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虫MOVIE(虫映画教えて下さい!)

 実は何年も前から「虫が登場する映画のエッセイ」を書きたいなあと思いつつ、書く場所もないしと放置していたんです。ところが先月、イベント出展のため急遽形にすることに。序文以外全くの白紙状態から3日間、目を血走らせながら6本のエッセイを書きました。熱い想いのこもった文章になったので、もっと分量を増やしていずれ本(ZINE)にしたいと思っています。
 そこでお願いです。以下に掲載する3本のエッセイを読んで興味を持って頂けたら、虫が登場する映画を教えて下さいませんか。虫を主題にしていなくても、ちらっと登場するだけで構いません。NetflixかAmazonプライムで観られる作品だと助かります。この記事にコメントでお知らせくださると嬉しいです。それから、こういうエッセイを掲載したいというメディア様!いらっしゃったらお声がけ下さいませ!よろしくお願いします!!

序文

 私は虫が好きだ。道端でチョウやトンボやイモムシを見かけると嬉しいし、カナブンやバッタがいたらとりあえず捕まえて手に乗せてみる。種類によってはクモやガも可愛いと思うし、珍しい虫の標本を見に博物館へ行ったり、昆虫図鑑を買ってきて延々と眺めるのも好きだ。ただし、山へ虫取りに行ったり、飼育したり、標本を作ったりはしない。見る・触る・本を読む。そういう虫好きと思ってほしい。
 虫は、人間のすぐそばにいながらも、独自の世界で暮らしている。どの種でも生態を知れば知るほど不思議で面白く、ことによってはぞっとする。ぞっとするような、怖いところも含めて私は虫が好きなのだ。可愛かったり美しかったり、不気味だったり気持ち悪かったり、その両面に私は魅力を感じている。
 虫のことをもっと考えたいと思い『虫が登場する』というくくりで映画を集めてみることにした。映画に登場する虫は私に何を教えてくれるのだろう。

メタファーとしての虫『羊たちの沈黙』メンガタスズメ

 虫が出てくる映画といえばまずこの作品を思い浮かべる。DVDジャケットにもしっかりと写っている印象的なガの姿。女性の口元を隠すように配置されたこのガの背には骸骨のような模様がある。それが「メンガタ(面型)」の所以である。劇中、主人公が追っている連続殺人事件の被害者の喉から昆虫のサナギが発見される。自然に入り込む可能性は低く、人為的に押し込まれたものとみられたサナギは博物館に運ばれ、アジア産のメンガタスズメであることが判明する。この作品の舞台であるアメリカには生息しないことから「犯人が輸入して飼っていた」と推理され事件の手がかりとなるのだが、私はその一連の描写が嬉しくてたまらなかった。小さな虫を調べて同定(種を特定すること)し生息環境等から殺人事件のヒントを引き出すなんて。普段「虫けら」と注意を払わない人たちに見せてあげたい。たった一匹の虫にもこんなに情報が詰まっているのだと。
 犯人が、警察に手がかりを与える危険を冒してまでこのような行為に及んだのはやはり「見てほしい」という思いがあるからだろう。犯人は、この連続殺人を通じて生物学的な意味での「変態」をしようとしている。気に入らない己の肉体から、美しい羽を持つガのように全く違う姿に変わる。少なくとも彼はそう信じている。死体に詰められたサナギはその予告なのだ。
 イモムシがチョウに変わるというのはありがちなメタファーだが、それを不気味な骸骨模様を背負う大型のガに担わせることで物語の不穏なムードが盛り上がる。そのビジュアルも含め、虫好きとして忘れがたい作品になっている。

不快なものとしての虫『コンスタンティン』大量の虫

 悪魔祓いを生業とする男が主人公のダークファンタジー映画。キアヌ・リーヴスが憂鬱そうに悪魔をぶっ殺していくのが楽しい作品だが、中盤で出てくる虫の集合体のような姿をした悪魔は強烈だった。主人公の友人が取り殺される時の描写は虫嫌いでなくてもぞっとする。そういえばティム・バートンの『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』の悪役ブギーも、中身は大量の虫だった。この世の循環システムの大切な一部とはいえ、死体に群がる虫を見て快く思う人はいない。集合体がもぞもぞ動いているところが恐ろしく感じるのはそういう場面を連想してしまうからかもしれない。だからこそ「大量の生きた虫」は世界共通のホラー表現として成立するのだろう。
 虫が苦手な人は多い。それはよくわかっている。人が虫を嫌悪するのは当然のこととすら思う。そもそも虫は危険な生き物だ。伝染病を媒介したり、毒を持っていたりする。蚊のたてるあの小さな羽音を聞き分けることができ、また不快に感じるのは、その音を避けた人間が生き残ってきたからだという話もある。遺伝子レベルの嫌悪感が我々には備わっているというわけだ。しかし、それに勝る好奇心というものがある。虫に興味を持ち、知識を深めれば嫌悪感を乗り越えることが可能だ。危険でない種類や、危険でない接し方を知る。行動の意味を知り、地球に与える影響を知る。そうすれば、愛着とまでいかなくても、全ての虫を悪魔のごとく恐れることはなくなるだろう。

かっこいいものとしての虫『シン・仮面ライダー』バッタ

 仮面ライダーには、昔から惹かれるものがあった。望まない人体改造を施されたバッタ超人が孤独に悪と戦うという、仄暗いストーリーが気になっていた。テレビ放送開始から五十年、うっすらとしか知らないままここまできてしまったがこの映画が公開されるにあたり、ついに正面から対峙することになった。冒頭のトラックのシーンから完全に引き込まれ、巨大なクモの巣を見た瞬間「来て良かった」と心底思った。バッタはもちろん、クモ、サソリ、ハチ、チョウなど、虫の特性を持つ怪人たちの虜になっていった。戦闘スーツと仮面のデザインがとにかくかっこいい。硬質でシャープな雰囲気は外骨格を持つ美しい虫を見た時の興奮を呼び起こす。それぞれのキャラクターもやりすぎなくらい個性的で、次はどんな怪人に会えるんだろうとわくわくしながら鑑賞した。
 そもそも何故仮面ライダーはバッタモチーフなのだろう。あまり強いイメージはないし、ずっと不思議に思っていた。関連書籍によると、デザイン上の理由で選ばれ、自然の象徴として描かれることになっただけでバッタであること自体に深い意味はないらしい。また、虫の力を人間サイズに換算すると凄まじいことは作中でも示されるとおりである。
 かっこいい虫といえば、現行のスーパー戦隊である『王様戦隊キングオージャー』は王様と巨大な昆虫型機械生命体が共闘する作品となっているので書いておきたい。メカの昆虫たちは可愛らしく、虫モチーフの戦闘スーツはとてもかっこいい。主要メンバーだけでなく登場人物ひとりひとりに虫由来の名前が与えられているのも面白い。ファンタジー作品として非常に良くできていて大人も楽しめる内容になっているから見てほしい。アマプラで全話視聴可能なのでぜひ。

虫映画一覧

○書いた
メタファーとしての虫『羊たちの沈黙』メンガタスズメ
隣人としての虫『モリのいる場所』庭の虫たち
愛らしいものとしての虫『ウォーリー』ゴキブリ
不快なものとしての虫『コンスタンティン』大量の虫
キラキラとしての虫『ムーンライズ・キングダム』カナブン
かっこいいものとしての虫『シン・仮面ライダー』バッタ

○書く予定
『NOPE』カマキリ
『スタンド・バイ・ミー』ヒル

○検討中(教えて頂いた作品)
シュガー・ラッシュ
バグズ・ライフ
みつばちのささやき
カフカの変身
ミスト
ピノキオ(デル・トロ版)
フェノミナ
ハムナプトラ 失われた砂漠の都
インディージョーンズ 魔宮の伝説

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