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今日からはじめるVRスチル撮影(2 セットアップ編)

前回は道具を揃えるところまでやったので、今回は届いた道具をセットアップするところから始める。ここではNodal Ninja 6(NN6)シリーズを使った方法を解説する。Nodal Ninja のRシリーズは後日解説することにする。
NN6の弟分としてNN3がある。使い方は同じだ。

レンズの中心を合わせる

カメラを真俯瞰(真下)にして、NNの水準器についている基準線をカメラの画面の中心に持ってくる。これによりレンズの中心線とNNの中心線、カメラの向きが調整される。決まったらカメラを固定するネジを適切に締め直しておこう。

Nikon D5でライブプレビューした状態でグリッドを出すと、ちょうど中心がわかる形になる(拡大するとズレる)。これにNNの水準器の周りにあるガイド線を合わせるようにして、水平側のレールを動かし、カメラの向きを調整して、それぞれのロックネジを締めておく。

この中心線はレンズを変えても基本的には変わらない。が、つけ外しを繰り返していくうち、ちょっとずつ位置がズレてくるので定期的にキャリブレーションしよう。

※付属の工具は精度が甘いのでできれば精度のいい工具を買い増ししたほうがいい。PB Swiss ToolかWera、KTCなどの2.5mmヘックスレンチが適合する。

レンズの収束軸(Nodal Point)を探す

ここが真骨頂。Nodal Pointを探す作業だ。カメラ自体はそれほど変えることはないかと思うが、レンズを交換する場合、レンズごとに異なるNodal Pointを設定する必要がある。

実際のところ、Nodal Pointが多少ズレていても写真の合成はできる。ソフトが優秀すぎるのだ。しかし想像してみてほしい。本来変わっていない位置関係のものが、同じカットの別角度の写真で違う位置にあったら…アニメとかならきっと皆はこういうはずだ「作画ミスだ」と。

Nodal Pointが設定されていない状態で撮影したVR写真はこの作画ミスを起こしやすい状態にある。細かい部分のつなぎがうまくできなくて、数ピクセル単位のズレを生むこともある。これを強引につじつま合わせをすると、写真が歪んだりしてしまう。結果として作業工数が増えるのだ。

位置が変わらない2点間の延長線上にカメラを設置する。この2点間の距離は、撮影の用途によって前後するのだが、距離が長ければ長いほど、精密な調整が可能だ。電柱とか鉄塔に予備の三脚やライトスタンドを使ったりするといい。僕は歩道橋から街灯などの支柱を基準に設定している。

※この例ではモニター撮影の関係で屋内でやってます。

まずはまっすぐ向いた状態で2点間の位置がピッタリ合うようにカメラの位置を調整する。ライトスタンドのダボと壁の角をあわせ、モニターの拡大率を最大にしてフォーカスを合わせておく。

モニターを見ながら、2点がギリギリ端っこに来るところまでパンして、2点の重なり部分を拡大表示するなどしてズレを確認する。多分ズレているので、カメラを前後させてズレを修正する。

反対方向にパンして同様のズレがないかを確認し、最後に正面に戻してズレがないかを確認する。

これでNodal Pointが決定できた。この設定は定期的に行うといいだろう。Nodal Pointが決定できたら、メモリ位置を記録しておく。

特にレンズを取り替えて撮る可能性があるときはきっちりメモしておこう。レンズを交換するごとにカメラの位置をこのメモリに合わせ、かつレンズ中心をチェックする。

ローテーターの角度を決定する

20mmの場合

20mmの場合、回転角は最大45°だ。ティルト角も45°、−45°でそれぞれ撮影し、天頂も2カットほど撮影しておくようにしている。

円周魚眼の場合

円周魚眼でNN6を使った場合、ちょっとケラれる事がある。そのため、本来は2ショットのところを4ショットに追加するようにしている。また、天頂撮影を省くために、あえてティルト角をもたせる方法が一般的のようだ。ティルト角は7.5°。人によっては15°くらいまで上げているようだ。Nodal NinjaのGoogle SV用パッケージのRシリーズではティルト角を7.5°にするように指示されている。

その他のレンズの場合

Nodal Ninjaのサイトで撮影カット数を求める計算シートが用意されている
このシートを使えば大まかな撮影枚数が計算できる。用語を簡単に解説すると、
Focal length:焦点距離
Full Frame:フルサイズセンサーを使ったカメラ
Nikon DSLR:NikonのDXフォーマット(焦点距離1.5x)
Canon DSLR:CanonのAPSCフォーマット(焦点距離1.6x)
Portrait:縦位置
Landscape:横位置

今はほとんどの人がフルサイズのデジカメを使っているので、Full Frameの列を見て、使っているレンズの焦点距離との交点にある値をチェックする。
カメラを縦にするか横にするかで撮影枚数が変わってくる。

仮に20mm縦位置なら、360°とるのに8枚とる必要があることがわかる。この枚数をあえて多めにすることで、合成時の精度を高めることができる。注意書きにも2〜3割重ねて撮ることがオススメされている。

さて、カメラのセットアップは済んだので、早速実践と行こう。次回ははじめてのVR撮影とちょっとしたテクニックを紹介する。

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