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「障がいは克服するもの」と思っていた頃のお話〜発達おじさんは障がいは治らないと思っています〜

長いよ。覚悟して読んでね。

コーヒー好きが高じて、
副業で焙煎した珈琲豆を
オンラインで販売している
発達珈琲の高橋店長です。
又の名を発達おじさんと申します。

で、タイトルから長い。
フォロー減るのも覚悟の上、
でもボク自身も障がい当事者ですし、
ボクでしか言えない事もあると思います。
あくまでボク個人の考えですので、
「障がいは治る」という考えがあって
然るべきだと思います。
が、ここでは自分の想いの丈を
綴らせていただきます。

もう干支も一周以上回った15年以上前。
心療内科でうつ病の診断を受けました。
でも事の重要性を分かっていない
発達お兄さん(当時)がこんにちは。
診断が出て職場を退職したら
通院費用がめちゃ掛かるので
勝手に通院を辞めるという決断をします。
そこからは、とにかくうつ病の自分に打ち克つ、
うつ病の自分を叩き直して、
普通に生きて人生を謳歌したい。
そんな日々を続けていました。
勿論、調子が良くなりその状態が続けば
「よっしゃ! 克服してやったぞ!」と
思っていたのも束の間。
配属も勤務地も変わってからは
状態が一気に悪化。
悪化すればするほど自分への鞭は強くなり、
最初のうちはその鞭に応える余力もあったのですが
次第に鞭を打つ力も入らなくなりました。
モノの半年も持ちませんでした。
部屋から出られなくなってしまい、
当時住んでいた寮の寮長から
「一旦実家に帰った方が良いんじゃない?」
と諭され、上司に連絡してから帰郷。
(上司には理解をされませんでしたが、
寮長がボクに変わり説得してくれました。
この時の上司に精神疾患に理解がないのも
無理もない話です。ご時世柄含めて)

一旦は傷病休暇扱いで休むことになり、
それなら診断書が必要だと言う話になり、
前後してしまうのですが(本来なら診断書が先)
うつ病を診断してもらった心療内科に
再度予約を取り、その時今の主治医と出会います。
そして、診断書を書いてくださった上で、
こうボクに伝えてくれました。
「高橋くん、障がいを治そうとしたらあかんで。
 これから障がいと上手に付き合って、
 より良く生きていきましょうね。
 そのためのサポートを主治医のボクはします」

本来なら、今までの自分のやり方を
否定された訳ですから、
ショックに打ちひしがれても
おかしくない筈だったのですが、
主治医のその一言がもの凄く沁み渡りました。
却って気が楽になったとも感じました。
勿論、その時はそんな事を
冷静に考えられる余裕も無く
力無く返事をしていたと思います。
ただ一つ、「そっか、だからしんどかったのか」と
妙に納得したのを今でも覚えています。

障がい当事者として、障がいのある方の
社会復帰のお手伝いをする今の仕事をしていて、
15年前の自分を見るような方と
多く接する機会があります。
いや、むしろ接する方のほぼ全員、
そう思っているんじゃないかなとすら思います。
今の職場にも当事者の同僚はいますが、
昔の自分を見るような、そんなもどかしさを
日々抱えながらもそれでもなお
自分を奮起させて頑張っている同僚も居ます。
ボクがその人を否定できるはずがありません。
だって、昔のボクもそうだったから。

誰も自らが望んで障がいになった訳じゃ無い。
障がいを発症してしまった事で多くを失います。
そして何より自分が嫌いになります。
そりゃそうです。
障がいを克服すると言う考えは、
障がいを持っている自分を
否定するところからスタートします。
そんな悪いお前をやっつけると
言わんばかりに自分を責め立てる訳です。

ボクも主治医に
「障がいは治そうとしたらあかん」と言われても、
10年間治そうとしていました。
その10年間、何度も主治医は同じ事を
ボクに伝えてくれました。
時に言葉を変えながら、
時に主治医の経験談も交えながら
(主治医も障がい当事者だそうです)。

ボクが「障がいは克服するもの」から
「障がいは治らないもの」に考えが変わったのは、
42歳の時に心理検査を受けて
自分が発達障がいを持っている事が
分かった時でした。
脳の機能が未発達だから
努力しても出来ない事がある。
この事実が分かった時、
「障がいは、症状が軽くなる事はあっても
 治らないし、治そうとしたらいけないんだな」
と腑に落ちました。
ある意味、諦めがついたとも言えます。
遺伝的な要素はあると言われていますが、
まだ発達障がいの発症要因は
詳しく分かっていないそうです。
でもボクからすれば、そんな因果は
正直もうどうだって良くて、
治らないんなら、軽くする事を優先しようと
思うことにしました。

ここまで2,000文字近く読んでくださった方。
もし貴方が「障がいを克服したいのに」と思って
ボクの文章をここまで読んでくださったのなら、
正直ガッカリしているかも知れませんね。
もしくは「何だ、てめぇ偉そうに分かった事を」と
思っていらっしゃるかも知れません。
その感情は多分正解です。
間違いなく10年前のボクがこの文章読んだら
「んな事分かってるけど、
 全然誰も分かってくれないし、
 誰も自分を認めてくれないんだよ‼️
 あんたは良かったね。
 あんたはボクと住んでる世界が違うだけや‼️」と
毒吐いてフォロー外すでしょうね。

ボクはそんな貴方にメッセージを送りたいです。

「貴方は絶対間違っていない。
 貴方がここまでボクの文章を見てくれたように、
 ボクは貴方を見守っています。
 必ず気持ちが楽になる日も来ます」と。

そして、ボクはそんなあなたが大好きです。

貴方の考えが岩のように固くとも、
ボクは水のように貴方を包んで流れていきます。

如水

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