって、これも弥生が面倒を見てくれたおかげね?」と笑って話をして居た。

翔大は突然、目を覚まして「姉ちゃん、遅いな?どうしたんだろう?」と玄関先で座っていると、弥生が来て「ただいま。翔大お腹空いたでしょう?はい、これ」と大きな幕の内弁当を翔大に渡した。

翔大が「サンキュー。でも、姉ちゃんのは?」と弥生を心配して声を掛けた。

弥生が「私は、このおにぎり弁当にしたの。いつも、お母さんが居てくれた時は、おにぎりを沢山握ってくれたよね?」と翔大にとびきりの笑顔を見せた。

部屋の灯りをつけて、翔大と弥生はお弁当を黙々と食べて居た。

扉から、コンコンとノックをする音がした。

弥生が「はーい。どちら様?」と玄関を開けると、保が「あ、こんばんは。前はごめんな?お前達の母さんになってくれる人を探して居たんだが、お前達の事をよく思って居なかったみたいなんだ」と訳を話した。

弥生が「そう?それで?その人とどうなったの?」と保に声を掛けた。

保が「もう、別れて来たよ。お前達の事をよく思って居なかったみたいだから、俺もずっと舞雪って女と一緒に居られない」と弥生に話を付けた。

翔大が徐に玄関先に来て「あ?父ちゃん一緒にご飯を食べない?折角だしさ」と袋からコンビニ弁当を出した。

保が「ありがとう。俺、これからお前達と一緒に暮らして行くよ」と弥生達に話しをして涙を流して居た。

弥生が「それなら、家に上がって」と散らかっていた書物や書類をきれいにして、保を家に上がらせた。

保が「サンキュー。頂きます」とお父さん座りをして、足の上に弁当を広げた。

翔大が「美味しいだろう?これ、姉ちゃんが選んで来てくれたんだぜ」と嬉しそうに話しをして居た。

保が「うん、確かに。弥生、こんなに美味しい弁当を食べるのは久しぶりだ。ありがとうな」と目から涙を溢し、今ある幸せを噛み締めて居た。

弥生が「全く照れるから辞めてよ。でも、もう私達も大きくなったし、お母さんって人は居なくても自立して歩いていけるから大丈夫」と保をなだめて居た。

保が「そうだな。お母さん居なかったかも知れない、空白の時間があったからこそ、お前達は前よりも大きくなったんだな」と2人の顔を見て誇らしく思って居た。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?