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「見られること」は創造性を高めるのか?〜 オンライン会議ツール ZOOM を用いた RCT (2021)

青山学院大学 経営学部 服部ゼミ:上野 由依・小嶋 智聡・和田 あかり

概要

本研究は、オンライン会議ツールZOOMを用いて、被験者39名を無作為に『他人(実験者)から見られている状況にあるグループ』と『見られていない状況にあるグループ』に振り分け、各々に創造性を測るテストの結果や心理状況を調査し比較したものです。

実験結果から、「他人から見られること」が「創造性」に及ぼす効果には性差があり、男性は他人に見られることで創造性が高まる傾向があり(p < .10)、作業を楽しむことができる(p < .05)のに対し、女性はその逆の傾向(創造性: p=.14;  作業の楽しみ: p < .05)を示しました。性別問わず、「他人から見られながら」行ったテストの「結果に対する自信」は小さくなったものの、作業時の緊張感には有意な差がみられませんでした。この結果は、現在のコロナ禍における仕事や大学でのオンライン授業における従業員や学生の作業モチベーションを維持するための重要な示唆を与えてくれると考えます。

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創造性の計測には以下の研究で用いられているものなどを採用しています。

[1] Jia, Lile, Edward R. Hirt, and Samuel C. Karpen. "Lessons from a faraway land: The effect of spatial distance on creative cognition." Journal of Experimental Social Psychology 45.5 (2009): 1127-1131.
[2] Polman, Evan, and Kyle J. Emich. "Decisions for others are more creative than decisions for the self." Personality and Social Psychology Bulletin 37.4 (2011): 492-501.

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