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黒歴史取り扱い説明書 ~ ネガティブな記憶の想起が人の選択や心理状況に与える影響 (2022)

青山学院大学 経営学部 服部ゼミ: 奥浦 花音, 落合 栞, 須川 芽音, 宮田 柊平

概要

「今となっては恥ずかしい、できればなかったことにしたい過去の経験」、いわゆる「黒歴史」は誰もが少なからず持っているものです。この研究では「黒歴史を想起することは人の心理状態にどのような影響を与えるか」を調査するため、大学生170名を対象にGoogleフォームを使ったアンケートを用いてランダム化比較試験を行いました。黒歴史の想起介入の有無による2つの無作為に分けられたグループ間で、その後のリスク愛好度や上昇志向、失敗した人への寛容度などの心理状況を比較しました。

実験結果から、① 男性は、黒歴史を想起するとリスク回避的になる、② 心配性傾向が強い人は黒歴史を想起すると上昇志向が低下し、レベルの高いタスクに挑戦しなくなる、③ 普段活発ではない「おとなしい」人は、黒歴史を想起すると失敗した人への寛容さを失うという結果が得られました。

これらの結果は、黒歴史を自己や他者のメンタル管理に応用できる可能性を示唆しています。また、想起した黒歴史の内容によって結果に影響があるのか、黒歴史の想起がどのような気持ちを喚起してその選択に至ったのかなどをさらに研究する必要があると考えます。

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