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BUSTAFELLOWS Season2 感想

結末までのネタバレを含みます。
Twitterに書いた感想の再掲もあります。

前作「BUSTAFELLOWS」の感想はこちら


PROLOGUE

プロローグって言うから結構短めなのかな?と思ったら前作の1章ぶんくらいはあったのかな。思ってたより長かった。
前作の直後から始まってルカと和解するところから始まるのは意外というか、私はもうすっかり前作のラストであの問題は終わったつもりになっていたので(ごめん)今作が前作と地続きにあるのが理解できた。

共通パートを全員クリアして思ったんだけど、落ち込んでるテウタの慰め方はスケアクロウが一番好きだった。ルカの様子見に行ってるのは攻略キャラ5人中でスケアクロウだけなんだよね、彼氏にしたい。

個別ルート

リンボ

主人公がいなくても生きていける男、好き。

自分の理想とする仕事をして、恋愛はその上に成り立ってるっていう関係性が好きだな~。お互いが別々のやりたいことがあって、お互いがそれぞれの人生を歩んでいく上で寄り添うって、人と人の関係としては理想型だと思う。

他のルートのバッドエンドが主人公や攻略キャラが死ぬのばっかりなのに、このルートは「仕事が失敗する」なのも面白い。リンボもテウタも、一緒にいるためにはお互いが自立して、自分の人生に誇りが無いとダメなんだなあ。愛は完全でないといけないわけだから。

家庭環境の良い男と家庭環境の良い女がくっつくと健全な人間関係を見せられるので良いですね!
ただ、人ん家でイチャイチャが始まるところだけはとても引っかかっている。自分の家でやれ!

シュウ

この人はずるい。ずっとベタベタするわけじゃないんだけど言動の端々にテウタへの愛情が感じられて、テウタにとっても一緒にいると安心できる相手なのが良いなあ。シュウの人間味のある穏やかな優しさ、温かさが心地よい。

ストーリーはシュウの父親の話で、シュウの過去の話はこれも前作で終わったモノだと思ってたから意外だった。シュウは元殺し屋で物騒な男に見えるけど、ルーツを遡ると父親からも母親からも愛されてたしヤンとも和解したし案外家庭環境が良いんだよな(家庭環境の良い・悪いを気にしてしまうのは一番最初にリンボを攻略したのを引きずっているからです)

ただただシュウ役の細谷佳正の声が好きなので、シュウが隣に寝て寝かしつけてくれるASMR音声作品を販売して欲しい。寝息トラックも付けろ。

ヘルベチカ

バスタフェ2で一番萌え転がったのがヘルベチカ。前作の時点でも好きだったけど、付き合ってからの独占欲が強いのに独占欲を抑えようとするところがすっごい好き。「独占欲が強い」だけでは私の好みじゃないんだけど、これを我慢しようとするのが加わるとすごく好みに化けるのでビックリだ。

私はヘルベチカのことSと見せかけて実はMな男だと思ってて、そこがモロに性癖に刺さるんですよね。
「僕は嫉妬深いからこれ以上嫉妬させないで」じゃなくて「僕は独占欲が強くて嫉妬深いからこれからずっと不安になって君を困らせる。けど今の君が好きだからそのまま変わらないでいて、そして僕も一生嫉妬し続けて変われないけど好きでいてくれる?」って言うのがすごく好き。君が好きだから君を思って一生苦しみ続ける、って言える男ドMでほんと好き。ネックレスプレゼントする理由が「小指には敵わないから心臓に一番近いところを下さい」なのもサイコーすぎ。(リンボは反対の小指に指輪渡したんだよなってところを含めるとさらにヤバい)
自分のテウタへの愛情はアダムの美しい愛には一生敵わないって言い出す所も本当に好きだ。

というか制作側もヘルベチカを痛めつけるのが大好きだろ……。テウタの代わりに麻薬を飲むところが好きすぎて、このシーンを読めただけで買った価値があると思った。具体的には「僕にやらせてくれ」って言い出す所が一番好き。テウタが乱暴されそうになってるときも身代わりになろうとするんだろうなあって妄想できてめっちゃエッチだ。
自分が薬を飲んだときは落ち着いていられるのに、バッドエンドでテウタが薬を飲む展開になった場合だと全然落ち着いていられないのも好き。

これは本編の感想に一切関係の無いすけべ妄想なので読み飛ばして欲しいんですけど、バッドエンドでヘルベチカの目の前でテウタが陵辱されてしまって、テウタは最初は「私は大丈夫」って気丈に振る舞うんだけど乱暴されて体が反応してしまっているのを乱暴されてる相手に指摘されたり、強引に気持ちよくさせられてどんどん落ちていくのをヘルベチカは見ているしかなくて、テウタへの陵辱が終わった後はテウタの前でヘルベチカも何らかの屈辱的な目に遭わされる……みたいな展開が見たいです。全年齢ゲームでは無理か……二次創作するしかない!?(しません)

あとヘルベチカはルート外でもテウタのこと大事に思ってるんだなってのが見えてそれも可愛い。モズルートでテウタにハグするところかわいすぎ。

色々書いたけど私が一番テンションぶち上がったのは黒髪のヘルベチカだったので黒髪ヘルベチカの新規イラストをまた見たい。似合ってないって言われてたけど似合ってるだろ!!

モズ

前作ではめちゃくちゃ好きなキャラで好きなルートだったんだけど今作のは私は無理でしたね……。当て馬の女が出てくる話が基本的に苦手なんだけど、当て馬女と仲良くなって、どう考えてもモズのことが好きっぽくて……って流れを見てるの、ただただ苦痛。ヘルベチカルートのフアナ関連の方はまだ受け入れられたんだけど、相手が女になると受け入れられない私の心の狭さをお許しください。

モズのキャラクター描写も前作の方が好きだったのでちょっとがっかり。
ヒロイン以外の女に優しくし始めた途端冷めてしまう身勝手な私を許して下さい。いや許さんでいいです。

スケアクロウ

マジで彼氏にしたい攻略キャラクターNo.1

スケアクロウの良さを言葉で表現するのはなんか難しいんだけど、スケアクロウは弱りところや暗い過去があって、そこから立ち直った経験があるからこそ人に優しくできて、それがすごいなって思う。自分は完璧な人間じゃないのと同じように他人も完璧じゃない、お互い不完全だから反発したり補いながら生きていく。
リンボルートだと完璧な人と完璧な人がそれぞれ一人で生きていく中で恋愛をするって関係性になるんだけど、スケアクロウルートだと人の弱さとか過ちを受け入れる強さと美しさの話でよかった。

私がヘルベチカが好きなのは完全に性欲由来の下心なんですけど、スケアクロウは純粋な愛情で好きです。(彼氏にしたいって言ってる時点で純粋な愛情ではない)

EPILOGUE

「大事な人を守るか、正義を守るか。どちらかを選ばなければ、最悪の結果になる」
──グエロ・ネルーダ

なった。


(ここから先はプレイ直後fusetterに書き殴ったメモに加筆修正したもの)

正直プレイヤー視点からだと「いや最初からキャンベル州検事助ける必要性ないやん」なんだけど、テウタにはそれができないんだな、というのを1章かけてやっと理解できた話だった。

攻略キャラと親友キャラ、あとはその親族あたりの主人公の今後の人生に関わりがありそうなキャラだけ救っとけばいいやんと乙女ゲーマーの私は思ってしまうし、実際乙女ゲーってそういうとこがあったりする。モブの命はめちゃくちゃ軽いし、顔と名前があっても攻略対象じゃなかったら割とサックリ死ぬし。これは乙女ゲーだけじゃなくて二次元コンテンツ全般の話かもだけど。
でもテウタにとってはキャンベル州検事もルカも恋人も全部同じ命で、命の大切さに優劣は付けられない。だから誰であっても「目の前で失われた命を助けない」という選択肢は選べない。当然「ルカや恋人を助けない」という選択肢も選べないのでどちらも選ぶ。

バスタフェはゲームシステム上選択肢を選ばないこともできて、時間制限選択肢は結構な確率で「時間切れ=選ばない」が良い選択になることもある。
でもウォッチャーとのあの最後の選択肢は選ぶしかなかった。ゲームのシステムで「それを選ぶしかなかった」のを表現しているのすごいな。あそこ、選択肢を選ばなくていい方法があるかもしれないって選ばないことを探しちゃったし。

本来そうあるべき人の命に優劣を付けてはいけないということと、それでも人は他人の命に優劣を付けずにはいられないことの生々しい罪悪感と後味の悪さがリアルでゾッとした。
テウタのこれまでの人生観を歪めるのって魂への陵辱だと思うので、主人公に感情移入しながら遊んでる私はあそこのウォッチャーにものすごい嫌悪感を抱いた。

そして時間を遡ったことの代償としてテウタが大切な思い出を忘れてしまうこと、例えば恋人にもらった大切な言葉や幼なじみの思い出を忘れてしまうのがすごく悲しい。
テウタは兄にもらった「生きてさえいれば、全て強さに変えられる」という言葉そのものは覚えていた。幼なじみとの写真は手元にあるし、恋人との関係が変わってしまったわけではない。
覚えていないこともテウタの一部であることに変わりはない。
それでも忘れてしまうのは、なかったことになるみたいでやるせなくて悲しい。私はあの言葉を大切な思い出だと思ってたから。

前作のスクショ読み返してたら、1の時点ではテウタは「生きてさえいれば~」を兄に教えて貰った言葉ってちゃんと覚えてたんだよね。でも2のテウタは言葉そのものは覚えていたけどそれを誰に教えて貰ったのかを思い出せなかった。1と2のテウタは変わったのかな?それとも変わっていないのかな。変わったとして、それは遡りの代償となる悲しい変化だったんだろうか?それとも人として当然の変化だった?
変わるか、終わるか。終わらないためにテウタは変わったんだろうか。


そういえば私はエピローグ1週目はヘルベチカを選んだんだけど、キャンベル州検事が殺されて戻ってきた後のテウタがルカとアダムに助けを求めるところで興奮してしまった。アダムに敵わないと思ってるヘルベチカの前で、テウタが咄嗟に助けを求めたのはアダムだったのがきっついな、と思った。(隙あらばヘルベチカを曇らせようとしてしまうオタク)
ヘルベチカ選ぶとテウタの髪が短くなってて芸が細かいと思った。

バスタフェ2のエピローグは1より後味が悪いと感じたんだけど、それって多分1は当て馬と親友との関係が変わってしまったけど2は主人公と恋人との関係に瑕疵ができたように感じたからなんだろうな。結局主人公カップルの愛が永遠ならそれ以外の人間関係が崩壊しても別にいいやと思えるというか。

幼なじみの悲しい過去が発覚する、死ぬ ←悲しいけど仕方ないね……
主人公が恋人との過去を忘れてしまう ←悲しいし受け入れられない!

あれ?私って最低なのでは?
主人公と攻略キャラ以外のキャラクターへの愛情が無い……?

乙女ゲーだから主人公カップルの恋愛が一番大事で主人公カップルが幸せかどうかが最優先なのはそうなんだけど……なんというかテウタが言うところの自分の嫌なところに気がついてしまった。

乙女ゲーなんだからヒロインと恋人が100%手放しで幸せじゃない状態にしてよ〜!って思うのは、結局ヒロインと恋人以外ならどうなっても良いってことなんだよな。私ってなんて恋愛至上主義で心が醜いオタクなんだ。
バスタフェ2は各カプを安易に結婚させたり恋愛の悩みでやるべきことを見失ったりしないし、作品を通して恋愛至上主義じゃないとこがいいのは頭では理解し出るんだけど、でもラストは恋愛的な意味で幸せにして欲しかった!
そう思うのは、結局私が恋愛が一番大切なものだって思ってるからだろうか?乙女ゲーだから恋愛が一番メインなのは正しいんだけど、恋愛ばっかりじゃないからバスタフェ2好きって思ってたはずなのに……。
私って結局恋愛至上主義者なんだ……。まあ、乙女ゲーやってるくらいなんだから恋愛の話が好きすぎてしょうがないのはそうなんですけどね。

(fusetterのメモここまで)


プレイし終わってから時間が経った今思うのは、グエロの言う「大事な人を守るか、正義を守るか。どちらかを選ばなければ、最悪の結果になる」がまさかマジになるとは思わんやろ!!

何だかんだ言って最終的には「大事な人」と「正義」両方守れるやろ!と思ってたし、最悪「大事な人」だけでも守れるだろって高をくくってた。本当にどっちも守れないとはね……。そういう都合の良くないところがバスタフェ2の良いところであり、面白いところだ。

それと、これは作中では答えが出てないけど、アダムは前作の直後に亡くなったのではないかなあと思った。アダムからの手紙は自分が死んだ後のために生前に書き残していたものなんじゃないかなと思った。テウタの記事の感想とか手紙に一切書かれてないわけだし。生きてたら感想くらい書いてくるでしょ。
あとアダムは目が悪かった(正確には脳の腫瘍だけど)ので、手紙の筆跡が変わってないならそれはおかしいと思うんだよね~。

まとめ

前作は私の主観で95点の乙女ゲームだったのに対して今作は80~85点くらい。今作も楽しかったんだけど前作の方が好みだったのが正直な感想。これは作品のクオリティが下がったわけじゃなくて、単に私の好みから外れてしまったんだと思う。
私は前作の共通パートのテウタが誰とも付き合ってない部分が好きだったけど、今作はもう誰かと付き合ってるところから始まっちゃうしね。

前作は爽快感があってスッキリして鮮やかな印象でそこがプレイしてて快感で好きだったんだけど、今作は湿度高めでじっとりしてるんだよね。それはもうタイトルBGMを聞いた時点でわかるんだけど、なんというか……後味が悪い。心に消えない傷を残す系の後味の悪さ。
バスタフェ2の後味の悪さは自分の中に覚えのある後ろめたさだから余計に心に響くのかもしれない。無意識のうちの悪意とか、人の命の優劣とか、よくないものが自分の中にもあることをわからせられる。

全クリした後も作品について色々考えたり感想を書くのは楽しいのでプレイして良かったな~と思うし、制作側のポリシーとか思想、性癖、こういう話を書きたいぜ!っていうのが伝わってくるいい作品だった。

私は乙女ゲーのFDがあんまり好きじゃなので、こういう形で「続編」を作ってくれて良かったな。「シーズン2」とタイトルに付けたってことは「シーズン3」以降も見据えてってことだと思うので、また新作が出てくれたら嬉しいな。

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