「睡眠力」を運動で上げる
2020年5月6日NHK記事「SNS投稿 コロナと負の感情を示すことばが急増 心のケアは」によれば、SNS投稿された言葉を1月と4月の比較すると、
・「コロナ」+「ストレス」:84倍
・「コロナ」+「鬱」:37倍
・「コロナ」+「死にたい」:4倍
と心の不健康の急増がSNSのデータから観察されている。
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ストレス→鬱→タヒ、と質的にヤバくなるほど量的に減っていてリアルだ。まあそこまでいかなくても、こんな人 ↓
も増えていそう(出典:いらすとや「在宅太りのイラスト(男性)」ファイル名は"jisyuku_futoru_man"…)
これらを同時解消できるのが運動。その効果の1つが「睡眠力」だ。
という研究が2020年3月に発表されたので、このNoteで紹介しよう。
追記:運動自体は身体にダメージを与える行為にすぎず、リカバリー=食べて休むことで、はじめて効果が出現する(2021年1月note ↓)
睡眠はその基本だ。
もう1つ、生物の基本は睡眠状態、という最新研究が。
睡眠能力
「睡眠能力」とはすぐに眠れる能力のこと。ちょー単純なんだけど、ややこしい状況ほど、単純なことを徹底実行できることが強いものだ。
睡眠とは、脳を真に休養させる唯一の方法。ゆえに、競技力向上・減量・病気予防などなど、身体のあらゆる面でのメンテナンス作業となる。なぜなら、内臓の働き方、運動能力なども、全て脳が司るから。
この睡眠力についての最新論文、"Napping in high-performance athletes: Sleepiness or sleepability?" の内容は『Endure』著者Alex Hutchinsonがブログで整理されている。(Google翻訳のリンク ←こちら)
被験者は、①週トレーニング平均17時間のエリートアスリート、②週9時間の準エリートアスリート、③非アスリート、の3グループ各10人=30人(男16+女14)。実験室に招いて20分の昼寝をさせただけの単純な実験。夜の睡眠時間なども揃えている。結果、運動量が多いほど、早く入眠でき、「睡眠能力」=すばやく簡単に眠りにつくスキルが高い、とわかった。
研究の方法も結論も、びっくりするくらい単純なんだけど、スポーツ科学の論文にはこういうのが多い。医学系などと比べて圧倒的に少ないリソースで知恵を絞ってるということで、結果が納得できるのなら、これでいい。カネかけて数が多ければいいってもんじゃない。
昼寝と運動
昼寝をタイプ分けすると、
1.不規則な生活リズムへの対応(夜勤とか)
2.睡眠不足の解消
3.精神ストレスからの回復
4.睡眠欲=目覚めが気持ちいいなど、寝たいから寝る
5.マインドフルネス=集中力・注意力を高める
とある。アスリートの昼寝とは、123のようなマイナス解消というより、45のプラス増強であるということだ。とくにスポーツでは5の競技パフォーマンス向上効果が高い。
「昼寝をしすぎると夜の睡眠が浅くなる」という話はある。ただし運動習慣ない=睡眠能力の低い人に限ったことかと思う。Alexのブログでも、「よく昼寝をする人は夜の睡眠の質も量も悪くない」という研究結果が紹介されている。睡眠力の不足した大人が多数派だから、昼寝のしすぎが問題になるんだろう。
つまり、運動→睡眠力UP→きもいいい昼寝→良質な夜寝、というサイクルができあがる。
トップアスリートと睡眠
Alexブログのタイトルに「なぜトップアスリートはやたら寝るのか?」と付いてるくらいで、世界のトップアスリートの睡眠時間は長い。彼のツイッターに「NBA選手とデートするのは幼児とデートするようなものだ〜しょっちゅう居眠りしてるから」というジョークが:
十分な収入のあるフルタイムのプロ選手では顕著で、バスケットボールNBAのレブロン・ジェームズ、テニスのロジャー・フェデラーが1日平均12時間、人類最速ウサイン・ボルト、テニスのヴィーナス・ウィリアムスとマリア・シャラポワが10時間という記事(Forbes2017)があった。長距離系の有名選手でもそれくらいの数字だと思う。収入十分なプロにとって、心身のケア作業である睡眠も、大事な仕事ということだ。
大谷翔平は今も子供時代も10時間超えてるそう。
学生だと、学業もバイトもあり、睡眠時間を削りがちだ。若いからなんとなってるんだろう。今週読んだ記事で、日本トップエベルの山岳ランナーである医師、高村貴子さんの医学部時代、「ハセツネ71.5km(日本山岳耐久レース)の1週間後に卒業試験」という経験を、
と医療従事者向けサイトm3のインタビューで語る。レースのあとは興奮して眠れないので、その勢いで勉強して眠くなったら寝る。元気すぎる。若いからギリギリできるんだろうな。他にもハイレベルな仕事と競技を両立させる若者の圧倒的睡眠不足な話は聞いたことがあり。
ただし、「睡眠8時間半まで増やしたら競技力が上がったよ」という研究がある。アメリカのバスケットボール大学代表チームでの実験では、ことで、走りが速くなった、シュート精度が大幅改善(フリースローと3ポイントシュートの入る確率9パーセントUP)、疲労感が減り日中に眠気を感じることも減った、等々。詳しく知りたい方は書籍などで ↓
(学生アスリートのみなさんは在宅授業中に寝ないように←そうさせないのが私のしごとー)
(若者以外は)睡眠大前提
僕は運動はじめたのは40歳手前くらいからだけど、僕は睡眠不足ではマトモな練習は不可能な人間だ。「睡眠不足だけど速くなりたい」という方への僕のアドバイスは、「どっちか選択して、嫌なら他に捨てれるものを探して」に尽きる。
だいたい寝不足で運動しても気持ちよくないよね。
もちろん頭も働かない。ちょうど昨日読んだのが著名経営コンサルタント、遠藤功さんのインタビュー
戦略コンサル業界は睡眠無視で長時間労働してるイメージだけど(最近ホワイト化?)、頭数の多い若手中心の話かもで、若さが可能にするのか、睡眠不足でもできるような仕事をしているのか? さすがに上のほうは、肉体的にも役割的にも、睡眠必須になるんだろう。続きで、
アルコールが睡眠の質を落とすのも(ざんねんながら)そのとおり。。
在宅ワークと運動
まとめると、
・運動すればよく眠れる(時間さえ確保すれば)
・よく眠れば運動したくなる(ならなかったら運動習慣を作る)
今回のコロナ在宅を機に、十分な睡眠が続くことの効果を感じられたのなら、あとは運動するだけだ。
特に在宅ワークは、通勤がない。都会の電車通勤の運動効果はかなり高いので、そのままでは運動不足になり、冒頭いらすとや状態になる。おそらくは、この不足感をアルコール増量でごまかし、それにより加速する睡眠不足を睡眠薬でごまかしているケースなど、少なくないかとも思う。
運動時間を30分くらいとっても不十分なことが多く、安楽に座っている時間を減らすのが大事。立ったまま仕事する時間を増やすのが第一で、僕は基本そう。さらに、バランスボールを椅子使用するといい。腰痛防止効果も高い。
(このVivolaのはインテリアとしての高級感もあって人気)
運動量が少ない一般人さんに、中野ジェームズ修一さんは、まずランニングとかを薦めている。外でできてリフレッシュできるし、カロリー消費も多いし、当然 ↓
減量と睡眠
僕の実感としても、減量=ダイエットは、十分に寝た上で、ほどよく運動できていればOK。そうすれば食欲は自動的にコントロールされて、美味しいものを十分に食べるだけで、体型維持される。なお「ほどよい運動」とは、ざっくり30−60分くらいの時間の中で、僕の感覚として「ほどよいな」と感じられる強度ということだ。
たまに見るのが、消費カロリーを活動量計・心拍計測ウォッチなどで把握し、食事のカロリー量も計算し、その増減で減量しようとするパターン。これ一見科学的なようで、実は違うと思う。その理屈はコロナのPCR検査と同じで、そもそもの測定精度が低いからだ。消費カロリー量とは単なる推測に過ぎず、僕の感覚では、かなり雑で低精度だと思う。
それより、超高性能な自分自身の感覚というセンサーを十分にメンテナンスして、それに頼るのがいい。メンテナンスの唯一の方法が睡眠。
これまで(少なくとも)日本では、睡眠が過小評価されてきたように思う。その分、食事やサプリなどが過剰評価されてきた気もする。
今回の「新しい生活様式」の1つとして定着させよう。
ついでに1月のNote再掲:80歳でもウォーキング!
「ショートスリーパー体質」は子供時代から変わらない!
2021/04追記:睡眠の専門家エイゾウさんとクラブハウスでお話できた。4時間睡眠でいける「ショートスリーパー」とは、生まれつき決まっており、割合は数%程度、子供の頃から変わらないそうだ。体質だから当然か。
スポーツなどでよくある「大会前日に眠れない問題」については、
結論:朝ごはんしっかり食べる伝統的な健康生活が大事!
大会などは遠征することも多いのでリズムが乱れがちだけど、前日も維持するのが大事!
睡眠を努力で短くすると、「目を覚ましてるだけ」で身体が修復しない。そのダメージが40代から爆発するよと40代後半の経営者:
「眠ることのできる能力」こそが武器なのである。
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Memo
2020-08-09 睡眠が最強の自己啓発法である理由【科学的に正しい自己啓発法】庵野拓将
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