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「好きを仕事に」する前に ...本気な趣味のキャリア論

「好きを仕事に」「夢を仕事に」とは、キャリア論の一大テーマ。

「努力は夢中に勝てない」「好きこそ物の上手なれ」など言われる通り、好きなことは工夫も努力もするから成長できる。ただし、成長したからといって、幸せに稼ぎ続けられるとは限らないのが仕事

「自分のエネルギー」を「おカネ」に替えるためには、戦略が必要。キャリア論とはそのための考え方だ。2020年9月のnoteに書いたのもその1つ ↓

今回は別の視点で、「好きなことは、仕事にするかは度外視して、徹底的に深めてみよう」という話をしよう。

古川享さんのキャリア論

8/23夜のクラブハウスで、32歳でマイクロソフト日本法人初代社長を務めたSamさん=古川享(すすむ)さんが、若者むけキャリア論を語られてた。

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参加者と丁寧にコミュニケーションを取りながら、相手の=特に若い人たちのために、真摯に語っているのが、音だけでよくわかる。当日資料PDFはこちらから(しばらく)見られます ↓

<概要>

p7)仕事選びは、若いうちは「走りながら考える」でOK

p8)仕事と関係なく、「本当に好きなこと」を深めてみよう。

p9)こうして進んでいれば、後ろに道ができる。それは就職先かもしれないし、人生を豊かにする別の何かかもしれない。
「その仕事につくこと」を目的にするよりも、なにかに興味を持ち続けた結果に、なにかの仕事があるのかもしれない。

p10)好きなことを極める姿勢は、年を取っても大事。情熱の対象を失えば、その時、真の老人になる。

p11)年上の人と一緒に仕事する経験も大事。

好きなことなら、利害関係がない

仕事選びに悩む若者(に限らないが〜悩んでいる限り若いということ?笑)にとって、「好きなことを仕事にするかどうか」は大問題だけど、ある意味それは「結果」に過ぎないともいえる。でも、最初から結果を考えないほうがいい。

その手前にあるプロセス、「好きなことにどのように関わってきたか」という深さに、自分のエネルギーを注いたほうがいい。それがサムさんの考えだ

とくに最近では、趣味でも社会活動でもビジネスでも、好きなことは副業などの手段で実現することもしやすくなった。ただ、これらも「仕事にした、という結果」レベルの話。ここで言っているのは、仕事にする手前のプロセス、言い換えれば、人生の時間の深さについての話をしている。

深さ、とは、いろいろな他人と一緒に、いろいろな体験をするということ。対象はどうでもいい。

ここで質問:
あなたにとって「自分の人生で好きなもの、楽しかったことは?」

たとえば・・・

❖ 好きなもの、こと
本、雑誌、映画、音楽、旅行、遊び
趣味、食事、色、Art、恋愛なんでも?!
❖ それらを一緒に体験する
語る、共有する、感動を味わう
議論を戦わせる、疎遠になる、復縁する
(資料p8より)

ここでのポイントは、利害関係がないことだと僕は解釈した。

好きなことなら、仕事と違って、利害関係がない。だから純粋に感動できる。真剣に議論できる。義務で一緒にする必要がないから、図らずも疎遠になることもあり、その痛みは純粋。復縁できればその喜びも深いだろう。

そんなことを、繰り返していると…

❖ 道なき道を歩いていて…
後ろを振り返ると、そこに道ができている、
そこに留まること無く、未来を創って行く!
❖ 何かを、仕事にするってことは
何かを「目的=仕事」にするのでは無く、
それに対する興味を持ち続ける結果なのかも
(資料p9より)

と、道ができてゆく。

好きなことを極めることには、メリットがもう1つあって、好きなことほど、年齢差を気にせず、年上とも一緒に活動しやすくなるだろう。特に学生世代にとって貴重な経験になるだろう。

こんな経験をした後で仕事につけば、その仕事を好きになりやすい、
気がする。

まとめると、

好きなことだから、深い体験ができる。
深い体験をしてきたから、良い仕事ができる。

シンプルな真理だ。

本気の趣味は仕事力を上げる(かもしれない)

シリアスレジャーについての研究者、杉山昂平さんの(長い)文章が、評論家・宇野常寛さん運営「遅いインターネット」に掲載されている:

この後半で

学校や職場では学びを促すための様々な努力がなされている割に、趣味の現場ではそのような話を聞かない

とある。これ単に、努力を努力だと思っていないからだろう。同じような工夫をした時に、仕事なら「工夫しました!努力しました!」と自覚して、そうアピールする。趣味なら「あー楽しかったー!」で終わりにしているだけではないだろうか?

しかし客観的には、それは立派な学びであり、改善活動であり、つまりは仕事力の向上なのだ。もちろん学生さんが就活するときのPR材料にもなる。

このテーマは、僕の社会人トライアスリートの研究(修士論文2014年、著書2017年)でも取り上げた。大人のトライアスロンとかは、ただハーハーゼーゼーしているのではなくて、その過程で、いろいろな学びがある。この本でも幾つか書いたのだけど、もう少しいろいろある。

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(原稿チェック用のPDFより、書籍は↓)

(もっと追求してみたい気持ちが最近もりあがっている)

・・・

マイクロソフトの採用面接@古川時代

サムさんnoteに、この考え方を具体化した面接方法が書かれている。

基本:

何かシンプルな問題でありながら、論理的に証明するのはとても難しい問題を与えて、その人の賢さを探る

こういうの説明したビジネス本とかありそうだけど、現実はもっとシンプルで、

「貴方が一番好きな本」、「定期購読している雑誌」、「最近観た映画もしくはテレビ番組」、「貴方の趣味の世界」、「最近訪問した場所でお勧めは」、「好きなレストラン」、どれでも良いからテーマを自分で選んで、それを私に推薦してもらえませんか?

と質問する。「どのような時代背景で育ち、どのようなことに関心を持ち、会社にどのような新しい風を持ち込んでくれるのかを嗅ぎ分ける」ことを目的にした質問。正解どころか模範解答すら作りにくい。

「学生の時にどんなハチャメチャな遊びをしましたか?」

僕などこういう質問に堂々と答えられるようなタイプではないのだが、年いってから始めたトライアスロンは、まあまあハチャメチャな遊びといえるかもしれない笑

noteはこちら ↓

古川享(サム古川)さんインタビューは、WEBメディアFINDERSに、2021/4/12, 8/7, 8/19, と連載中:

この連載、IT黎明期からの時代環境も、サムさんのいろいろな経験も、高密度に濃縮されていて、オススメです。

昔もかっこいいし(驚きのモテ話を深夜のクラブハウスで聴かせていただいている笑)

今の、新しい世代を支援する姿勢もすばらしい。

・・・

今回のトップ画像(文字入れ許諾済)

僕らも、僕らなりに、飛んでいきたいよね。

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