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無題エッセイ#1

 私のアイデアは、稀に他人の役に立つことがある。
 正確にはアイデアではなく「身から出た錆」なことが多いのだが、以前の記事で「私のnoteでの失敗は、何度もアカウントを削除してしまったこと」と書いた。その際、その「継続することの重要性」というテーマについて、ある作家さんがメルマガを発行してくださったことがある。

 「くださった」と尊敬語なのは、その作家さんのファンであり、また尊敬しているからである。しかし、「一生、あなたについていきます」なんて台詞は吐かない。いや、吐けない。

 私は自分の発する言葉には責任を持っている。

 したがって耳触りの良すぎる台詞は吐けないのである。
 自分の発する言葉に責任を持っているという話をもう少し掘り下げると、逆説的だが、「これは言ってもいいが、これは言う必要はない」と思慮分別をつける癖を身に着けた。キッカケは中学時代のいじめ。私のことを「キモい」「無能」等と稚拙な言葉でなじってくる輩にウンザリして、「他人の悪口は極力言わないようにしよう」と頑なに決意したものだ。そのスタンスは今も変わらない。
 5年ほど前から、私にはアンチのような人たちが湧いているが、「のような」と表記しているのは、全員が全員、私に悪意を持っているとは限らないからである。敵意はあるかもしれないが、悪意はないかもしれない。私も喧嘩を売るような言葉は極力使いたくないのである。それでも私の文体が強気で言い切り口調のせいなのか、稀に反感を買って批判されることがあるが、偶然の出会い頭の事故と思って、あまり気にしていない。

 私をいじめた連中が今、当時のことをどう思っているのかは知らないが、私は自殺することなく(一応は)健全に生きていることを考えると、私はいじめられた過去を乗り越えられたと言える。そして、いじめられている人の気持ちが分かるようになった私は、同じような苦しみを抱えている人に優しくもあり鋭くもある言葉を投げてあげられる大人になったと自認している。あくまで自認だがね。

 それにしても昨今は色々と細かい時代になった。
 私は愛煙家だが、もちろん歩き煙草はしないし、ポイ捨てもしない。しかし、いくらイチ個人がマナーを守って煙草を吸っていても、巷には煙草が嫌いなのに、まるで自分から喫煙所へ入っていって「臭い臭い」と喚く輩が数多く存在する。

 びっくりするくらい、日本人は他人のプライベートに煩(うるさ)い。

 芸能人の不倫スキャンダル叩きも、その一環なのだろう。「汝(なんじ)の隣人を愛せよ」という言葉はもはや使われない。とにかく批判できる隙のあるものは批判し、気分爽快になっているのだろうが、現実の自分の生活は何一つ変わらない。ネット上での誹謗中傷を繰り返しているのは主婦に多いと聞いたことがあるが、いくら芸能人を誹謗中傷したところで、夫の収入が上がることはないし、息子の内申点が上がってくれることもない。

 自分が虚しくなるから、ネット上での誹謗中傷など辞しなさい。

 ネット上に限らず、普段の日常生活でも滅多に文句を言わないことだ。
 瞬間湯沸かし器なんて死語だが、つまらない、些細なことでいちいち腹を立てることも非常に非生産的で、最近では「不機嫌ハラスメント」と言うらしいが、不機嫌な態度を取られる周囲は迷惑するものだ。
 余談っぽくなるが、私は父親に怒られることが多い。私の父親は厳格なタイプというか、だらしない人を嫌う。そこで、だらしない私が怒られるという寸法になっている。しかし、いくら怒られても私は父親のことを尊敬している。
 なぜか。

 仕事やプライベートの愚痴を一切家庭内に持ち込まないのだ。

 愚痴っぽくないのである。
 母親のほうが余程愚痴っぽく、対照的だ。私の両親が離婚せず続いている理由の一つかもしれないが、もし仮に父親も愚痴っぽい人だったら、真面目な話、とうの昔に離婚していたと思う。そう言う私も稀に愚痴っぽくなってしまうことがあるから、その都度反省している。

苦しいこともあるだろう。言いたいこともあるだろう。不満なこともあるだろう。泣きたいこともあるだろう。これをじっと我慢していくのが男の修行だ。

山本五十六(連合艦隊司令長官)

 約80年前の言葉だが、もう今の時代にはポリコレの問題があって公にできない言葉と思う。しかし、愚痴っぽい男が尊敬されないという事実は古今東西変わらないのではないか。    
 男の人生は「○○すること」より「○○しないこと」に意義のある行為が多く含まれるのだ。我慢しなければならないことが多い。私が「男の人生は厳しい」と言っているのはそういう理由もある。

 はて、2000字ほど綴ったが、話の着地点が見えず参ってしまった。
 この記事は実にエッセイらしく、自由に書いたから、どんなタイトルをつければ良いのか分からないが、ボツにはしないつもりだ。