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ミリ単位でオーダーできて低コストかつタフな棚があることを君は知っているか

自室や仕事場のスペースを有効に活用するために、シェルフを利用している方も多いだろう。エレクターやルミナスといったものだ。こういったシェルフは高さこそ自由にオーダーできるものの、幅や奥行きは決まったサイズでオーダーするしかなかった。

当社は事務所を最初に構えた場所が超スモールオフィスだったため、できるだけスペースを有効に使う手段はないものかと検討した結果、洗濯機スペースを収納に変えるという方法を思いついた。早速棚板を買ってきて組み立てようと思ったのだが、防水パンをカバーするためには端材がかなり出ることがわかった。要は無駄が大きいのだ。

FA用アルミフレームとの出会い

いつだったか、自宅を工場などで使うアルミフレームで拡張している人の写真を見た(思い出した。鳥人間さんだ。)ことがあり、アルミフレームで棚を作っている人はいないかなと思ったら大学の研究室などですでに使われていることがわかった。工場用に作られているのでデザイン性こそちょっと劣るものの、設計のしやすさ、拡張のしやすさはもちろん、低コストで環境負荷も低くかつ、タフなのがいい。

アルミフレームで日本を代表するメーカーのSUS社(アルミなのにSUSと言いまくられている)は、角ばった定番フレームの他にパイプ型のアルミフレームをラインナップしている。
強度に合わせて直径をセレクトでき、最小は19mmで最大は53mmにもなる。標準的なものは28mmで、最もパーツが多い。また標準的なアルミフレームに比べて組み立てが簡単というのがいい。レールの中に受け具を入れて位置合わせしてというのが不要なのだ。

工場では複雑な機構を伴ったりするため専用のCADソフトを使って設計することが多い。棚程度であればソフトが無くても構わないと思う。あったらあったで予想がある程度つくので、便利である。ちなみに、SUSの設計ソフトはユーザー登録さえすれば無料で使える上に、ソフトの図面を利用して発注すると割引が受けられるようになっている。(棚板がある場合はWeb発注できないので対象外)

これまで作ったもの

洗濯機防水パンをカバーする棚

防水パンは壁にピッタリくっついているので、支柱のうち1本だけ防水パンの上に乗るようになっている。アジャスタ式にして多少の高さ誤差を吸収できるようにしている。今の事務所もSOHOなのでこの棚を設置している。

プリンタ棚

プリンタなどを置く棚も作った。冷蔵庫と高さや奥行きを合わせるためBOSCHのレーザー距離計を用いて精密に設計。この棚は右側のトースターの上に棚板を1枚追加する予定だ。
インクジェットの特性上、プリンタ上部はしっかりスペースを開けておくべきなのだが、ここではあえてそうしていない。プリンタの稼働率がそれほど高くないからというのもある。バリバリ使う人はそのへんを考慮したほうがいいだろう。

コートラック


衣類などをまとめておくラックも設計した。コネクタは見た目重視のアルミコネクタを採用し、ラウンドコネクタを多用してスッキリとした見た目にした。両端に補強用のコネクタを転用してバッグなどをかけられるフックを用意した。

テーブル下に隠れる棚

当社のテーブルはIKEAの可変テーブルなのだが、まあこういうのって常に大きさを変える運用なんてしなくて、最大長でずっと使われる物である。テーブル端の強度が低いところに重さ30kgあるエスプレッソマシンが鎮座していて板が湾曲してきたためこれを補強する意味もあり棚を設計した。キッチン用小物などを整理できるようにしつつ、アジャスタでテーブルの天板を突っ張って支える仕組みになっている。

書棚


これはアルミフレームではないのだがSUS社がインテリア用途に出しているアルミ棚を使って制作した。こちらについてはミリ単位でのオーダーは無理だが、USMのハラーシステムのように自由に拡張していくことができる
上部のスロットにはサンコーのプラボックス331Bがフィットするので、ここを領収書入れにしたりテスト端末入れにしたりしている。組み立てはタッピングイモネジをアルミ材にゴリゴリ突っ込んでいくので、電動インパクトドライバの割と強力なやつがあったほうがいい。

もともと超スモールオフィスだった頃に机の下に書棚を設置する目的で作った。

玄関ステップ


当社の玄関はちょっと高い位置にあるため、靴を脱いで入るのが大変だった。外で靴を脱いで入ってもらうためのステップを用意したかったがいい感じのものがなく、しばらくは海外からやってきた貨物の底に敷かれていたすのこを使っていた。追加パーツ発注時に合わせて設計して発注。ほぼツライチで高さを揃えて、ドアストッパーがかけられるようにもなった。

このように、必要に応じてどんどん作っていけるのがこの棚のいいところだ。当社ではこれをFA棚と呼んで親しんでいる。FAはFactory Automationの略でFA用途でバリバリ使われているのがこのアルミフレームなのだ。

設計のポイント

工場用途の場合、たわみや強度といったところまで計算する必要があるようだが、一般的な棚ならそれほど心配する必要はないかと思う。
この棚、最も高価なパーツは実は棚板なのだ。ついでコネクタ類、最安がフレームや小物類である。
そこで、箱物を乗せるタイプの棚であれば、棚板を使わずにフレームを組み合わせるという方法を取る場合がある。そうすると棚板4枚で万単位のコストが削減可能だ。

上記のテーブル下に隠れる棚が棚板無しで設計されている。

幅が予め決まっている場合、カタログの寸法表を使ってフレームの長さを逆算するといい。
アジャスタを使用する場合もアジャスタ自体の最短の長さを引いておかないと、想定外の高さになってしまって苦労してしまうことになる。僕はこの計算を何度もミスってる。

パイプ径をどうするかも悩むが、殆どの場合は28mmのGF-Nでよい。オプションも一番多いので柔軟に対応できる。

必要な工具

コネクタの締め付けには5mmの六角レンチが必要だ。できることなら一方がボールポイントになっているものが望ましい。工具もなんと一緒に発注する(品番:BFA-003)ことができる。アジャスタを固定するためのコネクタは圧入するのにそれなりの力が必要で、可能ならプラスチックハンマーがあるといいだろう。僕は床にぐっと押し付けて圧入したりしている。

組み立て

納品はこんな感じで複数個口で届く。早速開梱だ。

パイプは同じ長さごとにまとまっている。たまーに頼んでいないパイプが紛れ込んでいたり、寸法の指定を間違ってたりするので、発注書と見比べて正しいものが来ているかをチェックする。

小物類は袋にまとまっている。

まずは仮組みを進めていく。基準となる支柱をきめて、そこから拡張するように組み立てる。ネジの締め込みは仮締めにする。

2段めを組んでいく

ざっくり組めたら仮設置だ。この時点で設計ミスってるが結果オーライである。

パイプの位置をミリ単位で調整する。とくに支柱の突き出しがズレるとアジャスタなしではガタツキの原因になるのだ。

水平をきちっと出していく。GFシリーズは何もしなくても1度未満で水平が出たりするが、念の為チェック。

完成!!

発注ミスしたとき

基本的に返品はできない。パイプは専用のカッターなどでサイズを調整することができる。コネクタ類はなんとAmazonで10個単位で販売されているので、数が足りなくてかつ、すぐに必要ならAmazonで頼んでしまおう。モノタロウなどでも手に入る。

時間かかっていいならメーカーに発注したほうが安い。送料がかかる場合もあると思われるので、トータルコストで決めよう。

余っているパーツは把握しておくと次の発注時にパーツ数を減らすことができる。

設計、発注代行します

さて、ここまで素晴らしいFA棚を紹介してきたが、いざ作ろうとすると設計して長さ計算して発注して…とめんどくさい。趣味の範疇で自分でやるのもいいけど、手間をかけたくない…ということであれば、当社が設計、発注まで代行し、組み立てと設置だけご自分でやるということが可能であります。

もちろん、工数がかかっちゃうので費用は自分でやるより高くはなってしまうけども、失敗の可能性はかなり低くなるかと。

興味ある方はぜひご連絡を!

それではみなさんもFA棚試してみてね!

よろしければサポートをお願いします。得られたお金は社で飲むコーヒー豆や撮影機材の購入費用に充てようと思っています。