【短編小説 丘の上に吹いた風 6】ドクター外中のおにぎり
6.ドクター外中のおにぎり
婦長室のドアをノックすると、すぐにどうぞと返事が返ってきた。
袖山は書類に目を通していた婦長の前に座った。
「婦長、先日の件なんですけど」
「その件なら私も賛成です」
「それは心強い。僕からそれとなく話してみます」
「それとなく? 直球でいいと思いますよ、外中先生だいぶ鈍感なところがあるから。それで危うく結婚相手逃しそうになったじゃない? あの時はさすがに私も焦りましたよ」
「今回は大丈夫ですよ。なにしろ・・・・・・」
「そうですね、なにしろ・・