2020年2月「神田佳子と仲間たちによる打楽器作品展」動画公開

日本作曲家協議会ニューカマーズ(新入会員)演奏会2019と2020の録画が公開されました。2020年に拙作"Rainfall Shuffle"も含まれております。

2020年演奏会(「神田佳子と仲間たちによる打楽器作品展」)の再生リストはこちら

(同演奏会の感想)

日本の作曲家2020Aプログラム「神田佳子と仲間たちによる打楽器作品展」、川島素晴さんの比類なきプロデュース力、神田佳子さんとそのお仲間の高い音楽性が、空前といってよい驚くべき演奏会を実現させたと感じています。

一曲目、中辻作品は膜製打楽器のきっぱりした響きを中心に、緊密で堅固な構成をもって、演奏会の冒頭を飾りました。つづく永野作品は、抑制された表現で繊細な音の美を提示されました。形式的にも安定して聞くことのできるものでした。

深澤作品はジャンベとカホンという簡素な編成で2者の対立・対話を面白く聞きました。打楽器の楽しさの根源に触れさせていただいた気がします。

山田作品はテノールを迎えてのストーリー性のあるものですが、いつもながらその音楽的な技量の確かさに瞠目させられます。フルサイズのマリンバとヴィブラフォンを縦横に駆使した永野仁美さんの見事な演奏も記憶に残ります。

意表をついた白岩作品。チャイコフスキーが6番シンフォニー中で一回だけならした銅鑼を、ここでは二人の奏者がほとんど格闘技のように扱って華麗な音響を繰り広げました。打楽器の可能性が無限であることをこれほど端的に示した作品も少ないのではないでしょうか。

伊藤作品は種々の特殊奏法を使いながら、その必然性に説得力があり、細かい表情やタイミングの変化で聴衆を引き付けることに成功していたと思います。

最後に拙作("Rainfall Shuffle")についてですが、ほぼ作曲者として理想に近い演奏をしていただき、感謝に堪えません。このメンバーでなければ不可能な演奏だったと思います。ドラムスを使い、現代音楽の語彙と「ポピュラー・ミュージック」のテクスチュアを合わせてさらに深みのある面白さを目指すという意図は、この作品では残念ながら途半ば、いわば某先生が的確に指摘されたように「煮え切らないもの」であったかと思います。この作品にとどまらず、これを重要な一つの手がかりとして、次の挑戦をしてみたいと考えております。この演奏会を可能にしてくださったすべての関係者の方々に感謝します。


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