Faure Requiem "Offertoire"

フォーレの愛すべきレクイエムから奉献唱の一部を。

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フォーレの和声マジック。要は偶成和音なのですが、D A7と来て次がF7になるという不思議な進行であります。本来の調性のD Major であれば C# E F# であるはずの音が、ひっくり返ってC Eb F になってしまい、しかもAはそのままなので連続性が保たれる。一瞬長三度下のBb Majorに行っていると解釈できるでしょうか。F7 はさらにひろがってGを響かせる。またA7を通ってまるで何もなかったかのようにDに収束する。

少し先の部分でもちょっとした経過句にマジックが。

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Dから始まって最後はAに落ち着くのですが、途中でE7が出て、しかもそれが普通ならドッペルドミナントになるところが3度上の長三和音、すなわちF#に行ってさらにB minorにはいるあたり。まったく無理なく順次進行でさらっと転調するのがフォーレのフォーレらしいところです。


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