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街コンくん①

彼氏と別れた。約1年半付き合った元上司と別れた。
それと同時に会社も辞めた。大好きだった仕事とも別れた。

16個上の彼氏とせっかく別れたのだから、同い年の人と話がしたくて街コンに行った。同い年の友人は結婚しているか、彼氏がいるのでもちろん1人で参加した。

まだ17時だ。。。早く着きすぎた。
街コンは19時からなので、近くのスタバで時間を潰すことにした。
そいえばこのスタバ、何年か前の彼氏と同棲してた時に喧嘩したときの避難場所にしていたなあと苦い思い出を思い出した。夜は終わるのが遅く、朝のオープンが早いスタバは避難場所にぴったりだった。

行きなれたスタバでいつものドリップコーヒーを頼む。
接客と提供される商品にムラがないチェーン店が大好きだ。
品定めされそうな洒落たコーヒー屋に入る勇気はないし、
マックでコーヒーもいいけど払ってる額が違うからどうしても長居はしにくい。ちょっと長居したいときと、ワンモアコーヒーを消費できる日はスタバが一番コスパがいいと思っている。

外の景色が見えるカウンター席に座った。
ここならスマホの充電もしつつ、外の景色も観察することができる。
ちゅるちゅるとストローでアイスコーヒーを吸っていると、隣の女性同士の会話が聞こえてきた。二人でショッピングを楽しんで服を購入したようだ。他愛のない会話だけど、彼氏も仕事も一緒に街コンに行く友達もいない私にはものすごく羨ましい会話だった。

彼女たちの他愛のない会話を盗み聞きしているうちに、街コンの開始時間の10分前になった。私は急いでコーヒーを吸い込み、カップをゴミ箱に捨てて街コン会場に向かった。

会場はスタバに向かう前に場所を確認していたからすぐにわかった。
年季の入った雑居ビルの2階だ。本当にここで男女の出会いが始まるのか首を傾げたくなるくらい雰囲気は皆無の会場だった。

4人用の机と椅子が5つ置いており、その机の上に申し訳程度のお茶が入った紙カップが2つずつ置いてあった。男性5人、女性5人の10人参加の街コンだった。街コンの運営さんが用意していた自己紹介カードとやらを記入して街コンがスタートした。

自己紹介と初対面同士で話すお決まりの趣味、仕事、あとは街コンならではの恋愛観についてなどの話を5回繰り返した。この5人の中で私とすごく考えが似ている男性がいた。

その男性とは『会話ができる人』の話で盛り上がった。他愛のない会話を繰り広げて、傷つくこともないけど深く想いあうこともない無難な関係は嫌だよね、二人の関係について向き合った会話をしようとすると逃げたり、はぐらかしたりするような人ではなくて顔を突き合わせて、2人の関係についての会話や解決策を探っていけるような人がいいよね。そんな会話をした。

自分の考えていることが彼の中にもあることにドキドキして、鳥肌が立った。彼とだったら、恋愛がうまくいくかもしれない。まだ付き合ってもいないのに付き合った先のことを考えて期待してしまった。彼とはラインを交換して街コンは終わった。

その日のうちに彼から連絡がきた。
『もしよかったらまたお会いしませんか?』
すかさず私は、ぜひ!と返信をした。

私の提案でかき氷とタコスを食べに行くことになった。


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