久保建英くらいしか知らない世間の皆さんと色褪せたいつかのフットボールバブル【Short letter】。
ぼくはサッカーの話をするのが好きだ。
ビールを飲みながらのサッカー談義をすること以上のことはないと思っている。どんな世代の人でも、どんな国の人でもすぐに仲良くなれる魔法の話題だ。
日本中をサッカー旅しながら、あるいはワールドカップ本戦あるいは予選を訪れながら、そんな思いは強まっていった。
サッカー談義を色んな人と楽しむようになったのは、Jリーグ初観戦記事によってサポーター界に突入した2013年のことであった。
そのあと紆余曲折あり、ぼくはタクシードライバーになった。これが幻のオリンピックイヤー 、2020年のことである。
ところで、タクシーでお客さんにご乗車頂きながら気がついたことがある。サッカーに関心を持っているお客様が全然現れないのだ。もちろん、運転手とサッカー談義を急に始める人は多くないだろうが、それにしても少ない。お客さん同士での話題でもサッカーが出てくることがほぼないのだ。
一度だけ後ろでFC東京サポーターの方が話しているのを聞いて「ぼくも東京サポなんです!!」と乱入したことがあった。他にも、新潟サポーターの方に乗って頂いたこともあった。あとは歌舞伎町で飲んでいた元サッカー選手と熱く語ったこともあった。
友人知人が予約して乗ってくれた時はもちろんサッカーの話をすることもあるのだが、そうじゃない場合にはサッカーの話題が出ることは滅多にない。
そんな中、唯一認知されているのは久保建英なんだろうと感じている。サッカーの話が出ないとは言ったのだが、実は、久保建英の話はよく聞くのだ。
「久保君はスペインにいるんだよね」とか「この前のシュート惜しかったよね、もうちょい得点力あればね」などという会話が聞こえてくることはちらほらある。一度だけ話に割り込んだことがあって、FC東京時代から久保建英のプレーを見ていることを告げると、とても喜ばれた。
久保建英の特長を聞かれて「体幹が安定していてディフェンスにあってもプレーが乱れないこと」と「ゴールに結びつくパスやシュート自体も狙っていけること、ゴールを逆算できる感覚」と言うと、とても驚かれた。
その驚かれ方は、「サッカーのことをこんなに専門的に考えている人がこの世にいるとは思わなかった」というような雰囲気であった。
ここから先は
OWL magazine 旅とサッカーを紡ぐWeb雑誌
サポーターはあくまでも応援者であり、言ってしまえばサッカー界の脇役といえます。しかしながら、スポーツツーリズムという文脈においては、サポー…
文章や音声コンテンツが面白いと思った方は、是非サポートをお願いします!コンテンツづくりのための経費や投資に使わせて頂きます。用途については不定期でnoteに公開します。