イニシエーション・ラブ

3日目のnote。
TwitterとFacebookと差別化するためにはこれだ!という事を思いつきました。
それは昨年までの本職であった作家、劇作家として書いた、コント台本や舞台の脚本、コラム、詩、などを載せればいいんだと。
大から小までたくさんありますので。
まあFacebookにもたまに載せてたりしますけど、今後はnoteをそういう場にしようかなと。
とは言ったものの、途中でやらなくなる可能性も全然あります。
とりあえず一発目はこれを。
2010年の5月に、琉球新報さんの『晴読雨読』という、おすすめの本を紹介するエッセーコーナーに書かせてもらったやつです。
ちょうど10年前ですね。
新聞でエッセー?エッセイ?コラム?を書かせてもらったのはこれが初めてのことでした。
その後琉球新報さんで何度か書かせてもらいましたが、今後はそれもどんどん載せていこうと思います。
その足掛かりとなったエッセーをどうぞ。
 

『イニシエーション・ラブ』  乾くるみ 著

「必ず二回読みたくなる小説」そういう売り文句の本書を読んだ。最初は「そんな大げさな、その手の作戦には引っかからないぞ」と少々構えた気持ちで読んだ。これまでに数多くの本を読んだが、二回読みたくなる本なんてそうそうなかったし、小説となればなおさらで、大概一回読めば十分である。
そういうひねくれたスタンスで本書に挑んだ私だが、結論から言わせてもらうと「三回読んだ」
「必ず二回読みたくなる小説」という言葉に偽りはなかったのである。

本書との出会いは友人に薦められてのものだったが、その際も友人がこの作品の凄さをを熱く語り、読む前のハードルを上げるだけ上げたのである。その場に著者がいたら「おいおい、そこまで言わなくても…」と恐縮する程の上げようだった。

 そのせいもあってか読み進めてもまったくストーリーに引き込まれず「うわー、何だよあんだけ期待させといて単なる平凡な恋愛小説じゃねーか。物語の設定も1980年代後半と微妙に古いし、何かチープな恋愛小説だなー」と好感とはほど遠い感情でひたすらページをめくった。残りページ数が少なくなり「結局最後まで特に何もないよ、こんな小説誰が二回も読むんだよ」などと早くも本を薦めてくれた友人への雑言が頭をよぎっていた。

そして「やっと読み終わるよ」と徒労を覚えつつ読んだ最後から二行目。そこで僕は固まった。そして一瞬の間をおいて鳥肌が全身を駆け巡った「え?!嘘?!これミステリー!?」頭を整理するのにしばらく時間を要した。例えるならカレーを食べていて食べ終わる寸前に「これカレーじゃなくてぜんざいですよ」と言われたような感じである。勘のいい方もそうでない方もお気づきだろうが、恐ろしく下手くそな例えである。とにかく僕は見事に作者の狙いにはまったのである。そして冷静さを取り戻して二回目に突入。一回目に読む時と二回目とではまったく別の作品へと変貌を遂げる。至る所に散りばめられた伏線や仕掛け、もちろん1980年代後半という設定も大きな意味をもつ。

 そういう作品だけにいわゆるネタバレに繋がる恐れから、ここで内容にあまり触れられない事をご理解いただきたい。そこは皆さん是非ご自分でお読みいただきたい。ただその際には変な先入観を持たず、無理に詮索もせず、素直に平凡な恋愛小説として読み進めてほしい。そうすれば自ずと、最後から二行目に衝撃がおとずれるから。ただ中には、普通に読み過ぎて最後の大どんでん返しに気づかない人もいるだろう。そういう人にとっては結局ただの平凡な恋愛小説になってしまうのだが。

 この作品は「必ず二回読みたくなる小説」ではなく「必ず2回以上読みたくなり、さらにそれを友人に薦めたくなり、さらには読んだ物どうしで語り合いたくなり、最終的に琉球新報の『晴読雨読』で紹介したくなる小説」である。

ー・ー・ー・ー
というものでした。今見ても「イニシエーション・ラブ」をもう一度読みたくなりますね。皆さんも是非お読み下さい。
次は何を載せようかな。


サポートエリア?についても何もわかっておりませんm(_ _)m 感謝を申し上げればいいのでしょうか?当然そうですよね。ありがとうございます!!勉強します!!