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十三機兵防衛圏 レビュー・感想

※物語の核心に関するネタバレは避けていますが多少のネタバレは含みます。

シナリオ

十三機兵防衛圏のシナリオはラブコメ・SF・青春・ミステリ等、色々な要素で構成されているが、最も重きが置かれているのは「世界の謎を解き明かす」という部分で、「追想編(アドベンチャーパート)」を読み進めるのはミステリ小説を読む感覚に近い。

十三機兵防衛圏には十三人の主人公がいて、それぞれの主人公の視点でのみ物語は進行していく。
例えば、鞍部十郎編は鞍部十郎の視点で進むため、十郎が何を考えているのか・何をしているのかは語られても、十郎編に登場する他の主人公、冬坂五百里や網口愁、薬師寺恵が何のために行動しているのか、何を思っているのかは語られない。他の主人公である冬坂五百里を理解するには冬坂五百里編をプレイすることが必要になるし、逆を返せば、十郎編をプレイしなければ十郎のことは理解できない。

主人公の選択は、物語の進行度合いによってロックが掛けられることもあるが、基本的にはプレイヤーの任意のタイミングで変更することができる。十郎編をプレイしていて五百里が何をしているのか気になったら、次に五百里編をプレイする、といった遊び方が可能だ。もっとも、主人公を切り替えたところで物語の全貌を安易に読み解くことはできないのだが。

物語の真相は「究明編(辞書機能とイベント閲覧モード)」を活用することで理解できるようになっている。
アドベンチャーパートで一度読んだ物語は究明編のイベントアーカイブに記録されるのだが、このイベントアーカイブでは時系列順に表示されるので、誰がいつどこで何をしていたのか前後の流れも確認することができる。ある程度プレイを進めた後に読み返すことで「なぜあの場所にあのキャラがいたのか」「あのキャラは何をしていたのか」など整理することができるのだ。バラバラに提示されるエピソードをパズルのように繋げて考察するようで、これが大変面白い。シナリオ内で明かされた謎は究明編のミステリーファイルに随時記録されていくので、ミステリーファイルを読み返すことでおさらいも容易に可能だ。

十三機兵防衛圏の追想編は、428~封鎖された渋谷で~のザッピングシステムによく似ているが、428や多くのアドベンチャーゲームと異なって、十三機兵防衛圏にはバッドエンドが存在しない。プレイヤーはどのシナリオから読むかを選択することはできるが、結末はひとつだけだ。
戦闘パートで敗北した場合も(例えばパイロットの死亡などが敗北条件となっている)敗北後の展開などは描かれていない。「if」の展開が描写されていないのは少し残念に思えるが、あの世界で起こりうる出来事はこれが全てだと提示されているのにおおむね納得はしている。

シナリオ部分についてあえて物足りない部分をあげるなら、キャラクターの恋愛描写をもっと細かく描写してほしい、だろうか。「この子はなんであの子のことを好きになったのだろう」と考察することも、それはそれで楽しいのだけれど……。

キャラ萌え

十三人の主人公たちだけでなくサブキャラクターも皆魅力的だった。……と書くとどうしても薄っぺらくなってしまうのだが、キャラクター同士の掛け合いや関係を見るのがとても楽しくて、プレイしている間に皆大好きになってしまった。

十郎編をプレイしている時は、薬師寺恵みたいな女の子が家に押しかけてきてエプロンつけて晩ご飯作ってくれるの最高だな……と思った(公式サイトにもスクリーンショットが掲載されているが、エプロンを着けた薬師寺恵はめちゃくちゃ可愛いのである!)

カップリング的には南と三浦、比治山と沖野の関係が好きだったのだが、崩壊編の郷登と東雲の会話で郷登×東雲めっちゃ熱い……って頭がおかしくなりそうなほど興奮した。日周区wave2の戦闘後会話は神。

グラフィック

キャラクターの表情や仕草はいきいきしていて、背景ははっとするほど美しい。アドベンチャーゲームとして最高の表現ではないだろうか。

個人的に3Dポリゴンのキャラクターより2Dイラストの方が好きなのもあって、最高の映像だった。

音楽・ボイス

タイトル曲、日常曲、戦闘曲、どちらも気に入ったのでサウンドトラックも予約済。発売が楽しみにしている。

タイトル曲と日常曲はプロローグ版のミニサウンドトラックに収録されているのだが、「Brat Overflow(タイトル曲・歌が入っているやつ)」「in the Doldrums(日常曲・学校内でよく流れていたやつ)」が特に好き。タイトル曲が戦闘パートで流れたシーンは激アツだった。

ボイスに関しても、もはや何も言うことはない。石川界人に真面目っぽい男の演技させたらそりゃ最高だよ……というのは私の完全な好みの話だが、かなりの兼ね役だった種﨑敦美の演技が素晴らしかった。他にも、ダウナー系に見せかけて意外と感情的な内田真礼とか、プレイボーイ役の鈴木達央とか、ヤンキーだけど普段は穏やかな関智一とか、ボイスに関しては本当に満足しかない。本当にありがとうございました。

システム

大きな不満ではないのだけど、アドベンチャーパートと戦闘パートが完全に切り離されているのは、悪くはないけど良くもなかった。戦闘が完全に作業になってしまったので……。

あとは細かいところだけど、崩壊編の会話もイベントアーカイブに収録して欲しかった。最終戦の会話なんかはクリア後に読み返すことで、あの戦いの裏で何が行われていたのか理解できると思うので。トロフィーコンプリートまでの総プレイ時間は37時間程度。戦闘パートのクリア後に解放されるステージが噂によると9999面まであるらしいので、暇なときに少しずつプレイする……かも……?

総括

めっちゃくちゃ楽しかったです! PS4を所持しているなら買って損はないゲームだと思いますが、中でもノベルゲームをプレイするのが好きな人、世界の謎を解き明かしていく話が好きな人、男女のカップルを眺めてニヤニヤするのが好きな人に特にオススメです。

公式サイト


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