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OWL magazineの著者育成の際に考えていること。


OWL magazine設立当初に掲げたやりたいこと。

1つ 旅とサッカーの記事が掲載できるメディアを作ること

1つ 向上心の高い人を育成していくこと

1つ 仲間達と一緒に旅に出ること ワールドカップや海外のバルなどで乾杯すること

1つ ボールを蹴る人、プレイヤーとして日本中、世界中につながりを作ること

一番上については、毎日更新をするところまではこぎ着けた。ただ、旅記事の割合は、コロナの影響でどうしても増やせないでいるので、そこは課題である。

ぼくも旅記事の執筆ペースが落ちてる。だって、最後に旅に出たのはいつだっただろうか……。もう覚えていないくらい前の話なのだ。諦めずに旅が出来るまで耐えることが大切だ。

育成についてはだいぶ頑張ってきている。次から次へと新しい著者が生まれていくマガジンなんて他にあるだろうか。執筆者のレベルが低いということも断じてない。育成はとても時間がかかるし、手間もかかる。その上、努力が全部無駄になることも多い。

けど、そういうものだと割り切って先に進んでいくしかないのだ。育成に見返りを考えてはいけない。育成したいから育成するのだ。ぼくが死んだときに「ああ、昔ちょっと世話になったな」と思ってくれる人が一人増えるだけで、幸福な人生になるというものだ。

育成の本質は「育てて売ること」では断じてない。人を育てる過程の中で、自分のことを省みて、成長の糧にできることだ。人を育てる者が一番得をするのだ。自分のためにやっているのだ。

だから手を抜いてはいけない。ぼくは、虚弱体質なのかというくらいいつも体調が整わない。

3月初旬に東北に行ってから、体調不良になり、そのあと風邪を引いて、風邪のせいで咳喘息になった。もう1ヶ月くらい体調不良が続いている。気分爽快な日というのは、週に1日あればかなりいいほうだ。

東北でストレッチしたときに軽く断裂したと思われる内転筋は未だに痛いし、精神系の薬も切れたまま病院に行けていないので、脳もうすらぼんやりしてきた。あまり仕事が出来ていないので、収入も途絶えてきているのでマネー何とかというアプリを見るのが怖い。

こんなぼくだから添削するのもどうしても遅くなってしまうのだが、それでも手は抜きたくない。育てるのだ。自分のために。誰かを育てられたという経験は、自分の人生を肯定してくれる。それだけでいい。

とはいっても報われないことも多くて、一生懸命手塩にかけて育成した書き手に呪詛を吐かれることもあるし、そのままどこかに消え去ることもあるし、共演NGとかいって陰口を叩いている人もいるらしい。

もっともそういうケースは育成しきれなかったことが多い。あともうちょっと時間があれば、ぼくの手を離れてもプロとしてやっていける実力が付いたかもしれないのだが、当時の添削能力ではそこまでの力を付けてあげることが出来なかったのだ。

人の原稿に手を入れるようになって、ぼくは大きく成長した。

人を否定してはならぬ。しかしながら肯定だけをしてはならぬ。直さなければならないが、直してはならない。モチベーションを上げなければいけないが、飴を与えすぎてもいけない。時には嫌われるのも覚悟で強く言う必要もある。

正解はない。100%も不可能だ。間違うこともある。好かれることより嫌われることのほうが多い。時間は食う。お金は一銭も取っていない。

だけど、心から感謝している。

ぼくは浦和レッズのサポーターにはとっても好きなところがあって、「一度でも浦和のユニフォームに袖を通したらうちの子だから、いつまでも応援する」と言っていたことだ。全員かどうかは知らないけど、割とそういう傾向はあるものらしい。

J2常連のクラブなどの場合、選手がステップアップでいなくなることが多く、そんな余裕もないかもしれないが、J1上位クラブの浦和の場合、横の移動はあまり多くない。チームと噛み合わなかったり、実力が足りなかったりした場合に移籍することが多いのだろう。出て行った子に優しいのはそういう背景も影響はしているだろうと思う。

しかしながら、そうはいっても、出て行く選手に対してポジティブな気持ちを持ち続けるのは簡単なことではない。それは紛れもなく愛なのだ。ぼくは浦和レッズのサポーターが集うゴール裏に何度か行ったことがあるのだが(東京サポになる前のこと)、あの空間に満たされた濃厚で優しい愛情は、何にも代えがたいものがあった。

浦和のことを嫌いな人は多いけど、あの空気を知った上で嫌いな人は多くないだろうと思う。

さておき、ぼくにとっての育成は同じような気持ちなのだ。一度OWLの袖を通した人は、ずっとOWLだし、家族なのだ。しかれども道は違えることはある。嫌われることもあるだろう。でも、戻ってきたいと言われたら、なるだけのことはしてあげたいと思っている。

もちろん、OWL magazineは商業メディアなので、読者にとって有益なコンテンツが作れるのは最低条件で、最初から育成し直しになることもあるかもしれない。でも、そこからやったらいいんだよ。

文章にも表現にも終わりはない。死ぬまで上達することが出来るし、死ぬまで育成は終わることはないのだ。

ただ、お願いですうちで書いてくださいと頭を下げるのはあんまりやりたくない。OWL magazineは空手の道場みたいなものだ。道場主が頭を下げて「お願いします、うちで練習してください」なんて言うことはないはずだ。

練習したい人が来ればいい。成長したい人が来ればいい。そうじゃない人は、悪いけどあんまり欲しくないんだ。ここは成長するための場だから。

OWL magazineには、大先輩のライターである宇都宮徹壱さんも所属しているのだが、その宇都宮さんですら、毎回毎回少しでも良いコンテンツが作れるよう、OWL magazineの購読者が増えるよう、考えてくれているし、文章も修正し続けてくれている。

宇都宮さんが最初に出してくれた原稿は「何を書いたらいいかわからないんだよね」というようなトーンだったのだが、今は、代表のぼく以上にOWL magazineのやるべきことをわかってくれているような気すらする。

2年間、一度も遅れることなく原稿を出してくれて、しかも少しずつクオリティを上げてくれている。その間に、自分のメディアもやっているし、寄稿もしているし、著書も出している。本当にすごい人だし、OWL magazineらしい著者だと思っている。

もっとも、「OWL magazineらしい」なんて軽はずみに言うべきではなくて、OWL magazineのみんが見習わなければならない存在であるわけだけど。

宇都宮さんと初めて会ったのは2013年の9月のこと。あれから、7年半も経つことに驚きつつ、この稿を終えたい。

OWL magazineの仲間になるのに才能はいらない。必要なのは死ぬまで成長していこうという志だけなのだ。


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