映画『初仕事』公開に寄せて
油彩画を主として展覧会での発表を軸に、挿画や文筆も手掛ける画家の平松麻さんより本作への寄稿文を寄せていただきました。
なかなか晴れ渡らない翳りが室内にこもっている。暗さがとどこおっているのは、赤ん坊と妻を亡くした安斎の呪詛のような喋りのせいか。それとも冷蔵庫にしまわれた赤ん坊の止まった存在のせいか。
死んだ赤ん坊を、写真に焼きつけて永遠にしたいという安斎の願いを、新人カメラマンの山下が引き受けることになった。遺体を他人が撮影することは、果たして非常識なことだろうか。わた