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復活!孤独のタクドラ飯 ride.8 松戸の札幌 乗務報告2020/07/29


この日も前日に続いてチェーンコンボが炸裂した。もしかしたら実力がついてきたのだろうか? それとも偶然だろうか?

日本橋から六本木、西麻布から三宿、渋谷から新中野、新中野から中野、中野から江古田、帰り道の中野から渋谷、渋谷から渋谷、渋谷から六本木、そして赤坂から荻窪。

6時間弱の間に営業回数は10回で、しかも高単価が多かった。ノルマは30000円と決めていたのだが、ここまでで25000円も稼いでしまった。

うーん……。これは実力なのか。偶然なのか。

ぼくが乗務を始めてからはコロナ関係によって社会情勢が変化し続け、それに合わせて都民の行動パターンも変貌を続けた。それにあわせて、お客様の数も大幅に増減する。

従って、売上を上げられるかどうかは、自分の実力よりも外部要因の影響が大きかったように思う。だから、実力がついたのかどうか釈然としていなかったのだが、この調子が続けば少し上達したと言えるのではないだろうか。

腕が上がったかどうかよりも、コンディショニングが良くなったことは間違いない。眠くならないまま11時間車を動かし続けることが出来るようになっているからだ。

と、調子が良かったのはここまでであった。

泥酔してお金を持っていないおじさんが、コンビニで引き出すのを20分待ちぼうけして、結局おまわりさんに助けてもったり、某駅ガード下で乱闘する血の毛溢れる男達を温かい目で見守ったりもしたが、概ねは暇であった。

夜は本当に人がいない。歩いていることも珍しいし、ましてや、タクシーでどこかへ行こうというお客様は少ない。

そんな中、一軒の無線に助けられた。お迎えに行った料理やさんは、裏路地にあるのだけど、間違いなく名店だ。店構えだけでわかった。いつか行って見たい。それはどこだという話かもしれないが、昨日の今日で書くとお客様のプライバシーに関わるかもしれないので、今は書かない。

その後は錦糸町で営業なのだが、人が居ない。歩く人は少なく、客引きのお姉さん達も戦意を喪失して、雨宿りをしながらスマートフォンをいじっている。

しかし、ぼくは諦めていなかった。

賢者を狙うのだ。


ラブホテルから出てきた賢者を!!!


かなり苦戦して2時間くらい戦っていたところ、ラブホテルから男女が現れた!


孔明「今です!軍を突撃させなさい!」


男女の元へと殺到するぼくの前からひょいっとタクシーが左折してきた。


しまった!!! 伏兵か!!!

孔明!はかったな!!


孔明が敵なのか味方なのかよくわからなくなってきたが、乗務明けに書いているのでご容赦頂きたい。

結局2番で到着になってしまったのだが、後ろで待っていると男性が乗り込んでくれた。ああ、賢者様……。

ぼくは、MPを使い果たした後の賢者様にご乗車頂くのを好んでいる。とてもご機嫌で、うたた寝などをすることも多く、そこそこの距離でも気持ちよくお金を出してくれる。その上、道を間違えても怒られることはない。

賢者様……。


というわけで、賢者様と共に、水戸街道を行き、柏を過ぎたあたりまで行く。大学院に行くとき毎日のようにくぐっていた千葉大トンネルを久々にくぐった。懐かしい……。

せっかく千葉まで来たので美味しいラーメンを探そうと考えた。そうだ、せっかくだから孤独のタクドラ飯を復活させよう。

というわけで、帰り道に松戸駅に寄り、駅前で空いていたラーメン屋に突入した。

「ひむろ」というラーメン屋さんで、札幌ラーメンのお店とのことであった。時間は深夜の2時を回っていたので他に空いているお店を探すわけにも行かない。ここでいいし、ここしかない。

そういえば札幌味噌ラーメンというのは、しっかりと味わって食べたことがない。食べるのはサッポロ一番の袋ラーメンくらいであった。

というわけで勇んで味噌ラーメンを注文する。

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一口麺をすする。

美味しい!

少し太くて、とてもちぢれている黄色い玉子麺である。おやつのような幸福感と共に、栄養を身体に染み渡らせる。

しかし、主役は麺ではない。スープである。

スープを一口飲むと、ガツンと味噌がぶつかった。まるで塊の味噌に齧り付いているかのごとき確かな存在感である。

間違いなく、味噌である。

紛れもなく味噌である。

口の中に味噌の塊が出来る。そして、その塊が弾け、中に詰まっている旨味が広がっていく。意外にも後味がとても良かった。

美味しい、とても美味しい。

日本人は味噌、味噌なんだよ!

一気に食べていると、味噌の塊になれてきた。

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塊味噌の風味になれると、クリーミーでまろやかなスープに感じられるようになった。そうだ、これは母が作ってくれた味噌汁の優しさだ。

クリーミーな幸福感である。しかし、味噌の味は消えたわけではなかった。厳つさを感じるまでの味噌の風味と塩気が、優しさの外側を囲っている。まるでサッカースタジアムのようだ。中に広がる優しい緑の芝生と、外を囲む厳ついコンクリートの壁である。

そして何気なくワカメを囓ると、なんだこれ!!


なんだか知らないけど異様に美味しい!!


ええええ? 増えるワカメちゃんじゃないの? 乾燥ワカメだよね?

でも、まるで獲れたての天然ワカメのように肉厚で、風味がある。そんなまさか。しかし、この美味しさはなんだ?

会計時に店員さんに聞いてみた。

「ワカメ、なんかすっごく美味しかったんですけど、特別なもの使ってます?」

「え……? ワカメは……、普通だと思うんですけど……」

「おかしいな……。信じられないほど美味しいんだけど」

「あ、たっぷりスープを吸っているからかもですね!」


優れた味噌スープは、一流の職人である。


日本国民がリモートワークを続ける中、味噌スープは働き続けた。スープとして飲ませ、麺に絡み、最後にワカメまでも育てたのだ。

札幌に生まれた味噌ラーメンが、育てたワカメに乾杯である。もちろんこの後も乗務なので水である。

ちなみに、ワカメは暖流系の褐藻類なので、北海道近海には生育していない。

……。と思って調べてみたら、北海道西部は暖流の影響が強いからワカメが生えているらしい。お見それしました。いつか札幌にも食べに行きたいものだ。


タクドラ飯はこのへんにしてちょこっと乗務報告

売上(税込み):44760円
営業回数:19回(無線3回)
歩合に換算すると22000円くらいの収入。
日給換算で11000円くらい。

昨日とほぼ一緒の売上ながら、営業回数は6回も少ない。非常に単価が良かった。

・無線を狙いながら人が少ないエリアで「お化け探し」をするのはかなり得意なスタイルになりそう。無線はとても良い武器。

・陣痛のお客様に病院までご乗車頂いた。重大な役割なので緊張したが、非常に充実感があった。元気なお子さんが生まれていますように!!!

・中野の小道、結構地獄説 人が多い。

・荻窪の南、チベット地域。歩きだったら絶対に出てこれない。

・Googleマップとヤフーナビを組み合わせて使う独自の方法論が完成しつつある。

・乗務の後にこれ書くと、諸々で40分かかる。結構しんどいけど、後で書くより今やったほうが良いと思うので、日課にしたい。あんまり眠かったら簡略化する。

・いつもサポートくれて、このコラムを楽しみにしてくれていた方もいるので頑張りました。

・書くことより、食うことによる食費の増加と、その後訪れる眠気のほうがきついのである。


いーじょー!

いーじょー!

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