自閉症の脳の構造と機能特性
発達障害は脳の構造や機能特性によるものであり、「発達」に「障害」があるわけではないという論点から、「神経発達症」という呼び方に変わって久しい状況です。
しかしながら、その脳の構造上の相違点や、機能的な特徴についてはまだまだ社会の中に浸透しているとは言えない状況であると思われます。
今日は、自閉症の特性を持つ方の脳の構造と機能がどのように定型発達の方と違っているのかということをご紹介したいと思います。
自閉症の脳の構造特性
自閉症の脳の構造特性として現在では、「海馬回旋遅滞症」が有名です。
こちらのコラムでも紹介しましたが、脳には記憶に関与する海馬というものが脳の内部構造として存在します。
海馬は通常、左右ともにZ字型にねじれていますが、そのねじれ具合が片方または両方の海馬にいて、少ない状態になっているということです。
また、片方のねじれの場合はそのほとんどが、「左側の海馬」に回旋の不十分さがみられるとのことでした。
左側の脳は、「言葉」の脳としても知られています。
コミュニケーションの面で問題の出てくることの多い、自閉症のお子さんの脳が、定型の発達のお子さんの脳と比べて、記憶をつかさどる海馬の構造的な問題から、発達に遅れがみられるということです。
海馬の状態によって、
たとえば定型発達のお子さんは海馬の回線が十分であるので、持っている道具は「ボウル」だとします。
記憶の情報は「水」で、それを脳の適切な部位に移し替えることで「記憶」として定着していきます。
では、自閉症などの特性を持つお子さんで、海馬回旋遅滞症の特徴を持つお子さんはどうでしょう。
持っている道具は、「ちいさなコップ」かもしれません。
または、さらに海馬の回旋が不十分な場合、「スプーン」ぐらいしかないかもしれません。
そのような状態では、到底、定型の発達のお子さんに比べて、遅れが生じることは容易に想像ができます。
そればかりか、その子なりに、持っている道具で「必死に頑張っている」のです。
だからこそ、「簡潔な指示」が重要であるということです。
いくつもの指示は、簡単にコップの容量を溢れさせます。
しかし、感情については「昆布やわかめ」だと思ってください。
通常の記憶情報よりも、道具に「引っ掛かりやすい」のです。
褒めるなどによって、肯定的な感情を上乗せして、記憶を定着させていくことも重要です。
次回は、脳の機能特性について、脳の結びつきをテーマに、取り上げたいと思ま須。
お楽しみに!
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