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スポーツ観戦ノート

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青山学院がタイム差10分つけた仕組み 〜箱根駅伝2022

箱根駅伝2022(第98回)、1−2位の差は10分51秒。1走者1分を超える。なぜここまで差が開いたのか? 青山学院はそれだけ強いのか? 意外と知られていない気がする長距離レースの仕組みをこのnoteで説明しよう。 長距離レースの本質まずは一般論から: A) 長距離レースは、タイムより順位、記録より勝負 B) ただし記録更新できそうなら、タイムは重要 順位さえ取れればタイムは気にしないのが長距離レースの基本。これ意外と知られていない気する。 A) 五輪、世界選手権、日

青山学院「サブ組」の貢献と「心理的安全性」 〜箱根駅伝2022

箱根駅伝2022、TV中継は青学優勝のゴールの後、原監督の胴上げを2回めまでたっぷりと映してから、2位以下を映さずCMに、CMあけも2位順天堂はレース中で、TVは10位のシード権争いを映しはじめた(※僕の記憶による)。10分以上の差とは、これくらい大きい。 この圧勝劇の主因は「層の厚さ」と報道される。このnoteでは、その厚い層の下側、華やかなTV画面の10名に入れなかったサブチームについて注目してみたい。 ※note公式「今日の注目記事」(1/4)選出いただきました〜

五輪マラソン”給水妨害”騒動の真犯人はネット空間をさまよう敵意

東京オリンピック最終日8/8、男子マラソンで「ボトル倒し」「給水妨害」など世界のSNSが燃えた。フランスのアンドゥニ選手が、30km手前の給水テーブルでペットボトル10本以上を端から全倒し: この場面が「他ランナーの妨害では」と世界のSNSで炎上。でもランナー目線ではこんなことは普通に起きる話だよ、と8/10にツイートしたら Twitterトレンド「給水妨害」の2番めあたりに表示され続け、1日の表示数も10万超え。これは必要な情報だなと思い、3,000字ほどの完全版を書い

無観客だから見えたスポーツの本質 #Tokyo2020

満員のスタジアムはオリンピックの華。とくにマイナー競技は〜陸上ですら数万人が埋まるのは五輪くらいだ。無観客となり、この大歓声を夢みていたアスリートたち、とくに今大会で引退するベテランは残念だろうな。あと900億円ものチケット売上を喪失=増税不可避アタリマエ(←下の句) でも大事なのは、失くしたものより、得られたもの。このnoteでは光を探っていこう。 結論:スポーツの本質が、無観客の会場で、より鮮明に見えたと思う だから今回大会は、けして劣化版ではなくて、新しい価値があ

女子ロードレース金、数学博士キーゼンホファーに見る、弱者が強者連合に勝つ方法

この6年ほど何かとグダグダしてきた東京オリンピックだが、つまりはスポーツ大会だよ?政治?芸能ショー?しらねーよw オリンピックとは、世界のトップたちが集まり、全てをかける場。4年に1度とは、生涯にピークは2回くらいしかないということ(最近は延び気味だが)。勝者は各競技にただ一人だけ(残念賞がさらに2席) チャンスの希少性は、究極の集中力をうみだす。勝てなかった全ての敗者たちも、その領域にまで到達した世界最高のチャレンジャーたちだ。 僕の好きな自転車ロードレースは、7/2

重さを速さに? 〜肥満判定トライアスロン選手、ブルンメンフェルトのランニング

オリンピックに次ぐ最高峰のトライアスロン大会シリーズ The World Triathlon Championship Series 今年は世界8大会が開催(+五輪)、2戦め横浜大会(2021.5.15)、男子エリート優勝はノルウェーのクリスティアン・ブルンメンフェルト(Kristian Blummenfelt)、174cm77kg=BMI25.4、適正体重より10kg重い「肥満1度」ようするに肥満体判定!(日本肥満学会基準、WHO基準では「前肥満」相当) その肥満(と数字

ランニングと空気抵抗 (中継車マジック解説)

【中継車マジック】 大型中継車の後ろのエアポケットに入り続ける先頭チームが、特に向かい風で、有利になる(かもしれない)こと。 箱根駅伝2021の実況で渡辺康幸さん(早稲田→現住友電工監督)が使っていた表現。ニューイヤー駅伝でも大迫傑さんが同様のコメントをされていたようだ。 今シーズン、個々のランナーは好タイムを出していたと思う。でも箱根で区間新記録は東京国際大ヴィンセントだけ。当日の風の強さが影響しているのだろう。1区の牽制によるスローペースも、強風下では起きがちなこと。