寄付者による事業費率イメージ、実際と乖離が(ドイツ)
昨日調べたDAF (donor-advised fund)が興味深く、掘り下げていたらドツボにはまりました。
オモシロイ。味がある。深い。
DAFをどう獲得していくか、DAFはなぜ有効か、などを非営利組織側としてだけでなく、寄付者としても複数の立場で見ていくことができてが面白い。なかなかのパワーワードにも出会ったりして、非常にワクワクします。
例えば、遺贈のための遺言作成を、無料でアシストしてくれるアメリカの組織FreeWillのサイトに、
More donors are turning to DAFs each year as a smart way to manage their giving habits.
寄付習慣を賢く管理する方法として、DAFを利用する寄付者は年々増加している。
という記載がありました。
DAFは、寄付『習慣』を『賢く』『管理する方法』として。
ですって。
って、もう考え方がイケてます。スマート。
よくよく考えれば、私個人の寄付は
好きなとこ(友人知人がいるところが多い)
結構行き当たりばったり
なんなら継続寄付してることを忘れる(意識&認識から消える程度)
わぁ。せっかく寄付習慣はあるのにスマートじゃないや。笑
と、ちょっと自嘲気味。
とはいえ、脳内インプットが溢れてあっちこっちワタワタしている感じも否めないので、こちらについては、またいつか。
事業費率イメージと実際との乖離(ドイツ)
今日は、ドイツの寄付者調査についてご紹介。
欧州全域におけるファンドレイジングの強化と発展を目的に活動する各国のファンドレイジング団体のネットワークであるThe European Fundraising Association (EFA)のサイトにあった記事です。(November 13, 2024)
タイトルにもなっていますが、この調査では、
ドイツの寄付者は、寄付先の非営利団体の事業費(社会課題解決のための活動費)の割合を実際より低く見積もってるらしい、とのこと。
実際には、寄付者がイメージする以上の額が事業費として使われている、ということですね。この乖離は、寄付者は非営利団体がかなりの金額を管理・広告費に使っていると思っているから、らしい。
こちらの調査は、EFAのメンバーであるDeutscher Fundraising Verband (DFRV)によるもの。本調査は、DFRVが年末に発表する「2024 Spendenmonitor」の数字によるものだそう。この調査はドイツの成人5,000人を対象。
例えば100ユーロの寄付のうち、
寄付者は、管理費や広告費を差し引くと、平均して約61ユーロがチャリティ活動に使われると想定している。
しかも、寄付者の約10人に1人は、この数字が25ユーロ以下であると考えている。
非寄付者の場合、100ユーロの寄付のうち47ユーロにまで減少する。
いや、いくらなんでも事業費5割以下はないよね.…と思うのですが、寄付をしない人の認識はこうだとのこと。アンファミリアだからこの思考になるのか、穿った見方をされているのか、はて、その理由も気になるところ。
また、寄付者は100ユーロのうち、75ユーロで最前線に届けることを期待し、非寄付者は79ユーロであれば安心できると考えている。とのこと。
この数字はあまり離れてないので、すなわち寄付経験があろうとなかろうと一般的に75~80%は事業費に使ってほしいという認識の模様。
実際、DZI(※サイトがドイツ語のため、団体概要分からず...)によると、ドイツの非営利団体資金調達収入ベース上位30団体において、総経費に占める広告・管理費の割合は、2023年の平均で14.26%だったそうですので、残りの約85%は事業費に使われていると思われます。
事業の持続可能性的に必要だからこそ、管理・広告費用はより効率的に
ここに印象的だったのが、DFRVのプレスリリースに記載されたこと。
非営利組織は一般的なイメージより、より管理・広告費を効率的に使っている。なぜなら、それはいわゆる管理についての議論ではなく、持続可能性とパフォーマンスへの緊急に必要とされる投資、たとえば有能な人材、透明性対策、長期的なインパクトに関するものだからである。
という記載。
管理費だからど~のこ~のではなく、活動を継続させるための必要な投資、だからこそ、効率的に使わなければいけない!ということ。そりゃそうですわ。
マーケティングや広告なければ、寄付は下がる
さて、よく寄付市場で話題にあがるのが、もっと「広告」ではなく(この「」にはよく「報告」とかも言われます)事業費に使ってほしいというご意見。
DFRV諮問委員会のメンバーであるトム・ノイキルヒェン教授は、大多数の人々は、何らかのマーケティングや広告の働きかけがなければ寄付をしないと付け加えています。彼はまた、寄付のための広告がなければ、ドイツの市民社会は「ほぼ間違いなく(現在の規模の)25%以下」まで縮小するだろうといっているそう。
だいぶ下がりますな。。。。。
これはあくまで発言なので、エビデンスのある数字ではなかろうとは思いますが、傾向として「下がる」だろうというのは個人的には同意見です。
非営利の活動には、管理費も広告費も、もちろん人件費も必要。
これは営利と変わらないと思っていますが、どうも非営利はより「清貧」を求められる傾向が強いです。
いつかそれを脱する日も来る。.…ようにどう行動するか、が個人的な課題。
さてさて。
寄付者・費寄付者による「事業費率イメージ」、日本にもこんな調査があったら面白いだろうな~。乖離があるなら寄付者に対して事実を提唱するきっかけになる(=寄付者とのコミュニケーションきっかけが生まれる)かも。
寄付者が希望する情報のメインは、その団体の活動内容でしょう。
が、例えば法人寄付のように数字的説明やエビデンスが必要なところには、こんな調査があれば、非営利団体側の準備に役立つだろうと思います。