本日(2024/4/26)の決定会合のメモ:公表物のシンプル化(アップデイト)

今回も注目された決定会合であったため、メモを記載しておきます。必要に応じて、加筆修正しますが、今回のポイントは、日銀による公表物が圧倒的にシンプル化したという点だとおもいます。主な公表内容は下記の通りです。

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2024/k240426a.pdf

時事通信によるQTの記事があったため、脚注などの記載が変わったり、あるいは、オペ紙が変わるのだと勝手に想像(妄想?)していました。

今回の公表分をみて、あまりにシンプル化し、驚いたのは私だけではないはずです。私は、それまでの公表分をベースに、今回、ある特定の政策を実施するなら、どの部分が修正されるかに関し、ある程度想像したうえで、決定会合をみているのですが(例えばQTをやるなら、公表分の注記の部分が変わるのかな等)、ここまで抜本的に変わると、一瞬目を疑うという感じでした。

そもそも様々な文言を脚注ごと削除してきて、「2024年3月の金融政策決定会合において決定された方針に沿って実施する」とだけ記載しており、それに沿って実施するという意味だと解しました。興味深い戦略だなと思いました。前回の決定会合(2024年3月19日)のメモは下記の通りですので、復習したい人は下記をぜひご参照ください。
本日の日銀の政策決定会合(2024年3月19日)のまとめ:マイナス金利解除とYCC廃止|服部孝洋(東京大学) (note.com)

注目されているオペの運営については、前回発表されたオペ紙に沿って運営するということだとおもいます。私の理解では、オペ紙の修正なども本日はリリースされていません。金額については前回の公表分に下記のような注記が記載されており、月間の買入は6兆円程度とされています。総裁会見でもこの水準を維持するという話をされていました。

前回リリースされたオペ紙は下記の通りです。下記の通り、オペには実施する日付などは定められていますが、下記のように一定のレンジがありますし、臨時オペや指値オペという手段も残されています。

上記からもわかるとおり、「オペ紙」は、金融市場局から出ており、私の「日本国債入門」で記載したとおり、金融政策は決定会合で決めていて、オペレーションの実務はそのディレクティブにそって実務的な判断をしている、と理解しています。そのため、このレンジそのものを変えたり、前述の6兆円を動かす場合は、原則、決定会合で決め、上記のレンジ内であれば、市場情勢を考慮して、市場局が判断すると理解しました。総裁会見でもそのように発言していると解釈しました。

懸念点としては、オペのレンジのどこで購入されるかで、市場参加者が日銀の意図を推測し、その都度、市場が大きく動くという形になるのかもしれません(オペの金額がアナウンスされる10時10分の注目度がより高まるかもしれません)。特に、為替に大きなインパクトを与えてしまうということにもなりかねず、その場合は苦しむかもしれません。

また、会見で為替を考慮しないということに加えて、購入量を変えないということを明確化されたため、会見後一気に円安が進んだということが特徴だとおもいます。為替でスタンスがぶれないということを明確化したようにも見えますが、かつて為替が大きく動いたタイミングで金融政策が動いたという指摘もあることから、今後、このスタンスが維持されるかも注目しています。大枠の購入量は決定会合で決めるとしたら、次の決定会合は6月半ばなので、それまでに円安が大幅に進んだら日銀としてはどうするのかでしょうか。

なお、日銀のオペの概要やオペ紙、臨時オペや指値オペなどの基本概念については、是非この機会に、日本国債入門の9章を参照してください。

以上が簡単なメモになりましたが、適時加筆修正します。なお、前回の日銀決定会合のメモは下記をご覧ください。

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