少女の言葉

こんばんは。
本日は過去のコラムを。
前にも載せた、10年前に琉球新報さんで書かせてもらっていた『落ち穂』の中からお一つ。



『少女の言葉』

 先日某公園でとあるテレビ番組のロケを行っていると、5~6歳ぐらいの可愛らしい女の子が僕の所にきて「これは何のトークライブですか?」と聞いてきた。

こんな幼い子の口からトークライブという言葉が出たのが妙におかしかったが、トークライブではないので「テレビ番組の収録だよ」と優しく教えてあげた。
収録という言葉はちょっと難しかったかなと思っていると少女の口からこんな言葉が発せられた。

「それは見たらわかるし」

私は耳を疑った。『そんなバカな。こんな幼くて可愛い子がこんな事を言うなんて。しかもトークライブって言ったじゃないか。見たらわかるなら最初から聞かなくていいじゃないか』

そんな大人気ない反論を心の中でぶつけながらも、必死に頭を働かせ彼女が納得する答えを探した。その間も少女の鋭い眼差しが私を突き刺す。

私は意を決して「沖縄のテレビだよ…」と弱々しく答え、恐る恐る少女の反応を待った。
すると間髪入れずに「それもわかるし!」と言われた。怒気を帯びたその言葉に私は狼狽した。
『やっぱりこの子は全てわかっているんだ。もう何を言っても無駄だ』

先生に叱られる子供のように私は幼い少女の前で身を強張らせた。そこで少女はさらに痛烈な一言を言った。

「何か面白くなさそう」

子供は素直が故に時に残酷である。タレントさんや他のスタッフにその声が届いてなかったのが救いである。
留まる事をしらない少女は「じゃあこれを投げたらどうなるかな?」と不敵に笑い、その手には松ぼっくりを握りしめていた。
その姿はまるで甲子園のマウンドに立つ興南高校の島袋君のように堂々としていた。
いや島袋君がこんな暴挙に出るはずがない。訂正すると、その姿は審判に剛球を投げ込んだ元巨人のガルベスのようだった。
戸惑う私を嘲笑うかのように、少女は松ぼっくりを投げた。ナックル姫ならぬぼっくり姫誕生の瞬間である。幸い松ぼっくりは少し飛んだだけで事なきを得た。
ホッとして少女の方を振り返るとすでに走り去っていた。私はその後姿を見ながら思った『もっと面白そうな番組を作ろう』と。


というやつでした。何か文章の中に10年前だとしても古い部分がありましたね笑
これを読み返してみて思ったのは、僕はこの時のことをほとんど覚えていないな、ということでした。

何の番組だったのかも全く覚えていません笑
少女にそういう言葉をかけられたのは、その一回だけだとは思いますがこれも忘れているだけかもしれませんね笑

その時の少女は今はどうなっているのだろう?少し気になりますね。

サポートエリア?についても何もわかっておりませんm(_ _)m 感謝を申し上げればいいのでしょうか?当然そうですよね。ありがとうございます!!勉強します!!