0.25%へ利上げ後のTONA(無担保コール翌日物金利)の動きに関するメモ

昨日、日銀が短期金利(TONA)を0.25%に上昇させることを決定しました。本日はその影響が金利に反映される日ですが、簡単なメモを書いておきます。ちなみに、下記が昨日(7月31日)の決定会合のメモなので、こちらも参照してください。
2024年7月31日決定会合:0.25%へ利上げ+QT(量的引締)開始|服部孝洋(東京大学) (note.com)

日銀は、短期金利の中でも、無担保コール翌日物金利(TONA)を変化させています。昨日の決定会合(7月31日)で、TONAが0.25%程度で推移するよう運営する旨、決めました。本日、その結果、下記の通り、TONAは0.227%となったのですが(この水準は0.25%程度であるといってよいと思います)、このように短期金利が決まるロジックを説明します。

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/mp240801.htm

まず、昨日(7月31日)の決定会合で付利に0.25%が付されるように変更がなされました。この状況下で、短期金利は、日銀当座預金にお金を置けない人が、日銀当預に0.25%以下で貸し出して、そのファンディングを受けた金融機関(日銀当預における金融機関)が日銀に0.25%で預けるというアービトラージが生まれ、その結果、コール市場で取引がなされ短期金利が決まります。

もっとも、コール市場において短資会社に支払うコストが0.02%であるため(短資会社の利益は0.02%)、TONAが0.227%となるという市場構造が生まれます。短資会社に2bpsを支払ったうえで、当預に預けられる金融機関が0.23%で借り入れたら全くうまみがないので、0.23%より少し下の水準(0.227%)で取引がなされているというわけです。

下記が利上げ前のメモですが、上記のロジックについては、こちらも参照してください。
マイナス金利以降のTONA(無担保コール翌日物金利)の推移のメモ|服部孝洋(東京大学) (note.com)

大切な点は、上記のアービトラージを考慮のうえ、日銀は付利金利も0.25%に動かしており、この結果、短期金利が0.25%程度である0.227%と決まっているという点です(昨日、付利金利も動かしている点に注意してください。)。

下記がTONAの推移になりますが、8月1日からきれいに15bps上昇していることがわかります。この段階で日銀は自分の望むように短期金利を誘導することができた、と評価することができるとおもいます。

今回は簡単なメモですが、例のように自分の備忘録として記載しておきます。必要があれば加筆修正します。

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